鶴蘭(ツルラン) 秋の花 2011年10月11日 鶴蘭(ツルラン)はラン科エビネ属の多年草である。九州の南部から沖縄にかけてと小笠原諸島に分布し、草地や林の中に生える。海外では、台湾、中国南部、東南アジア、インド、オーストラリアなどに分布する。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は40~80センチくらいである。茎は直立し、微毛が密に生える。根際から生える葉は長い楕円形で、3~6枚くらいつく。葉は長さが20~50センチくらいあり、縦に皺がある。茎につく葉は鱗片状で、茎を抱く。開花時期は6~10月くらいである。茎先に白い花を密につける。唇弁はつけ根の部分で3つに裂け、真ん中の裂片は更に2つに裂けるので、「大」の字に見える。花冠のつけ根には黄色ないし紅色の突起がある。萼片3枚と側花弁2枚は平らに開く。距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)は細く、上へ曲がる。「鶴」が群れ飛ぶように見えるというのが和名の由来である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Calanthe はギリシャ語の「calos(美)+anthos(花)」からきている。種小名の triplicata は「3つの副花冠のある」という意味である。写真は6月につくば植物園で撮った。学名:Calanthe triplicata★大形で鶴飛ぶように豪快に 花を咲かせばそこは楽園季節の花花図鑑植物図鑑PR
屋久島繻子蘭(ヤクシマシュスラン) 秋の花 2011年10月08日 屋久島繻子蘭(ヤクシマシュスラン)はラン科シュスラン属の多年草である。九州の南部と屋久島に分布し、山地の林の中に生える。草丈は10~20センチくらいである。茎はつけ根の部分が地を這い、上部は立ち上がる。葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の中央に白い筋が入る。開花時期は10月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い小さな花を密につける。唇弁のつけ根の膨れた部分が白くなる。和名の由来は、屋久島で発見され葉に「繻子」のような艶があるというところからきている。基本種は八丈繻子蘭(ハチジョウシュスラン)で、同一とする見解もある。属名の Goodyera はイギリスの植物学者「グッドイヤー(John Goodyer)さん」の名からきている。種小名の hachijoensis は「八丈島の」という意味である。変種名の yakushimensis は「屋久島の」という意味である。写真は10月に神代植物公園の野草展(東京山草会)で撮った。学名:Goodyera hachijoensis var. yakushimensis★土地土地に少し異なる花がある 自然の示す不思議ここにも花図鑑植物図鑑
ネリネ・プラティペタラ 秋の花 2011年10月07日 ネリネ・プラティペタラはヒガンバナ科ネリネ属の常緑多年草である。原産地は南アフリカである。北部のムプマランガ州に分布し、沼地に生える。草丈は30~50センチくらいである。根際から生える葉は線形である。開花時期は9~10月である。茎先に散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、花径2センチくらいの淡い紅紫色の花をつける。花被片は反り返らない。花の柄には毛が生えている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Nerine はギリシャ神話の海の女神「ネレイス(Nereis)」からきている。種小名の platypetala は「広い花弁の」という意味である。写真は9月につくば植物園で撮った。学名:Nerine platypetala★謎秘めた花に出合ってご満悦 原種ならばの魅力に触れて花図鑑植物図鑑
畔唐菜(アゼトウナ) 秋の花 2011年10月06日 畔唐菜(アゼトウナ)はキク科アゼトウナ属の多年草である。漢字では「畔冬菜」とも書く。日本固有種である。本州の静岡県から九州にかけて分布し、太平洋側の海岸の岩場に生える。草丈は5~15センチくらいである。根際から生える葉は分厚い倒卵形で、ロゼット状(茎から葉が重なり合って出て地に接し、円座形になったもの)となる。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)があり、先は丸い。茎につく葉は小さく、互い違いに生える(互生)。開花時期は8~12月である。枝分かれをした茎先に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、花径15ミリくらいの黄色い花(頭花)をつける。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。花は薬師草(ヤクシソウ)とよく似ている。また、日本海側の海岸にはよく似た細葉海菜(ホソバワダン)が咲く。属名の Crepidiastrum はギリシャ語の「Crepis(フタマタタンポポ属)+astrum(似た)」からきている。種小名の keiskeanum は明治初期の植物学者「伊藤圭介さんに関係した」という意味である。写真は9月に小石川植物園で撮った。学名:Crepidiastrum keiskeanum★岩肌に貼りつくように畔冬菜 海の青さと響き合い咲く花図鑑植物図鑑
アニスヒソップ 秋の花 2011年10月05日 アニスヒソップ(anise hyssop)アガスタシェはシソ科カワミドリ属の多年草である。原産地は北アメリカ、中央アメリカである。日本原産の蕾香(カワミドリ)と同じ仲間である。葉がセリ科のアニスに似た香りがあるためこう呼ばれている。ヒソップ(hyssop)はヤナギハッカの仲間のことである。学名のアガスタシェ・フォエニクルムで表示するものもある。葉は乾燥させて漢方薬やカレー料理などの香辛料に用いられる。草丈は50~100センチくらいである。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。開花時期は6~10月である。茎先に穂状の総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、唇形の花をつける。花の色は薄紫色、ピンク、白などがある。花期が長く、蜜源植物となっている。属名の Agastache はギリシャ語の「aga(強める)+stachys(穂)」からきている。太い穂状の花序をつけることから名づけられた。種小名の foeniculum は「(セリ科)ウイキョウ属」のことである。写真は10月に京都府立植物園で撮った。園芸品種のハニービーホワイト(Honeybee White)である。学名:Agastache foeniculum★蜜蜂を呼び寄せようと香を放つ アガスタシェは柔和な姿花図鑑植物図鑑