大衝羽根空木(オオツクバネウツギ) 春の花 2011年05月23日 大衝羽根空木(オオツクバネウツギ)はスイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木である。日本固有種である。本州の東北地方南部から九州にかけて分布し、山地に生える。和名の由来は、衝羽根空木(ツクバネウツギ)よりも大きな花を咲かせることからきている。別名を雌衝羽根空木(メツクバネウツギ)という。樹高は1~2メートルである。樹皮は灰褐色をしている。葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には不揃いなぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は5~6月である。花は長さ2~3センチの漏斗状で、先は唇形に裂ける。花の色は白く、下の唇の内側に橙色の網状紋がある。萼片は5枚で、そのうちの1枚が極端に小さい。これが衝羽根空木(ツクバネウツギ)との区別点でもある。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Abelia はイギリス人の医師「アベル(C. Abel)さん」の名にちなむ。種小名の tetrasepala は「萼片が4つある」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Abelia tetrasepala★アベリアの仲間で大きな花咲かす 萼を比べて違い確かめ今日の花ドットコム花図鑑PR
桜薔薇(サクラバラ) 春の花 2011年05月16日 桜薔薇(サクラバラ)はバラ科バラ属の落葉低木である。中国の四川省や雲南省に分布する庚申薔薇(コウシンバラ:Rosa chinensis)と野茨(ノイバラ:Rosa multiflora)との自然交雑種だと推定されている。樹高は1~3メートルくらいである。葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互生(互い違いに生える)。小葉の形は細長い楕円形である。小葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は4~5月である。桜(サクラ)に似た薄いピンク色のやや大きな花を咲かせる。花径は4~5センチくらいである。一重咲きの5弁花で、花びらのつけ根のほうは色が薄く、グラデーションが美しい。花の後にできる実は偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)である。命名をしたのは牧野富太郎博士である。別名を海棠薔薇(カイドウバラ)ともいう。これは海棠(カイドウ)の花に似ているところからつけられた。属名の Rosa はケルト語の「rhodd(赤色)」からきている。種小名の uchiyama は小石川植物園の園丁長だった「内山富次郎さん」という意味である。写真は5月に小石川植物園で撮った。学名:Rosa uchiyama★さっそうと花を開いて桜薔薇 虫を手招き麗らかな春今日の花ドットコム花図鑑
シラー・ペルビアナ 春の花 2011年05月14日 シラー・ペルビアナはユリ科ツルボ属の多年草である。和名は大蔓穂 (オオツルボ)という。 原産地は地中海沿岸地方である。日本へは明治時代の中期に観賞用として渡来した。草丈は20~50センチくらいである。根際から生える葉は幅の広い線形である。開花時期は4~6月である。茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、濃い青紫色をした星形の小さな花をたくさんつける。花は下から上へと咲いていく。花被片は6枚である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。ツルボ属は温帯地域などに100種くらい分布しているという。属名の Scilla はギリシャ語の「skyllo(有害)」からきている。 地下茎部分が有毒であることから名づけられた。種小名の peruviana は「ペルーの」という意味である。ペルー産ということではなく船の名前からきている。写真は5月に埼玉県三郷市で撮った。学名:Scilla peruviana★紫の花はいかがと手を広げ 君を手招く毒婦のように今日の花ドットコム花図鑑
紋付雛罌粟(モンツキヒナゲシ) 春の花 2011年05月13日 紋付雛罌粟(モンツキヒナゲシ)はケシ科ケシ属の一年草である。原産地は西アジアやコーカサス地方である。日本でも帰化が確認されている。草丈は30~60センチくらいである。葉は羽状に裂け、互い違いに生える(互生)。葉には黒い小さな斑が入っている。開花時期は4~5月である。茎先に花径5~7センチくらいの赤い4弁花をつける。花びらのつけ根の部分には黒く大きな斑が入る。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。和名はこれを「紋付」に見立てたものである。流通名をピエロともいう。これは花の姿をピエロにたとえたものである。属名の Papaver はラテン語の「papa(幼児に与える粥)」からきている。ケシの乳汁に催眠作用があるため、粥に混ぜて子どもを寝かせたという。種小名の commutatum は「変化した」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Papaver commutatum★戦火なき世界をつくる夢託し 花壇彩る紋付雛罌粟今日の花ドットコム花図鑑
細葉天南星(ホソバテンナンショウ) 春の花 2011年05月12日 細葉天南星(ホソバテンナンショウ)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草である。日本固有種である。本州の関東地方から近畿地方にかけて太平洋側に分布し、山地の林の中に生える。箱根や富士山でよく見られるという。草丈は40~80センチくらいである。葉は2枚が互い違いに生える(互生)。葉は10~20枚くらいに深く裂ける。裂片の形は線状披針形で細長い。それが和名の由来でもある。開花時期は4~6月くらいである。仏炎苞(サトイモ科の肉穂花序に見られる花序を被う大形の苞)は緑色で、白いストライブが入る。付属体がこん棒状ではなく、先が細いのが特徴である。花の後にできる実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)の集合果である。属名の Arisaema はギリシャ語の「aris(植物名の1つ)+haima(血)」からきている。血のような斑点が葉にある植物といった意味合いになる。種小名の angustatum は「狭くなった」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Arisaema angustatum★細い葉と緑の苞が違うんだ いろいろあるね天南星も今日の花ドットコム花図鑑