白玉星草(シラタマホシクサ) 秋の花 2011年10月18日 白玉星草(シラタマホシクサ)はホシクサ科ホシクサ属の一年草である。日本固有種である。静岡県、愛知県、三重県に分布し、日当たりのよい湿地に生える。植物地理学的には周伊勢湾要素ないし東海丘陵要素の植物と呼ばれる。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は20~40センチくらいである。根際から生える葉は線形で、先は針状に尖っている。開花時期は8~10月である。頭花は球形で、花径は1センチに満たない。つけ根の部分がややへこみ、全体に白い短い毛が密生していて白い球のように見える。白っぽく見えるのは雄花や雌花の一部である。黒っぽく見えるのは雄しべの葯である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。和名の由来は、白い球のように見える花の姿からきている。属名の Eriocaulon はギリシャ語の「erion(軟毛)+caulos(茎)」からきている。基準となった種の花茎のつけ根の部分に軟毛があったことから名づけられた。種小名の nudicuspe は「凸頭が裸の」という意味である。写真は9月に箱根湿生花園で撮った。学名:Eriocaulon nudicuspe★小さくてとても可愛い花つけて 白玉星草花火のように花図鑑植物図鑑PR
白花秋丁字(シロバナアキチョウジ) 秋の花 2011年10月17日 秋丁字(アキチョウジ)はシソ科ヤマハッカ属の多年草である。本州の岐阜県から九州にかけて分布し、山野の木陰に生える。草丈は40~90センチくらいである。葉は幅の狭い卵形で、向かい合って生える(対生)。葉には柄があり、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は8~10月である。茎の先や葉の脇から花穂を出し、小さくて胴長の筒形をした花を横向きにつける。色の基本は青紫色だが、稀に白花も見られる。これを白花秋丁字(シロバナアキチョウジ)ないし白花の秋丁字(シロバナノアキチョウジ)と呼んでいる。花の先は上下に開いた唇形である。花の中には雄しべ4本と花柱(雌しべ)1本がある。萼は先が5つに裂けている。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。和名の由来は、秋に丁字形の花をつけることからきている。属名の Plectranthus はギリシャ語の「plectron(距)+anthos(花)」からきている。距のある花の形から名づけられた。種小名の longituba は「長い管の」という意味である。品種名の albiflora は「白い花の」という意味である。写真は10月に箱根湿生花園で撮った。学名:Plectranthus longituba f. albiflora ★白花が清楚に咲いて秋丁字 大葉に映えて風にゆらゆら
ホルムショルディア・サングイネア 秋の花 2011年10月14日 ホルムショルディア・サングイネアはクマツヅラ科ホルムショルディア属の常緑低木である。原産地はインドとヒマラヤ地方の低地の亜熱帯地域である。英名がチャイニーズハット・プラント(Chinese hat plant)であることから、チャイニーズハットの名でも流通している。和名は天狗花(テングバナ)という。樹高は2~3メートルである。葉は幅の広い卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁にはわずかにぎざぎざ(鋸歯)があるか全縁である。開花時期は9~11月である。花の色の基本が橙色だが、黄色や紫色のものもある。帽子のツバのように広がっているのは萼で、真ん中から円筒形の花冠が出る。花の後にできる実は球形の核果(水分を多く含み中に種が1つある)である。属名の Holmskioldia はデンマークの植物学者「Holmskiold(J. T. Holmskiold)さん」の名からきている。種小名の sanguinea は「血のように赤い」という意味である。写真は10月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Holmskioldia sanguinea★面白い花の形もあるものと しばし足止め観察をして花図鑑植物図鑑
紫千振(ムラサキセンブリ) 秋の花 2011年10月13日 紫千振(ムラサキセンブリ)はリンドウ科センブリ属の一年草である。本州の関東地方から九州にかけて分布し、乾いた草丈の低い草地や道端に生える。環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。草丈は50~70センチくらいである。茎は太く、暗い紫色を帯びる。葉は線状の披針形で、向かい合って生える(対生)。開花時期は9~11月である。茎先や葉の脇から円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、淡い紫色の花をつける。花は合弁花で、花冠が5つに深く裂ける。雄しべは5本、雌しべは1本である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。千振(センブリ)と同様に苦味があるが、薬用にはされない。属名の Swertia はオランダの植物学者「スワート(E. Swert)さん」の名からきている。種小名の pseudochinensis は「中国産に似た」という意味である。写真は11月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Swertia pseudochinensis★千振の花の不思議を受け継いで 色も床しき紫千振花図鑑植物図鑑
ムクナ・ベネッティー 秋の花 2011年10月12日 ムクナ・ベネッティーはマメ科トビカズラ属(ムクナ属)の常緑蔓性木本である。原産地はニューギニア島である。蔓は20メートルにも達する。葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で、互い違いに生える(互生)。小葉は卵形で先は尖り、つけ根の部分は円形で、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。開花時期は10~11月である。葉の脇に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、40~50もの花を下垂させる。花の色は朱色や赤、緋色などがあるが、緋色のものがよく栽培されている。1つ1つの花は蝶形で大きく、オウムの嘴のようである。花の後にできる実は豆果(莢の中に種子が入るもの)である。英名はparrot's beak(オウムの嘴)である。属名の Mucuna は南アメリカの先住民族の言葉からきている。種小名の bennettii はイギリスの軍医「ベネット(G. Bennett)さんの」という意味である。写真は11月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Mucuna bennettii★鮮やかな緋色の花が房になり 南国ムードたっぷり伝え花図鑑植物図鑑