竜胆(リンドウ) 秋の花 2010年10月09日 竜胆(リンドウ)はリンドウ科リンドウ属の多年草である。本州から奄美大島にかけて分布し、山野に生える。分類上は、朝鮮竜胆(チョウセンリンドウ)の変種とされている。草丈は30センチから100センチくらいである。根茎は薄黄色で、少し肥大して長くのび、多数のひげ状の根をつける。葉は披針形で向かい合って生え(対生)、少しざらつく。開花時期は9月から11月である。茎の先や上部の葉の脇に青紫色をした鐘形の花を開く。花冠は長さ4センチから5センチで、先が5つに裂ける。花は日が当たると開き、翳るとしぼんでしまう。根は苦みが強く、竜胆(りゅうたん)の生薬名で健胃薬とされる。熊胆(のうたん=くまのい)より苦いということから竜の胆の名がついたそうである。俳句の季語は秋である。写真は10月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Gentiana scabra var. buergeri★地より湧き花びら折りし星影は 空の青さと競うがごとく今日の花ドットコム花図鑑PR
沢白菊(サワシロギク) 秋の花 2010年10月08日 沢白菊(サワシロギク)はキク科シオン属の多年草である。日本固有種である。本州から九州にかけて分布し、日当たりの良い湿地に生える。草丈は30センチから60センチくらいである。葉は細長い披針形で、互い違いに生える(互生)。縁にはぎざぎざ(鋸歯)がわずかにある。開花時期は8月から10月である。舌状花ははじめは白く、後に淡い紅色を帯びる。花径は3センチくらいで、舌状花に囲まれて真ん中に黄色い筒状花がある。写真は9月につくば植物園で撮った。学名:Aster rugulosus ★さわさわと風に揺られる花姿 沢白菊はどこか切なく今日の花ドットコム花図鑑
溝蕎麦(ミゾソバ) 秋の花 2010年10月07日 溝蕎麦(ミゾソバ)はタデ科イヌタデ属(タデ属)の一年草である。北海道から九州にかけて分布し、湿気のある草地や田の畔などに生える。海外では、朝鮮半島、台湾、中国、ウスリー地方、アッサム地方などにも分布する。草丈は30センチから80センチくらいである。茎には下向きの棘がある。葉はほこ形で、互い違いに生える(互生)。開花時期は8月から10月である。茎先に淡い紅色の小さな花を球状につける。花弁に見える部分は萼片で、花弁はない。和名の由来は、実が蕎麦(ソバ)に似ていて、溝など湿気のある所に生えることからきている。実際に、飢饉の際には「救荒植物」として利用されたという。別名を牛の額(ウシノヒタイ)という。これは葉の形を牛の顔に見立てたものである。写真は9月に北大植物園で撮った。俳句の季語は秋である。学名:Persicaria Thunbergii(=Polygonum thunbergii)★薄っすらとピンクを帯びた蕾見て 咲いてごらんと手のひらかざし今日の花ドットコム花図鑑
水葵(ミズアオイ) 秋の花 2010年10月06日 水葵(ミズアオイ)はミズアオイ科ミズアオイ属の一年草である。北海道から九州にかけて分布し、水辺の湿地や水田などに生える。海外では、朝鮮半島、中国、ウスリー地方などにも分布する。古名を菜葱(ナギ)といい、葉を食べたという。環境省のレッドデータリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。草丈は20センチから50センチくらいである。根際から生える葉には長い柄がある。葉の形は心形で、厚くて艶がある。葉の形が葵に似ているというのが和名の由来である。開花時期は8月から10月である。葉より上まで伸びる総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、青紫色の花をつける。花びら(花被片)は6枚で、内側の3枚の花びら(内花被片)は外側の花びら(外花被片)に比べて幅が広い。6本ある雄しべのうち5本の葯は黄色で、残る1本は大きく下に垂れて葯は紫色である。雌しべは1本で下側に曲がる。花は一日花である。写真は9月に市川市万葉植物園で撮った。俳句の季語は夏である。学名:Monochoria korsakowii★一日の命燃やして水葵 水辺にそっと佇みおれば今日の花ドットコム花図鑑
三手琴柱草(ミツデコトジソウ) 秋の花 2010年10月05日 三手琴柱草(ミツデコトジソウ)はシソ科アキギリ属の多年草である。分類上は、黄花秋桐(キバナアキギリ)の変種とされている。特徴は、基本種よりも小形で、葉の三角形の張り出しが強いことである。高知県と鹿児島県に分布し、山地に生える。高知県では三葉琴柱草(ミツバコトジソウ)、鹿児島県では深山琴柱草(ミヤマコトジソウ)の名が用いられ、いずれも県の絶滅危惧種とされている。草丈は20センチから40センチくらいである。葉は三角状鉾形で、向かい合って生える(対生)。開花時期は8月から10月くらいである。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、黄色い唇形の花を段になってつける。写真は9月に京都府立植物園で撮った。学名:Salvia nipponica var. trisecta★葉の形少し違っているんだよ 比べてごらんきっとわかるさ今日の花ドットコム花図鑑