オクシストフィルム・アトロルベンス 冬の花 2011年11月12日 オクシストフィルム・アトロルベンスはラン科オクシストフィルム属の常緑多年草である。マレー半島、カリマンタン島に分布し、標高900~1500メートルの森に生える着生種である。デンドロビウム属(Denerobium)に近い仲間である。草丈は10センチくらいである。葉は披針形(笹の葉のような形)で、重なり合うようにつく。葉の質は分厚く、淡い緑色をしている。開花時期は冬である。茎先に花径1センチくらいの小さな暗い赤色の花をつける。属名の Oxystophyllum はギリシャ語の「oxys(鋭い)+phyllum(葉)」からきている。種小名の atrorubens は「暗赤色の」という意味である。写真は12月につくば植物園で撮った。学名:Oxystophyllum atrorubens★小さくてランとは思えぬ地味な花 葉っぱのほうが目立っているよ花図鑑植物図鑑PR
金花茶(キンカチャ) 冬の花 2011年01月21日 金花茶(キンカチャ)はツバキ科ツバキ属の常緑低木である。中国広西省南部のベトナムに近い地方に分布し、熱帯雨林の中に生える。中国では「茶」は「椿」を意味する。発見されたのは1965年のことである。中国の天然記念物にも指定され、国外への持ち出しは禁止されてきた。日本へ渡来したのは1980年である。樹高は2メートルから5メートルである。葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉は長さが10センチから15センチと大きく、表面に光沢がある。開花時期は11月から3月である。鮮やかな黄色い花を咲かせる。一重咲きの中輪である。花径は4センチから6センチで、花弁数は6枚から8枚である。雄しべを包み込むように咲く。花には芳香がある。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。英名はゴールデンカメリア(golden camellia)である。黄花を咲かせる椿の原種になっている。中国では、糖尿病治療にも使われているという。属名の Camellia はイエズス会の宣教師「カメル(G. J. Kamell)さん」の名からきている。マニラに住み、東アジアの植物を採集した。種小名の chrysantha は「黄色の花の」という意味である。写真は1月に夢の島熱帯植物館で撮った。学名:Camellia chrysantha★香りよく黄も鮮やかな金花茶は 春の喜び伝えるように今日の花ドットコム花図鑑
西洋雲間草(セイヨウクモマグサ) 冬の花 2011年01月20日 西洋雲間草(セイヨウクモマグサ)はユキノシタ科ユキノシタ属の常緑多年草である。原産地は北ヨーロッパである。別名を洋種雲間草(ヨウシュクモマグサ)ともいう。また、園芸店では単に雲間草(クモマグサ)としても出回っているが、これは日本に自生する雲間草(クモマグサ: Saxifraga merkii var. idsuroei)とは別のものである。和名の由来は、高い山の雲の間に生えている草でヨーロッパ産というところからきている。英名はアイリッシュサキシフラガ(Irish saxifrage)である。草丈は10センチから15センチくらいである。茎が地面を這うように伸びる。根際から生える葉はくさび状で柄があり、葉身は3つに裂け、さらに両端の裂片は2つに裂ける。形状には変異がある。開花時期は1月から4月くらいである。茎先に花径15ミリから30ミリの5弁花を咲かせる。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。花の色は赤、ピンク、白などがある。属名の Saxifraga はラテン語の「saxum(石)+frangere(砕く)」からきている。この属のある植物が尿の結石を溶かす作用があると考えられたことから名づけられた。種小名の rosacea は「バラのような」という意味である。写真は1月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Saxifraga rosacea★少しだけ花茎立ててほんわかと 雲間草咲く春はあけぼ今日の花ドットコム花図鑑
シクラメン 冬の花 2011年01月17日 シクラメンはサクラソウ科シクラメン属の多年草である。原産地は地中海沿岸地方、西アジアである。ヨーロッパで品種改良が進められた。日本へは明治時代の末期に渡来した。現在では、鉢植え植物のトップクラスに成長している。また、寒さに強く屋外に植えられる品種も開発され、ガーデンシクラメンとして普及している。草丈は10センチから40センチくらいである。根際から生える葉には長い柄があり、心臓形ないし円形である。葉の表面には斑が入り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は10月から4月くらいである。花は茎先に1輪ずつ咲く。花の色は、赤、白、紫色、ピンクなどのものがあり、クリーム色のものも作出されている。花冠は5つに裂ける。萼片は5枚である。雄しべは花冠のつけ根の部分に合着していて短い。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。園芸品種では、グラデーションのかかるものや多弁咲きのものなどが開発されている。和名は篝火花(カガリビバナ)という。反り返る花びらの様子などから名づけられたものであろう。命名者は牧野富太郎博士である。別名を豚の饅頭(ブタノマンジュウ)という。これは英名のsow bread(雌豚のパン)を訳してつけられた名である。英名は球根が豚の餌になることから名づけられたものである。どちらも現在ではほとんど使われることがない。俳句の季語は春である。属名の Cyclamen はギリシャ語の「cyklos(円)」からきている。球形に近い球根の形からつけられた名である。種小名の persicum は「ペルシャの」という意味である。写真は12月に板橋区立熱帯環境植物館で撮った。品種名はビクトリアとモンブランである。学名:Cyclamen persicum★シクラメン花びら一つ君の背に 狂おしいほど強く抱き締め☆燃え盛る想いよ届け君のもと 篝火花は可憐に咲いて今日の花ドットコム花図鑑
カランコエ・ラウヒー 冬の花 2011年01月14日 カランコエ・ラウヒーはベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属(カランコエ属)の常緑多年草である。原産地は、中央アフリカからマダガスカル島である。カランコエには園芸品種が多いが、本種は原種である。草丈は40センチから80センチくらいである。葉は披針形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁には鋸状の粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の質は革質で分厚く、艶がある。開花時期は12月から3月である。伸ばした花茎の先に散形花序(たくさん枝が出て、先に1個つずつ花がつく)を出し、朱赤色をした鐘形の花を下垂して咲かせる。花冠の先は4つに裂ける。流通名を幸来花(コウライカ)という。属名の Kalanchoe は、中国名の「加籃菜」の音に由来するという説がある。種小名の rauhii はマダガスカルの植物の研究者であるドイツ人の「ラウーさん(W. Rauh)の」という意味である。ハイデルベルク大学附属植物園の園長だった人である。写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Kalanchoe rauhii★うな垂れて明かり灯して密やかに 咲くを眺める南国の花今日の花ドットコム花図鑑