藪椿(ヤブツバキ) 冬の花 2011年12月02日 藪椿(ヤブツバキ)はツバキ科ツバキ属の常緑高木である。本州の青森県から沖縄にかけて分布する。海外では、朝鮮半島にも分布する。一般的に椿(ツバキ)と呼ばれ、園芸品種の基本種となっている。花の咲き方などに変異が多い。万葉集のころから知られるが、近世に入り茶花として愛好されて多くの園芸品種が生まれた。樹高は10~15メートルである。葉は長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には疎らなぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の表面は濃い緑色で艶がある。葉脈は比較的不鮮明である。開花時期は10~4月である。花の色は基本的には赤で、花径5~8センチくらいの筒状の5弁花を咲かせる。雄しべはたくさんある。離弁花だが花弁のつけ根と雄しべが合着しているので、花びら1枚ずつは散らないで1花ごと落花する。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。種子からは椿油を採取する。材は工芸品、細工物などに使われる。俳句の季語は春である。属名の Camellia はイエズス会の宣教師「カメル(G. J. Kamell)さん」の名からきている。マニラに住み、東アジアの植物を採集した。種小名の japonica は「日本の」という意味である。写真は3月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。学名:Camellia japonica★見参と雪割り咲いて藪椿 深き緑に霊を宿らせ花図鑑植物図鑑PR
シンビジウム・エンシフォリウム 冬の花 2011年11月30日 シンビジウム・エンシフォリウムはラン科シュンラン属の常緑多年草である。日本では九州の長崎県、熊本県に分布する。海外では中国、ベトナム、カンボジア、インドネシアなどに分布する。和名は駿河蘭(スルガラン)という。和名の由来は、駿河地方で園芸用に栽培されていたことからきている。環境省のレッドリスト(2007)では、「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である絶滅危惧ⅠA類(CR)に登録されている。草丈は40センチくらいである。葉は剣状である。開花時期は冬である。茎先に花径6センチくらいの淡い緑色の花をつける。属名の Cymbidium はギリシャ語の「cymbe(舟)+eidso(形)」からきている。唇弁の形から名づけられた。種小名の ensifolium は「剣形葉の」という意味である。写真は12月につくば植物園で撮った。学名:Cymbidium ensifolium★落ち着いた色合い見せる駿河蘭 一目でわかる東洋の花花図鑑植物図鑑
スノーランド 冬の花 2011年11月29日 スノーランド(Snowland)はキク科フランスギク属の一年草である。原種はレウカンテムム・パルドサム(Leucanthemum paludosum)という。原産地はスペイン、ポルトガルなど地中海沿岸地方である。ほかにノースポール(North Pole)などの品種がある。スノーランドは、中でも大輪で矮性の品種である。日本へは1970年代に渡来した。草丈は20~30センチくらいである。葉は羽状で、互い違いに生える(互生)。開花時期は11~5月である。秋から春まで長く花を楽しめる。舌状花は白く、筒状花は黄色い。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Leucanthemum はギリシャ語の「leukos(白)+anthemon(花)」からきており、「白い花」を意味する。種小名の paludosum は「沼地に生える」という意味である。写真は10月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Leucanthemum paludosum 'Snowland'★身をかがめ覗いてみれば清楚なる スノーランドの花に出合いて花図鑑植物図鑑
ルエリア・コロラタ 冬の花 2011年11月24日 ルエリア・コロラタはキツネノマゴ科ルイラソウ属(ルエリア属)の常緑多年草である。属名の読み方は「リュエリア」とするものもある。原産地は中南アメリカである。ペルー、エクアドル、コロンビアなどに分布する。草丈は30~60センチくらいである。葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。葉には艶があり、先は細く尖る。開花時期は12~5月くらいである。葉の脇から花茎を伸ばし、たくさんの花をつける。赤く大きな部分は苞である。花は真ん中にあるオレンジ色の部分で、雄しべと雌しべが花筒から突き出す。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Ruellia はフランスの植物学者「リュエル(J. Ruelle)」の名からきている。種小名の colorata は「彩色された」という意味である。写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Ruellia colorata★赤々と燃え立つようなコロラタが 咲けば温室熱気溢れて花図鑑植物図鑑
立寒椿(タチカンツバキ) 冬の花 2011年11月23日 寒椿(カンツバキ)はツバキ科ツバキ属の常緑低木である。山茶花(サザンカ)を母種としたカンツバキ群の園芸品種である。枝が横に広がる傾向がある。これに対して枝が上に伸びるものは、立寒椿(タチカンツバキ)といって区別をする。庭園樹や公園樹などに利用される。樹高は3~5メートルくらいである。葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は尖り、縁には鈍いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の色は暗い緑色で艶がある。開花時期は11~2月くらいである。花の色は紅色で、花径8センチくらいの八重咲きである。属名の Camellia はイエズス会の宣教師「カメル(G. J. Kamell)さん」の名からきている。マニラに住み、東アジアの植物を採集した。種小名の hiemalis は「冬季の」という意味である。写真は11月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。学名:Camellia x hiemalis 'Tachikantsubaki'★咲き時は今か今かと待ちかねて 大輪開く立寒椿花図鑑植物図鑑