天塩小桜(テシオコザクラ) 春の花 2011年04月27日 天塩小桜(テシオコザクラ)はサクラソウ科サクラソウ属の多年草である。北海道の固有種である。天塩川と問寒別川流域に分布し、蛇紋岩や石灰岩地帯に生える。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は10~15センチくらいである。全体にやわらかな毛が生えている。葉は根元から生え、手のひら形に浅く裂けている。自生地での開花時期は5~6月である。白くて真ん中の部分が黄緑色をした花を2~3輪つける。和名の由来は、北海道の手塩で最初に見つかったことからきている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Primula はラテン語の「primos(最初)」縮小形である。プリムラ・ベリスが早春に他に花に先駆けて咲くことから名づけられた。種小名の takedana は高山植物の研究家「武田久吉さんの」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Primula takedana★北の地に春の歓びひそやかに 伝え花咲く天塩小桜今日の花ドットコム花図鑑PR
桷(ズミ) 春の花 2011年04月26日 桷(ズミ)はバラ科リンゴ属の落葉小高木である。北海道から九州にかけて分布し、山地や原野に生える。また、街路や公園、庭などに植えられる。海外では、朝鮮半島にも分布する。漢字では「棠梨」ないし「酢実」とも書く。和名の由来は、染み(ソミ)の転訛で、樹皮を煮出して黄色の染料に用いたことからきているという。樹高は3~8メートルくらいである。よく枝分かれし、小枝はしばしば棘状になる。若枝には毛がある。葉は円形または楕円形で、時に3つに裂け、互い違いに生える(互生)。開花時期は4~6月である。蕾の時は紅色をしているが、花が開くとほぼ白くなる。稀に淡いピンクのものもある。花弁数は5枚である。果実が成熟するのは9~10月である。果実は小球形で赤く熟する。材は櫛、器具材などに利用される。小林檎(コリンゴ)、小梨(コナシ)、姫海棠(ヒメカイドウ)、三葉海棠(ミツバカイドウ)などの別名がある。属名の Malus はギリシャ語の「malon(リンゴ)」からきている。種小名の sieboldii は日本植物の研究者「シーボルトの」という意味である。花の写真は4月につくば植物園で撮った。実の写真は9月に北大植物園で撮った。学名:Malus sieboldii★桷の実の熟す姿の愛らしく 思わず知らず頬を緩めて今日の花ドットコム花図鑑
小葉の三葉躑躅(コバノミツバツツジ) 春の花 2011年04月25日 小葉の三葉躑躅(コバノミツバツツジ)はツツジ科ツツジ属の落葉低木である。日本固有種である。本州の中部地方から九州にかけて分布し、山地に生える。「三葉」は葉が3枚ということであり、「小葉」は近縁種と比べて葉が小さいということである。樹高は1~3メートルである。普通は枝先に長さ3~5センチの菱形をした3枚の葉を輪になってつける(輪生)。葉の裏面に網目模様がある。開花時期は4~5月である。葉の展開に先立って花を咲かせる。花径は3センチくらいで、漏斗状をした紅紫色の花である。花の柄や萼には毛が多い。上側の花びらの内側には色の濃い斑点がある。雄しべは10本あり、5本は長く5本は短い。属名の Rhododendron はギリシャ語の「rhodon(バラ)+dendron(樹木)」からきている。紅色の花をつける木という意味で名づけられた。種小名の reticulata は「網状の」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Rhododendron reticulatum★花の前に咲かす花色美しく 賑わい誘う躑躅の季節今日の花ドットコム花図鑑
黄菫(キスミレ) 春の花 2011年04月24日 黄菫(キスミレ)はスミレ科スミレ属の多年草である。本州の山梨県から九州にかけて太平洋側に分布し、低山の草原に生える。富士山周辺と阿蘇山周辺に比較的多く見られる。大陸系のスミレで、中国や朝鮮半島にも分布する。環境省のレッドデータブック(2000)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されていた。レッドリスト(2007)で指定から外れた。草丈は5~15センチくらいである。有茎種で茎は直立する。葉は心円形で、上部に3~4枚をつける。葉の縁には波状のぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は3~5月である。茎につく葉の脇から花柄を出し、花径2センチ前後の黄色い花をつける。唇弁と側弁に褐色の筋がある。距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)はきわめて短い。稀に八重咲きのものもある。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Viola はラテン語の「viola(菫)」からきている。種小名の orientalis は「東方の(中近東の)」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Viola orientalis★阿蘇の春彩り咲くか黄菫は 眩しい草地夢に描いて今日の花ドットコム花図鑑
鬼小葉の莢迷(オニコバノガマズミ) 春の花 2011年04月23日 鬼小葉の莢迷(オニコバノガマズミ)はスイカズラ科ガマズミ属の落葉低木である。「迷」の字は正しくはクサカンムリがつく。白山木(ハクサンボク:Viburnum japonicum)と莢迷(ガマズミ:Viburnum dilatatum)との交雑種である。九州の北部で発見された。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は4~5月である。枝先に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、白い小さな花をたくさんつける。花冠は先が5つに裂ける。花の後にできる実は楕円形で、秋には真っ赤に熟する。属名の Viburnum はこの属1種のラテン古名だが意味はわかっていない。種小名の kiusiana は「九州の」という意味である。花の写真は4月につくば植物園で撮った。実の写真は10月につくば植物園で撮った。学名:Viburnum x kiusiana★めずらしい花を見るならここがいい 調べる楽しみ後に控えて今日の花ドットコム花図鑑