白花菫(シロバナスミレ) 春の花 2011年04月12日 白花菫(シロバナスミレ)はスミレ科スミレ属の多年草である。別名を白菫(シロスミレ)ともいう。北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、やや標高の高い草原に生える。海外では、朝鮮半島、中国東北部、サハリン、シベリアなどにも分布する。草丈は10~15センチくらいである。地上茎はなく、根際から葉と花柄を出す。葉は長い披針形で、先は尖らない。葉には長い柄があり、縁には低く平らなぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は4~6月である。花径は15~20ミリくらいで、花の色は白い。上弁という上の1対の花びらは後ろに反り返る。側弁という下の1対の花びらには毛が生える。唇弁という下に垂れる花びらには筋が入る。花の後ろに突き出した距は3~4ミリで短い。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Viola はラテン語の「viola(菫)」からきている。種小名の patrinii はフランスの植物採集家「パトラン(E. L. M. Patrin)さんの」という意味である。写真は3月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園の菫展で撮った。学名:Viola patrinii★寒地でも元気に咲くよ白菫 春の訪れ知らせるように今日の花ドットコム花図鑑PR
大和連翹(ヤマトレンギョウ) 春の花 2011年04月11日 大和連翹(ヤマトレンギョウ)はモクセイ科レンギョウ属の落葉低木である。日本固有種である。中国地方の岡山県と広島県に分布し、石灰岩地に生える。日本には本種と小豆島連翹(ショウドシマレンギョウ)が自生する。違いは、本種が葉の展開に先立って花を咲かせることである。環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。樹高は1~2メートルである。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。雌雄異株である。開花時期は4~5月である。花弁は4枚で、花の色は黄色い。花径は25ミリくらいあり大きいが、花のつき方は疎らである。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Forsythia はイギリスの園芸家「フォーサイス(W. A. Forsyth)さん」の名からきている。種小名の japonica は「日本の」という意味である。写真は3月につくば植物園で撮った。学名:Forsythia japonica★ぽつぽつと数えるほどの花つけて 異質に映る大和連翹今日の花ドットコム花図鑑
姫梶苺(ヒメカジイチゴ) 春の花 2011年04月10日 姫梶苺(ヒメカジイチゴ)はバラ科キイチゴ属の落葉低木である。梶苺(カジイチゴ)と苦苺(ニガイチゴ)の交雑種である。本州の関東地方から四国にかけて分布し、海岸近くの山地に生える。樹高は1~3メートルくらいである。枝には棘がある。葉は手のひら状に3つから5つに裂け、互い違いに生える(互生)。葉のつけ根の部分は心形で、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は3~5月である。枝先に花径2~3センチの白い5弁花を咲かせる。花の後にできる実は直径1~2センチのキイチゴ状果(集合核果)で、5~6月に赤く熟する。和名の由来は、葉がクワ科の梶の木(カジノキ)に似ることからきており、小形なので「姫」がつく。属名の Rubus はラテン語の「ruber(赤)」からきている。赤い実がなることから名づけられた。種小名の medius は「中間の」という意味である。写真は3月に小石川植物園で撮った。学名:Rubus x medius★実の色はやっぱり赤がいいのよと 言うがごとくに姫梶苺今日の花ドットコム花図鑑
坪菫(ツボスミレ) 春の花 2011年04月09日 坪菫(ツボスミレ)はスミレ科スミレ属の多年草である。南西諸島を除く日本全国に分布し、高原地帯の湿原のほとりや湿った草原、平地の丘、道端などに生える。海外では、朝鮮半島、中国大陸、サハリン、アムール地方などにも分布する。草丈は5センチから25センチくらいである。有茎種である。葉は丸みを帯びた心形である。葉のつけ根にある托葉に切れ込みがある。茎ははじめのうちは立っていないが、次第に立ち上がってくる。花期は3月から5月くらいである。1センチほどの小さな白い花をつける。壷型をした唇弁の中心部に紅紫色の筋模様があるのが特徴である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。名前の「坪」は庭の意味である。別名を如意菫(ニョイスミレ)と言う。これは僧侶が持つ如意棒のことである。長く伸びてカーブする花茎を如意棒にたとえたものである。俳句の季語は春である。属名の Viola はラテン語の「viola(菫)」からきている。種小名の verecunda は「内気な」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Viola verecunda★誘われて覗いて見れば坪菫 小人になってしばし戯れ☆坪菫涙のかけら落としては 今日の笑顔に変えて輝き今日の花ドットコム花図鑑
針金雀枝(ハリエニシダ) 春の花 2011年04月08日 針金雀枝(ハリエニシダ)はマメ科ハリエニシダ属の落葉低木である。原産地は南西ヨーロッパである。西ヨーロッパからイタリアにかけて分布している。石の多い土地や乾燥した牧草地に生え、観賞用や飼料用として栽培される。ヨーロッパのゴルフ場に植えてあるのをよく見かける。樹高は60~200センチくらいである。幹は綿毛で覆われており、そこから小枝を横に伸ばす。葉は棘状になるが、幼葉には3小葉があり柔らかい。開花時期は3~5月である。棘の多い葉が密集した枝の先に、蝶形をした黄色い小さな花をつける。花弁も毛で覆われている。花の後にできる実は豆果(莢の中に種子が入るもの)である。属名の Ulex はラテン語の古名「ulex(棘のある常緑の低木)」からきている。種小名の europaeus は「ヨーロッパの」という意味である。写真は3月に小石川植物園で撮った。学名:Ulex europaeus★少しだけ離れて見てね痛いから 針金雀枝は気を遣いつつ今日の花ドットコム花図鑑