日高見せばや(ヒダカミセバヤ) 秋の花 2011年09月17日 日高見せばや(ヒダカミセバヤ)はベンケイソウ科ムラサキベンケイソウ属の多年草である。北海道の固有種である。日高、十勝、釧路地方の海岸岸壁やアポイ岳の上部などに分布し、高山に生える。「見せばや」は「見せたい」を意味する古語である。この花の美しさを「誰に見せようか」という意味になる。日高地方で発見された「見せばや」というのが名の由来である。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は10~15センチくらいである。地下茎を這うようにして伸ばし、茎は斜上し垂れ下がる。葉は扁平で多肉質である。葉の形は卵形で短い柄があり、縁には波状のぎざぎざ(鋸歯)が少しある。葉は青白い緑色に少し紅紫色を帯び、向かい合って生える(対生)。開花時期は8~10月である。紅紫色の小さな花が球形になって咲く。花びらは5枚で披針形をしており、星を散りばめたように見える。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。属名の Hylotelephium はギリシャ語の「hyle(森)+telephion( ベンケイソウ)」からきている。この属の植物が森にも生えることから名づけられた。種小名の cauticolum は「割れ目に生える」という意味である。写真は10月に川口市立グリーンセンターの山野草展で撮った。学名:Hylotelephium cauticolum★ぽってりと色青白い葉の先に 日高見せばや花を散りばめ花図鑑植物図鑑PR
青花藤袴(アオバナフジバカマ) 秋の花 2011年09月16日 青花藤袴(アオバナフジバカマ)はキク科コノクリニウム属の多年草である。以前はヒヨドリバナ属(ユーパトリウム属)に分類されていた。このためユーパトリウムの名でも流通している。また、学名のコノクリニウム・コエレスティウムで表示するものもある。原産地は北アメリカや西インド諸島で、川沿いや湿った草地に生える。草丈は40~80センチくらいである。地下茎を伸ばして増える。葉は三角状の卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~10月である。よく枝分かれをし、茎先にアゲラタムに似た青紫色の花(頭花)を散房状(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)にたくさんつける。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。英名はミストフラワー(mistflower)である。洋種藤袴(ヨウシュフジバカマ)の名も用いられている。属名の Conoclinium はギリシャ語の「konos(円錐形の)+klinion(小さなベッド)」からきている。種小名の coelestinum は「青色の」という意味である。写真は9月に埼玉県三郷市で撮った。学名:Conoclinium coelestinum★爽やかなブルー際立つ藤袴 彼方の国は瞳も青く花図鑑植物図鑑
蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク) 秋の花 2011年09月15日 蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク)はキク科ヨモギギク属の多年草である。北海道に分布し、海岸沿いに生える。海外では、朝鮮半島、中国、シベリアなどにも分布する。分類上は、ヨーロッパ原産の蓬菊(ヨモギギク)の変種とされている。両者を区別しない見解もある。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は50~100センチくらいである。葉は羽状に深く切れ込み、互い違いに生える(互生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は8~9月くらいである。花径1センチくらいの筒状花だけからなる黄色い花(頭花)をたくさんつける。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。別名を蝦夷の蓬菊(エゾノヨモギギク)ともいう。属名の Tanacetum はラテン語の「tanazita(不死)」からきている。種小名の vulgare は「普通の」という意味である。変種名の boreale は「北方系の」という意味である。写真は10月につくば植物園で撮った。学名:Tanacetum vulgare var. boreale★めずらしい花の姿できらきらと 輝き放つ蝦夷蓬菊花図鑑植物図鑑
シーマニア 秋の花 2011年09月12日 シーマニア(Seemannia)はイワタバコ科グロキシニア属の多年草である。原産地は南アメリカのペルーやボリビアである。半日陰の林の中に生える。日本では秋から冬の鉢物として流通している。シーマニアはかつての属名であるが、今もこの名前で流通している。草丈は30から60センチくらいである。葉は細長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。3枚から5枚が輪のようになって生える(輪生)こともある。葉の先は尖り、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。葉の両面に白い毛が生え、表面は緑色、裏面は淡い黄緑色である。開花時期は10月から1月である。茎先近くの葉の脇から柄を伸ばし、オレンジ色をした鐘状の花を1、2輪ずつつける。花冠の先は星形に5つに小さく反り返る。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Gloxinia はドイツの植物学者「グロキシン(B. P. Gloxin)さん」の名にちなむ。種小名の sylvatica は「森林に生える」という意味である。写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Gloxinia sylvatica★寒い時期目を楽しませるシーマニア 金魚のような姿可愛く花図鑑植物図鑑
ステルンベルギア・ルテア 秋の花 2011年09月11日 ステルンベルギア・ルテアはヒガンバナ科キバナタマスダレ属の多年草である。和名は黄花玉簾(キバナタマスダレ)という。地中海沿岸地方から西アジアにかけて分布し、砂礫地に生える。日本へは大正時代に渡来した。草丈は10~20センチくらいである。1つの球根から2~3本の茎を伸ばす。根際から生える葉は線形である。開花時期は9~10月である。茎先に花径3センチくらいの鮮やかな黄色の花をつける。花被片は6枚である。クロッカスに似ているが、クロッカスのように平開はしない。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Sternbergia はオーストリアの植物学者 「シュテルンベルグ(G. K. Sternberg)さん」の名にからきている。種小名の lutea は「黄色の」という意味である。写真は10月につくば植物園で撮った。学名:Sternbergia lutea★玉簾思わすような花姿 黄花が不思議ステルンベルギア花図鑑植物図鑑