紫紺野牡丹(シコンノボタン) 秋の花 2010年10月29日 紫紺野牡丹(シコンノボタン)はノボタン科シコンノボタン属(ティボウキナ属)の常緑半低木である。「野牡丹」の名でも流通しているが、日本原産の野牡丹(ノボタン)はノボタン属で仲間が異なる。原産地はブラジルである。樹高は100センチから150センチくらいである。寒さには比較的強く、暖地では冬でも屋外で育てることができる。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。葉にはビロード状の短い毛が生え、観葉植物としても楽しめる。開花時期は二度あり、9月から12月と3月から5月である。濃い紫の比較的大きな美しい花をつける。野牡丹(ノボタン)とは雄しべの色が異なり、紫色である。花は一日花で、朝咲いて翌日には散る。写真は10月に芦ノ湖野草園で撮った。学名:Tibouchina urvilleana★鮮やかな紫の花次々と 咲かせ花散る紫紺野牡丹今日の花ドットコム花図鑑PR
亀葉引起し(カメバヒキオコシ) 秋の花 2010年10月28日 亀葉引起し(カメバヒキオコシ)はシソ科ヤマハッカ属の多年草である。亀葉の引起し(カメバノヒキオコシ)とするものもある。東北地方の南部から中部地方にかけて分布し、山地の木陰などに生える。名の由来は、葉の先が3つに裂け、中央の裂片が亀の尾のように長く伸びるところからきている。なお、引起し(ヒキオコシ)というのはシソ科の植物で、由来は「葉が苦くて起死回生の力がある」ということから命名されている。草丈は60センチから90センチくらいである。開花時期は8月から10月である。茎の断面は四角形で、細かい毛が生える。葉は卵円形で、向かい合って生える(対生)。葉には柄があり、葉の縁には鋭いぎざぎざ(鋸歯)がある。茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、淡い紫色をした唇形の花をたくさんつける。上の唇は立ち上がり、下の唇は舟形である。萼片は5枚である。写真は10月に箱根湿生花園で撮った。学名:Isodon umbrosus var. leucanthus form. kameba(=Plectranthus kameba)★面白い名前にひかれしげしげと 見入る小花はぷるぷる震え今日の花ドットコム花図鑑
谷麝香草(タニジャコウソウ) 秋の花 2010年10月27日 谷麝香草(タニジャコウソウ)はシソ科ジャコウソウ属の多年草である。日本固有種である。本州の関東地方から九州にかけて分布し、山地の林の中や谷間に生える。草丈は50センチから100センチくらいである。茎は紅紫色を帯びていることが多い。葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)があり、麝香(じゃこう) の香りがする。開花時期は9月から10月である。葉の脇に紅紫色をした唇形の花を1輪から3輪つける。近縁種の麝香草(ジャコウソウ)によく似ているが、花の柄が著しく長いのが特徴である。写真は10月に箱根湿生植物園で撮った。学名:Chelonopsis longipes★横向きに唇つんと突き出して 紅紫の谷麝香草今日の花ドットコム花図鑑
吾亦紅(ワレモコウ) 秋の花 2010年10月26日 吾亦紅(ワレモコウ)はバラ科ワレモコウ属の多年草である。北海道から九州にかけて分布し、野山の草原に生える。昔から広く親しまれる山野草の1つである。海外では、朝鮮半島、中国、シベリア、ヨーロッパなどに分布する。漢字では「吾木香」「割木瓜」「我毛香」などの文字も充てられる。草丈は30センチから100センチくらいである。葉は茎の下部につくか、根際から伸びる。奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、5枚から13枚で1組となる。小葉の形は長めの楕円形である。茎につく葉は互い違いに生える。開花時期は7月から11月である。枝分かれした茎の先に、楕円形をした赤紫色の花穂をつける。1つの花は4枚の萼からなり、花弁はない。花穂の上から順に咲く。根茎は黒褐色で太く、生薬の地楡(じゆ)となる。下痢止めや、傷の止血、やけどに効くとされる。また、若葉は食用となり、和え物、油いため、佃煮などにする。俳句の季語は秋である。写真は10月に箱根湿生花園で撮った。学名:Sanguisorba officinalis★吾亦紅燃やす炎はさり気なく されど尽きない種火のように今日の花ドットコム花図鑑
葉隠釣舟(ハガクレツリフネ) 秋の花 2010年10月25日 葉隠釣舟(ハガクレツリフネ)はツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草である。本州の紀伊半島と四国、それに九州の中南部に分布し、山地の林の縁や湿地に生える。中央構造線の南側に分布する「ソハヤキ要素」の植物の1つである。草丈は30センチから80センチくらいである。葉は楕円形で縁にぎざぎざ(鋸歯)があり、互い違いに生える(互生)。葉の表面にも裏面にも、葉脈上に白い縮れ毛が生える。開花時期は7月から10月である。花は葉の脇からぶら下がってつく。花の色は淡い紅紫色で、濃い斑点がある。距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)は内側に曲がるが巻き込まない。葉の下に隠れるように咲く「釣舟草」というのが名の由来である。写真は10月に箱根湿生花園で撮った。学名:Impatiens hypophylla★ひっそりと隠れるように花つけて 人待ち顔の葉隠釣舟今日の花ドットコム花図鑑