姫金水引(ヒメキンミズヒキ) 秋の花 2011年09月27日 姫金水引(ヒメキンミズヒキ)はバラ科キンミズヒキ属の多年草である。北海道の南西部から鹿児島県の屋久島にかけて分布し、山地の谷沿いや林の中に生える。海外では、韓国の済州島にも分布する。草丈は40~80センチくらいである。葉は羽状複葉である。下部は5~7枚の小葉、上部は3枚の小葉で1組となる。小葉の形は楕円形で、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は8~9月である。茎先に細長い穂状の総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、近縁種の金水引(キンミズヒキ)よりも小さな黄色い5弁花を疎らにつける。花びらも細く、雄しべの数も少ない。萼片は5枚である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Agrimonia はギリシャ語の「argemone(アザミゲシ属)」からきている。棘が多くて似ているためだが、転用する際に綴りを間違えたという。種小名の nipponica は「日本の」という意味である。写真は8月に日光植物園で撮った。学名:Agrimonia nipponica★ほっそりと伸びた花穂にぱらぱらと 小花をつける姫金水引花図鑑植物図鑑PR
富士薊(フジアザミ) 秋の花 2011年09月26日 富士薊(フジアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。日本固有種である。本州の関東地方と中部地方に分布し、山地から亜高山にかけて砂礫地や河原などに生える。フォッサマグナ要素の植物の1つである。和名の由来は、富士山の周辺に多いことからきている。日本産のアザミの中では最も大きな花をつける。草丈は60~100センチくらいである。茎の上につく葉は小さく、下へいくほど大きくなる。根際から生える葉は羽状に大きく切れ込む。どの葉にも縁には鋭い棘がたくさんある。開花時期は8~9月である。茎の上部で少しだけ枝分かれをし、先に大きな花(頭花)を下向けにつける。花の色は紅紫色で、大きなものは花径10センチにも達する。花は筒状花が集まったもので、総苞(花序全体を包む葉の変形したもの)は球形である。総苞片は反り返り、縁には棘状の毛が生える。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はギリシャ語の「cirsos(静脈腫)」からきている。静脈腫に薬効のある植物につけられた名が転用された。種小名の purpuratum は「紅紫色の」という意味である。写真は10月に六甲高山植物園で撮った。学名:Cirsium purpuratum★富士薊大きな花を持て余し 垂れる頭(こうべ)は地面睨んで花図鑑植物図鑑
蜂蜜草(ハチミツソウ) 秋の花 2011年09月25日 蜂蜜草(ハチミツソウ)はキク科ハネミギク属の多年草である。原産地は北アメリカである。1960年代に養蜂用の蜜源植物として北海道へ導入された。1980年代から長野県などに野生化し、道ばたや草地、林の縁などに生える。現在では全国的に帰化しているが、数は少ないという。草丈は100~150センチくらいである。全草に短くて硬い毛が生える。茎は円柱形で狭い翼が5つくらいある。葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。茎の下部では向かい合って生え(対生)たり、3枚が輪のようになって生え(輪生)たりする。葉の先は尖り、縁には鈍いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の両面に毛が生えていてざらつく。開花時期は7~10月である。茎先に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、花径4センチくらいの黄色い頭花をたくさんつける。舌状花は3~8枚で、反り返り下を向く。花の後にできる実は扁平なそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)で翼がある。和名を羽実菊(ハネミギク)という。これは実に翼があるところからつけられた名である。属名の Verbesina は属名の「Verbena(クマツヅラ属)」の変形である。種小名の alternifolia は「互生葉の」という意味である。写真は7月に軽井沢町植物園で撮った。学名:Verbesina alternifolia★寄って来る蜂はまだかと羽実菊 蜂蜜のもとたくさんあるよ花図鑑植物図鑑
メキシカンブッシュセージ 秋の花 2011年09月24日 メキシカンブッシュセージ(Mexican bush sage)はシソ科アキギリ属の多年草(半低木)である。メキシカンセージ(Mexican sage)とも呼ぶ。原産地は北アメリカから中南アメリカにかけてで、ポピュラーな観賞用ハーブである。別名をアメジストセージ(amethyst sage)という。ベルベットセージ(velvet sage)と呼ばれることもある。草丈は100~150センチくらいである。茎の断面は四角形で、2年目から下部は木質化する。葉は長い披針形(笹の葉のような形)で、十の字状に向かい合って生える(十字対生)。葉には軟毛が生えており、先は鋭く尖る。葉の色は淡い緑色で、よい香りがする。開花時期は9~11月である。短日植物で、日差しが短くなると花を開く。茎先に10~30センチくらいの総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を斜めに出し、唇形の花をつける。萼は紅紫色で、ビロード状の軟毛に覆われている。花の色は白いものと紫色のものがある。雄しべは5本あるが、そのうちの3本は退化している。雌しべは1本で、先は2つに裂ける。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。葉を乾燥させたものを生薬でセージ葉といい、芳香性健胃薬とされる。属名の Salvia はラテン語の「salvare(治療)」からきている。薬用になるものが多いことから名づけられた。種小名の leucantha は「白い花の」という意味である。写真は10月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Salvia leucantha★ビロードがぽんと弾けて顔を出す 紅紫は夕陽に染まり花図鑑植物図鑑
矢の根梵天花(ヤノネボンテンカ) 秋の花 2011年09月23日 矢の根梵天花(ヤノネボンテンカ)はアオイ科ヤノネボンテンカ属(パポニア属)の常緑低木である。原産地は南アメリカである。日本へ渡来した時期は不明である。日本でも帰化していて、道ばたなどに生える。草丈は100~150センチくらいである。茎は下部でよく枝分かれをして、横に広がる。葉はくさび形で矢じりの形に似ている。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。この葉の形が「矢の根」の名の由来になっている。「梵天」は婆羅門天のことだが、同時に山伏の峰入り行列の先頭に立てたりする御幣(ごへい)をも意味する。花の形をこの「梵天」に見立てたものであろう。同じアオイ科に梵天花(ボンテンカ)という花がある。開花時期は8~9月である。花径は5~7センチくらいで、花びらは白く真ん中が濃い赤褐色をしている。また、花びらの裏側にはきれいな濃い赤色の筋が入っている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。別名を高砂芙蓉(タカサゴフヨウ)という。属名の Pavonia はスペインの植物学者「パボン(J. A. Pavon)さん」の名からきている。種小名の hastata は「鉾形の」という意味である。写真は10月に京都府立植物園で撮った。学名:Pavonia hastata★あっさりと咲いているよな振りをして 花の裏には綺麗な模様花図鑑植物図鑑