アカシア・ルビダ 春の花 2011年04月02日 アカシア・ルビダはマメ科アカシア属の常緑小高木である。分類体系によってはネムノキ科とされる。アカシア属は温帯地域に広く分布し1200種を数えるが、そのうちの700種がオーストラリアに分布する。本種の原産地もオーストラリアで、東南部に分布する。英名はレッドステームワトル(red-stemmed wattle)である。「ワトル」はオーストラリアにおけるアカシアの呼称である。日本では、庭木、公園樹、街路樹、鉢植えなどに利用される。樹高は3~8メートルくらいである。葉は長さが20センチくらいある披針形で、互い違いに生える(互生)。葉は三日月状に反り返る。開花時期は3~4月である。葉の脇から総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、花径6~7ミリくらいで淡い黄色の球状をした頭花をたくさんつける。花の後にできる実は豆果(莢の中に種子が入るもの)である。属名の Acacia はギリシャ語の「akantha(刺(とげ)」からきている。鋭い棘を持つものが多いことから名づけられた。種小名の rubida は「赤味がかった」という意味である。写真は3月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Acacia rubida★葉は長く錆びてるような花の色 個性に満ちたアカシア・ルビダ今日の花ドットコム花図鑑PR
プリムラ・マラコイデス 春の花 2011年01月24日 プリムラ・マラコイデスはサクラソウ科サクラソウ属の多年草である。原産地は中国の雲南省や四川省で、山地に生える。20世紀前半にイギリスを中心に品種改良が行われた。和名を乙女桜(オトメザクラ)という。また、別名を化粧桜(ケショウザクラ)ともいう。夏に弱いので園芸的には一年草扱いをされる。草丈は30センチから40センチくらいである。葉は細長い卵形ないし楕円状の卵形で、根際から生える。表面は細かな毛に覆われ、裏面は白粉を帯びる。開花時期12月から4月である。花茎に輪状になった小花が、段をなしながら咲く。花の色は赤、桃色、白などである。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Primula はラテン語の「primos(最初)」縮小形である。プリムラ・ベリスが早春に他に花に先駆けて咲くことから名づけられた。種小名の malacoides は「軟質の」という意味である。写真は3月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Primula malacoides★段をなし次から次と咲き上る マラコイデスはポピュラーな花今日の花ドットコム花図鑑
クリサンセマム・ムルチコーレ 春の花 2011年01月16日 クリサンセマム・ムルチコーレはキク科コレオステフス属の一年草である。原産地はアルジェリアである。日本へは昭和30年代に渡来した。草丈は15センチから20センチくらいである。よく枝分かれをしてマット状に広がる。葉はへら形で、互い違いに生える(互生)。葉の縁には鈍いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の質はやや肉質で艶がある。開花時期は3月から6月である。茎先に黄色いくっきりした花(頭花)を咲かせる。周りにつく舌状花弁も真ん中の筒状花も黄色い。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。なお、クリサンセマムというのはキク属の総称であるが、このムルチコーレやノースポールなどが特にクリサンセマムの名で呼ばれてきた。属名の読み方は「クリサンテムム」とするものもある。ただし、ムルチコーレは現在では他の属(コレオステフス属)に分類が変わっている。属名の Coleostephus はギリシャ語の「koleos(鞘)+stephanos(冠)」からきている。冠毛の形から名づけられたものである。写真は2月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。学名:Coleostephus myconis (=Chrysanthmum multicaule)★燦然と春を知らせて咲き競う ムルチコーレは乙女のごとく今日の花ドットコム花図鑑
ストック 春の花 2011年01月15日 ストック(stock)はアブラナ科アラセイトウ属の一年草である。ガーデンストック (garden stock)ともいう。原産地は南ヨーロッパである。ストックというのは茎のことで、これは茎が太く丈夫で真っ直ぐに伸びることからつけられた花の名前である。栽培の歴史は古く、古代ギリシャ人やローマ人は薬草として栽培していた。日本へは江戸時代に渡来したとされている。園芸用に生産され始めたのは大正以降のことである。庭植え、鉢植え、切り花などに利用されている。和名は紫羅欄花(アラセイトウ)という。妙な名前だが、葉が厚くて毛に覆われており、ラセイタという布(ポルトガル語で羅紗に似た地の厚い毛織物)に似ていることから転訛したという。種をまく時期によって開花期は異なるが、一般には春の花とされている。俳句の季語も春である。草丈は20センチから80センチくらいである。葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。開花時期は10月から3月くらいである。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、赤、白、ピンク、紫色などの花をつける。八重咲きと一重咲き(4弁花)とがあり、日本では八重咲きが好まれている。花には強い香りがある。花の後にできる実は角果(雌しべの中にある仕切りを残して左右の殻がはがれるもの)だが、八重咲きのものには生殖能力はない。ブロッコリーやカリフラワーと同じアブラナ科なので食べることもできる。属名の Matthiola はイタリアの植物学者「マッティオリさん(P. A. Mattioli)」の名にちなむ。種小名の incana は「灰白色の柔らかい毛で覆われた」という意味である。写真は3月に京都府立植物園で撮った。品種名は上がホワイトアイアン、下がキスミーチェリーである。学名:Mathiola incana★すくすくと天をめざして八重に咲く ストックの花香りにあふれ☆鈴なりの香りも高いストックに 誘われては春も訪れ今日の花ドットコム花図鑑
猿尾枷擬き(サルオガセモドキ) 春の花 2010年12月08日 猿尾枷擬き(サルオガセモドキ)はパイナップル科ハナアナナス属の常緑多年草である。北アメリカの南東部から南アメリカにかけて分布し、木の枝などに垂れ下がる着生植物である。和名の由来は、猿尾枷(サルオガセ)という地衣類に似ていることからきている。英名はスパニッシュモス(Spanish moss)である。草丈は7メートルから8メートルである。根はない。根のように見えるのは、針金のように細い茎である。よく枝分かれをし、小さな葉をつける。水分や養分は葉から取り入れている。全体に白い粉をふいたようで、灰褐色である。開花時期は4月から5月である。淡い黄緑色をした花径2、3ミリの小さな花をつける。写真は12月に沖縄県本部町の熱帯・亜熱帯都市緑化植物園で撮った。学名:Tillandsia usneoides★木の枝に垂れ下がるさまぎょっとする パイナップルの仲間だそうな今日の花ドットコム花図鑑