西洋松虫草(セイヨウマツムシソウ) 秋の花 2011年09月10日 西洋松虫草(セイヨウマツムシソウ)はマツムシソウ科マツムシソウ属の一年草である。原産地は南ヨーロッパである。日本へは明治時代の初期に渡来した。草丈は30~100センチくらいである。葉は披針形(笹の葉のような形)で、羽状に裂ける。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)があり、向かい合って生える(対生)。開花時期は5~10月である。花の色は元々は暗い紫色だが、改良が進んで青、ピンク、白、黄色などのものがある。日本原産の松虫草(マツムシソウ)に比べて花弁は短く、中心部の頭状花も周辺の花弁も密で盛り上がっている。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名のスカビオサの名でも流通している。属名の Scabiosa はラテン語の「scabiea(疥癬)」からきている。この属の植物に皮膚病に効くものがあることから名づけられた。種小名の atropurpurea は「暗い紫色の」という意味である。写真は7月に軽井沢町植物園で撮った。学名:Scabiosa atropurpurea ★こんもりと花の茂みを見せながら 松虫草は涼しげに咲きにほんブログ村花図鑑植物図鑑PR
犬サフラン(イヌサフラン) 秋の花 2011年09月09日 犬サフラン(イヌサフラン)はユリ科イヌサフラン属の多年草である。分類体系によってはイヌサフラン科とされる。原産地はヨーロッパ、西アジア、北アフリカである。球根植物で、机の上に置いておくだけでも花を咲かせる。草丈は10~20センチくらいである。花の咲くころには葉はなく、翌春になって線形の葉が出てくる。開花時期は9~10月である。花の色は紅紫色、ピンク、白などである。花被片は6枚である。クロッカスやサフランに似ているが、雄しべの数や形状が異なる。犬サフラン(イヌサフラン)の雄しべは6本である。多弁化した園芸品種もある。和名の由来は、サフランに似ているが食材として役に立たないことからきている(サフランはフランス料理の食材)。一般にはコルチカム(Colchicum)の名で流通している。コルヒチンという痛風治療薬の原料となる。コルヒチンはアルカロイドで、誤食すると呼吸麻痺を起こすこともある。属名の Colchicum は自生地である黒海沿岸の地名「コルキス(Colchis)」からきている。種小名の autumnale は「秋咲きの」という意味である。写真は10月につくば植物園で撮った。学名:Colchicum autumnale★どことなく妖気を秘めて土の上 犬サフランの灯す明かりか☆食べられぬけれど効用あるのよと 犬などつけずコルチカム云い花図鑑植物図鑑
縷紅草(ルコウソウ) 秋の花 2011年09月08日 縷紅草(ルコウソウ)はヒルガオ科サツマイモ属の蔓性多年草である。分類の仕方によってはルコウソウ属とされる。寒さに弱いので、園芸上は一年草として扱われる。原産地は南アメリカである。草丈は40~50センチくらいである。葉は羽状に深く裂け、糸のように細かい。開花時期は8~10月である。細い筒状で先が星状に浅く5つに裂けた真紅の花をつける。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。近縁種に、葉に切れ込みがない丸葉縷紅草(マルバルコウソウ)がある。また、両者が交雑育成されたのが羽衣縷紅草(ハゴロモルコウソウ)である。俳句の季語は夏である。属名の Ipomoea はギリシャ語の「ips(芋虫)+homoios(似た)」からきている。物に絡みついて這い登る性質からから名づけられた。種小名の quamoclit はギリシャ語の「kyamos(豆)+clitos(低い)」からきており、マメのように蔓性で背丈が低いという意味から名づけられた。写真は9月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Ipomoea quamoclit★小さくも真っ赤に燃える縷紅草 陽射しに映えるパッションの色花図鑑植物図鑑
糊麻(ノリアサ) 秋の花 2011年09月07日 糊麻(ノリアサ)はアオイ科オクラ属の一年草である。1944年に京都大学の香川冬夫博士によって作出された栽培植物である。黄蜀葵(トロロアオイ)とオクラとの種間雑種である。両者の性質を持ち合わせており、根からは糊の原料がとれ、果実は食用になる。 草丈は1~2メートルである。葉は手のひら状に深く切れ込み、互い違いに生える(互生)。開花時期は8~9月くらいである。黄色くて中心が暗い紫色をした5弁花をつける。花は一日花である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。和名の由来は、糊の原料となり葉の形が「麻」に似ていることからきている。属名の Abelmoschus はアラビア語の「麝香(abul)+父(mosk)」からきている。種小名の glutinotextilis は「織物に用いるねばついた」という意味である。写真は9月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Abelmoschus x glutinotextilis★めずらしい名前の花を紐解けば 先人なせし巧みに出会い花図鑑植物図鑑
丸葉乗鞍薊(マルバノリクラアザミ) 秋の花 2011年09月06日 丸葉乗鞍薊(マルバノリクラアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。日本固有種である。中部地方に分布し、亜高山や高山の林の縁や道端に生える。草丈は100~150センチくらいである。同じ中部地方に分布する乗鞍薊(ノリクラアザミ)の変種である。葉は一般のアザミ類と異なって深い切れ込みがなく、細長い楕円形をしている。基本種には深い切れ込みがある。葉の長さは10~20センチくらいである。葉の裏面には白い毛が密生し、白っぽい。このため雪薊(ユキアザミ)の別名がある。基本種も同様に裏面が白いので、裏白薊(ウラジロアザミ)の別名がある。開花時期は8~10月である。花(頭花)の色は淡い紅紫色で、茎先に横向きか下向きにつく。総苞片(花序全体を包む葉の変形したもの)が長く反り返るのが特徴である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はギリシャ語の「cirsos(静脈腫)」からきている。静脈腫に薬効のある植物につけられた名が転用された。種小名の norikurense は「乗鞍岳の」という意味である。種小名の integrifolium は「全縁葉の」という意味である。写真は9月に上高地で撮った。学名:Cirsium norikurense var. integrifolium★薊でも葉っぱはスマート楕円形 切れ込むだけが能でないから花図鑑植物図鑑