羽前鳥兜(ウゼントリカブト) 秋の花 2011年08月26日 羽前鳥兜(ウゼントリカブト)はキンポウゲ科トリカブト属の多年草である。日本固有種である。「羽前」というのは山形県の旧国名である。蔵王山の山形県側で発見されたのが名の由来である。本州の東北地方と関東地方に分布する。秋田県では絶滅危惧種に指定している。奥鳥兜(オクトリカブト)とよく似ているが、花の柄に腺毛が生えることで区別される。草丈は50~180センチくらいになる。葉は5つから7つに裂けるが、細長い裂片には分かれず丸味がある。裂片の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)があり、重鋸歯(大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざがある)である。開花時期は8~10月である。濃い青紫色の花を咲かせる。花びらのように見えるのは萼である。萼の中に細長い花弁が2枚ある。たくさんの雄しべが見える。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。属名の Aconitum はギリシャ語の「hierax(=鷹)」からきている。鷹がこの属の植物で目を洗うと考えられたことから名づけられた。種小名の okuyamae は「奥山さんの」という意味である。写真は8月に山形市野草園で撮った。学名:Aconitum okuyamae★峰連ね雪待つ山に花開く 羽前の国に固有の姿花図鑑植物図鑑PR
小伊吹薊(コイブキアザミ) 秋の花 2011年08月22日 小伊吹薊(コイブキアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。伊吹山の固有種である。山頂に近いお花畑に生える。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は40センチから100センチくらいである。葉は長い楕円形で、羽状に裂ける。葉には鋭い棘があり、茎に密集する。開花時期は8月から10月である。茎先に淡い紅紫色をした花(頭花)を密につける。花径は2センチくらいである。総苞は筒状で、蜘蛛毛(蜘蛛の巣のような細くからまっている毛)があり粘る。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はギリシャ語の「cirsos(静脈腫)」からきている。静脈腫に薬効のある植物につけられた名が転用された。種小名の confertissimum は「密生した」という意味である。写真は8月に伊吹山で撮った。学名:Cirsium confertissimum ★この土地がとても似合いの咲き方に 惚れ惚れとする小伊吹薊花図鑑植物図鑑
徳利木綿(トックリキワタ) 秋の花 2010年12月14日 徳利木綿(トックリキワタ)はパンヤ科(キワタ科)トックリキワタ属の落葉高木である。原産地はボリビア、ブラジル、アルゼンチンである。別名を酔いどれの木(ヨイドレノキ)という。これはスペイン語の「パロ・ボラーチョ」=palo(木)borracho(酔った)を和訳したものだという。沖縄にも戦後に導入され、公園樹として人気がある。樹高は10メートルから20メートルである。幹の真ん中あたりが太くて徳利状になる。幹には角のような大きな棘がある。葉は手のひら状の複葉で、小葉は5枚から9枚である。開花時期は9月から12月である。枝先に花径10センチから20センチくらいある鮮やかなピンクの花をつける。花びらは5枚で、先のほうがピンクになり、真ん中は白い。10センチくらいある長くて白い花柱が目立つ。白花のものもある。花の後には緑色をした紡錘形の実がつき、黒く熟する。中の種子には長い繊維質の白い毛がついている。この白い毛は枕や座布団の綿として使われる。また、材は下駄や漆器に用いられる。写真は11月に本部町の熱帯・亜熱帯都市緑化植物園で撮った。3枚目は9月に大阪市の咲くやこの花館で撮った。学名:Chorisia speciosa★この木にもきれいな花が咲くのかと 驚き見つめる徳利木綿今日の花ドットコム花図鑑
先島芙蓉(サキシマフヨウ) 秋の花 2010年12月10日 先島芙蓉(サキシマフヨウ)はアオイ科フヨウ属(ヒビスクス属)の常緑低木である。九州の南部から沖縄にかけて分布し、山野に生える。海外では、台湾や中国にも分布する。樹高は1メートルから3メートルである。葉は7センチから11センチの五角状円形ないし幅広い卵形で、互い違いに生える(互生)。葉は先のほうで浅く3つに裂ける。開花時期は10月から12月である。花は白花のものと淡いピンクを帯びたものがある。種小名の makinoi は「牧野富太郎の」を意味する。写真は11月に沖縄県本部町の熱帯・亜熱帯都市緑化植物園で撮った。学名:Hibiscus makinoi★咲く花は小さいけれど野生ゆえ 力強いよ先島芙蓉今日の花ドットコム花図鑑
沖縄菊(オキナワギク) 秋の花 2010年12月06日 沖縄菊(オキナワギク)はキク科シオン属の多年草である。鹿児島県の奄美大島から沖縄県の沖縄本島にかけて分布し、海岸の岩場に生える。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は10センチから15センチくらいである。株元から匍匐茎を伸ばして繁殖する。根際から生える葉はロゼット状(茎から葉が重なり合って出て地に接し、円座形になったもの)となる。葉の形は円形ないし倒卵形で、両面に粗い毛が生える。花茎にもたくさん毛が生える。開花時期は11月から12月くらいである。花径は2センチくらいで、ほのかな香りがする。筒状花は黄色、舌状花は白ないし淡い紫色である。写真は12月に沖縄県本部町の熱帯・亜熱帯都市緑化植物園で撮った。学名:Aster miyagii★群生をすれど目立たず見過ごして てくてく戻る君はいずこと今日の花ドットコム花図鑑