犬山薄荷(イヌヤマハッカ) 秋の花 2011年11月05日 犬山薄荷(イヌヤマハッカ)はシソ科ヤマハッカ属の多年草である。本州の関東地方西部から中部地方にかけて分布し、山地の林の中に生える。草丈は20~80センチくらいである。葉は長めの楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)があり、葉の表面には薄い毛が生える。開花時期は9~10月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、唇形をした青紫色の花をたくさんつける。花(花冠)は筒状で、先が2つに裂ける。上唇は浅く4つに裂けて反り返る。山薄荷(ヤマハッカ)の場合は上唇に濃い紫色の筋が入るが、本種には筋がない。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。和名の由来は、「山薄荷」に似るがそれとは異なる(「犬」は「否」の転訛)というところからきている。属名の Plectranthus はギリシャ語の「plectron(距)+anthos(花)」に由来する。距のある花の形を表したものである。種小名の umbrosus は「日蔭地を好む」という意味である。写真は11月につくば植物園で撮った。学名:Plectranthus umbrosus★透き通る青紫の花こぼし 犬山薄荷は林の中に花図鑑植物図鑑PR
毬薊(イガアザミ) 秋の花 2011年11月04日 毬薊(イガアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。日本固有種である。本州の関東地方に分布し、山野や海岸近くに生える。分類上は、南部薊(ナンブアザミ)の変種とされている。和名の由来は、蕾の棘を栗のイガにたとえたものである。草丈は1~2メートルである。葉は深く切れ込み、先が鋭い棘状となる。開花時期は8~10月である。茎先に花径4センチくらいの紅紫色をした花(頭花)を固まってつける。総苞(花序全体を包む葉の変形したもの)に生える棘は長くて鋭い。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はcirsos(静脈腫)に薬効があるという意味。アザミに転用された。種小名の nipponicum は「日本の」という意味である。変種名の comosus は「長い束毛のある」という意味である。写真は11月につくば植物園で撮った。学名:Cirsium nipponicum var. comosum★かくあるが薊なりやと思わせる 鋭い棘で身を護りつつ☆何故君は棘で護りしその姿 薊の花にそっとたずねて花図鑑植物図鑑
アッサム茶(アッサムチャ) 秋の花 2011年11月01日 アッサム茶(アッサムチャ)はツバキ科ツバキ属の常緑高木である。原産地は中国の南部である。現在は、東南アジアやインド、スリランカなどで栽培が行われている。ウーロン茶や紅茶の原材料は本種である。分類上は、茶の木(チャノキ)の変種とされている。樹高は8メートルから15メートルくらいである。葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。茶の木(チャノキ)の葉よりもかなり大きい。開花時期は10月から1月である。葉の脇に白い5弁花を少数やや下向きにつける。花には黄色い雄しべがたくさんある。花は茶の木(チャノキ)とよく似ているが、それよりもかなり小さい。花の後にできる実は偏球形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、熟すと褐色になって裂開する。本種の葉はタンニンの含有量が多く、酸化酵素が強いという。属名の Camellia はイエズス会の宣教師「カメル(G. J. Kamell)さん」の名からきている。マニラに住み、東アジアの植物を採集した。種小名の sinensis は「中国の」という意味である。変種名の assamica は「(インドの)アッサム地方(Assam)の」という意味である。写真は12月に小石川植物園で撮った。学名:Camellia sinensis var. assamica★葉に隠れ小さな花がぽつぽつと アッサム茶は風情異なり花図鑑植物図鑑
紅花茶(ベニバナチャ) 秋の花 2011年10月31日 茶(チャ)はツバキ科ツバキ属の常緑低木である。原産地は中国の南部とする説が有力である。日本へは最澄が805年に種子を持ち帰り、比叡山に植えたのが最初という。紅花茶(ベニバナチャ)はその品種の1つである。特徴は、花の色が淡い紅色になることである。日本でも観賞用に栽培されている。樹高は1~3メートルくらいである。よく枝分かれをする。葉は細長い卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は尖り、縁は波打つ。葉の質は薄い革質で、表面には艶がある。開花時期は10~12月である。葉の脇に淡い紅色の5弁花をやや下向きにつける。雄しべはたくさんあり、花糸は紅色、葯は肌色である。雌しべは1本である。花の後にできる実は歪んだ球形のさく果(熟すと果皮が裂開する果実)である。属名の Camellia はイエズス会の宣教師「カメル(G. J. Kamell)さん」の名からきている。マニラに住み、東アジアの植物を採集した。種小名の sinensis は「中国の」という意味である。品種名の rosea は「バラ色の」という意味である。写真は11月に小石川植物園で撮った。学名:Camellia sinensis f. rosea★整った花はなかなか見つからず 周りうろうろ雨降る中で花図鑑植物図鑑
海菜(ワダン) 秋の花 2011年10月30日 海菜(ワダン)はキク科アゼトウナ属の越年草である。日本固有種である。千葉県から静岡県にかけてと伊豆諸島に分布し、海岸の崖や礫地に生える。和名の由来であるが、「わた」は海の古語で、「わた」+「菜」=「ワタナ」の転訛したものとの説がある。草丈は30~60センチくらいである。根は太くて長い。葉は円形ないしへら形で分厚く、根際から密生する。茎や葉を切ると白い乳液が出る。開花時期は7~11月である。花茎が放射状に出て斜上し、茎先に黄色い花(頭花)がたくさんつく。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Crepidiastrum はギリシャ語の「Crepis(フタマタタンポポ属)+astrum(似た)」からきている。種小名の platyphyllum は「広い葉の」という意味である。写真は11月につくば植物園で撮った。学名:Crepidiastrum platyphyllum★岩肌にへばりつき咲く黄の花は 海との縁をその名に刻み花図鑑植物図鑑