蝦夷の狐薊(エゾノキツネアザミ) 秋の花 2012年09月05日 蝦夷の狐薊(エゾノキツネアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。北海道から本州の東北地方にかけて分布し、道端や草地、畑地などに生える。海外では、朝鮮半島、中国、シベリア、コーカサス地方、ヨーロッパロシアなどにも分布する。草丈は60~180センチくらいである。葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉には柄はない。葉の先は尖り、縁には不規則なぎざぎざ(鋸歯)と棘がある。葉は羽状に切れ込まず、両面に毛が生える。雌雄異株である。開花時期は8~10月くらいである。茎の上部でよく枝分かれをし、枝先に花径1~2センチの紅紫色の花(頭花)を上向きにつける。頭花は筒状花のみからなる。総苞(花序全体を包む葉の変形したもの)は鐘形である。総苞片は反り返らない。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はギリシャ語の「cirsos(静脈腫)」からきている。静脈腫に薬効のある植物につけられた名が転用された。種小名の setosum は「棘状の」という意味である。写真は9月に帯広市の緑ヶ丘公園で撮った。学名:Cirsium setosum(=Breea setosa)★似た花を見た記憶から類推し そうかこれだと膝打つ思い花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|PR
珠芽刺草(ムカゴイラクサ) 秋の花 2012年09月04日 珠芽刺草(ムカゴイラクサ)はイラクサ科ムカゴイラクサ属の多年草である。漢字では「零余子刺草」とも書く。北海道から九州にかけて分布し、山地の林の中や林の縁に生える。海外では、朝鮮半島、中国にも分布する。草丈は30~70センチくらいである。茎は緑色で刺がある。葉は幅広い楕円形で、葉は互い違いに生える(互生)。葉が向かい合って生える(対生)のがイラクサ属との区別点である。葉の縁には刺がある。葉柄のつけ根に珠芽(むかご)をつける。これが名の由来でもある。開花時期は8~9月である。雌雄同株である。雄花は葉の脇から出て、緑白色を帯びる。雌花は茎先から穂を出し、白い刺状の花柱(雌しべ)が目立つ。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Laportea は19世紀のフランスの昆虫学者「ラポルト(F. L. de Laporte)さん」の名からきている。種小名の bulbifera は「鱗茎のある」という意味である。写真は9月に北大植物園で撮った。学名:Laportea bulbifera★葉の脇に瘤がたくさんついている 珠芽刺草棘に覆われ花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
鮹の足(タコノアシ) 秋の花 2012年09月03日 鮹の足(タコノアシ)はユキノシタ科タコノアシ属の多年草である。かつてはベンケイソウ科に分類されていた。分類体系によってはタコノアシ科とされる。本州から九州にかけて分布し、沼や河原などの湿地に生える。海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。生育地の減少によって数が減りつつある。環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。草丈は30~100センチくらいである。茎は直立し、無毛で紅色を帯びる。葉は細長い披針形で、互い違いに生える(互生)。開花時期は8~9月である。茎先から外側に反った穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を数本出し、内側に黄白色の小さな花をたくさんつける。この様子を吸盤のある「鮹の足」に見立てたのが名の由来である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。実が熟すころには全草が紅色に染まり、「ゆで蛸」のようになる。別名を沢紫苑(サワシオン)ともいう。属名の Penthorum はギリシャ語の「pente(5)++horos(特徴)」からきている。花が五数性であることから名づけられた。種小名の chinense は「中国の」という意味である。花の写真は8月につくば植物園で撮った。実の写真は11月につくば植物園で撮った。学名:Penthorum chinense★どことなくユーモラスだね鮹の足 秋の陽受けて真っ赤に染まり花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
秋唐松(アキカラマツ) 秋の花 2012年09月02日 秋唐松(アキカラマツ)はキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草である。北海道から九州にかけて分布し、山野の草地や道端に自える。海外では、朝鮮半島や中国にも分布している。漢字では「秋落葉松」とも書く。草丈は70~150センチくらいである。茎の上部でよく枝分かれをする。葉は2~4回3出複葉である。3出複葉というのは、1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形のことである。何回か枝分かれをして3枚ずつ小葉をつけた全体が1枚の葉となる。小葉は円形ないし楕円形で、先が浅く3つから5つに裂ける。葉の裏面は白味を帯びる。開花時期は7~9月である。茎先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、淡い黄色の小さな花をつける。花弁のように見える萼は3~4枚あるが、早くに落ちる。後は雄しべと雌しべだけの花となる。雄しべが長く飛び出し、黄色く見えるのは雄しべの葯である。花の後にできる実は楕円球状のそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。和名の由来は、花の姿を唐松(カラマツ)に見立て、咲く時期が遅いことからきたものである。近縁種の唐松草(カラマツソウ)に似ているが、花の色で区別ができる。属名の Thalictrum はギリシャ語のthaliktron(葉が枝分かれをする植物の名)からきている。ローマ時代の医師ディオコリデス(Dioscorides)によってカラマツソウ属の名に充てられた。種小名の minus は「より小さい」という意味である。変種名の hypoleucum は「裏面が白い」という意味である。写真は8月に箱根湿生花園で撮った。学名:Thalictrum minus var. hypoleucum★柔らかな萌えるがごとき花の色 秋落葉松は静けさの中☆秋風を楽しむように揺れながら 秋唐松は夕日を浴びて花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
沖縄姫菜切り(オキナワヒメナキリ) 秋の花 2012年08月31日 沖縄姫菜切り(オキナワヒメナキリ)はカヤツリグサ科スゲ属の多年草である。沖縄の固有種である。沖縄本島、石垣島、西表島に分布し、山地の渓流沿いの岩上に生える。別名を沖縄姫菜切り萱(オキナワヒメナキリスゲ)という。分類上は神宮萱(ジングウスゲ)の地域変種とされている。神宮萱(ジングウスゲ)は別名を姫菜切り萱(ヒメナキリスゲ)という。環境省のレッドデータブックでは、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。草丈は40~60センチくらいである。葉は線形である。葉の質は硬く、長さが35~50センチくらいある。つけ根の部分の鞘は濃い褐色をした繊維状となる。開花時期は8~9月である。小穂は長い楕円状の円柱形である。和名は、沖縄に分布して小形であり、葉がざらついて菜っ葉が切れるほどだというところからきている。花の後にできる実は小堅果(皮が堅く、種と接触せずに種を包んでいる果実)である。属名の Carex はギリシャ語の「keirein(切る)」からきている。葉が鋭いことから名づけられた。種小名の sacrosancta は「神聖な場所の」という意味である。変種名の tamakii は植物学者「玉城松栄さんの」という意味である。写真は8月につくば植物園で撮った。学名:Carex sacrosancta var. tamakii★目立たぬが菅の仲間も面白い 地域に応じ姿を変えて花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|