寒蘭(カンラン) 冬の花 2010年12月16日 寒蘭(カンラン)はラン科シュンラン属(シンビジウム属)の常緑多年草である。本州の静岡県から沖縄にかけて分布し、広葉樹林の林の中に生える地生種である。しかし、愛好家による乱獲によって絶滅状態に近いという。環境省のレッドデータリスト(2007)では、「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。海外では、台湾や中国にも分布する。草丈は40センチから60センチくらいである。茎は細くて硬い。線形の葉を数枚つける。葉の表面には艶があり、やや反り返って伸びる。開花時期は11月から1月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、数個の花をつける。花径は5センチから7センチくらいで、よい香りがする。花は3枚の萼片と3枚の花弁からなる。萼片は細く、3方に開く。花弁のうち2枚は細長く、先が尖る。色は淡い緑色で、紫色を帯びるものもある。もう1枚を唇弁といい、普通は黄白色に赤紫色の斑点が入る。写真は12月につくば植物園で撮った。学名:Cymbidium kanran★幻の花とするまい寒蘭を 人の性(さが)とは悲しけれども今日の花ドットコム花図鑑PR
細葉海菜(ホソバワダン) 冬の花 2010年12月02日 細葉海菜(ホソバワダン)はキク科アゼトウナ属の多年草である。本州の島根県、山口県の日本海側から沖縄にかけて分布し、海岸の岩場などに生える。海外では、朝鮮半島の南部や中国にも分布する。草丈は20センチから50センチくらいである。根茎は木質化していて太い。根際から生える葉はロゼット状(茎から葉が重なり合って出て地に接し、円座形になったもの)に広がる。葉の形はへら状の細長い楕円形である。近縁種の海菜(ワダン)に比べて葉が細いというのが名の由来である。なお、「ワダ」は海を意味する古語、「ン」は菜の転訛したものといわれる。沖縄方言では「ンジャナ」という。沖縄では琉球王朝時代から灰汁消しとして葉を魚汁や肉汁に入れたり、細かく刻んでツナや豆腐と和えて食べてきたという。開花時期は10月から1月である。茎先から散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、薬師草(ヤクシソウ)に似た黄色い花(頭花)を次々とつける。舌状花の先はぎざぎざに切れ込んでいる。写真は12月に沖縄県本部町の熱帯・亜熱帯都市緑化植物園で撮った。学名:Crepidiastrum lanceolatum★海の香を嗅ぎつ冬場の岩の上 細葉海菜は黄花広げて今日の花ドットコム花図鑑