神威ビランジ(カムイビランジ) 夏の花 2012年08月09日 神威ビランジ(カムイビランジ)はナデシコ科マンテマ属の多年草である。北海道固有種である。日高山脈と十勝地方に分布し、高山の岩礫地に生える。環境省のレッドリスト(2007)では、「IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種」である絶滅危惧IB類(EN)に登録されている。和名の由来は、日高山脈のカムイエクウチカウシ山で発見されたことからきている。なお、「ビランジ」の名の由来は不明である。牧野富太郎博士も由来不明としている。草丈は5~10センチくらいである。根際から生える葉は披針形で、そこから茎が束生する。葉には柄はなく、葉の縁に疎らに短い毛が生える。茎につく葉は向かい合って生える(対生)。開花時期は8月である。茎先に普通は1輪の淡い紅紫色の花をつける。花びらは5枚で、花びらの先は少しへこむ。萼は筒形で、ほとんど毛は生えておらず、先は5つに裂ける。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Silene はギリシャ神話の「シレネス(Silenes、バッカスの養父)」からきている。この属には粘液性の分泌液を出すものが多いので、これを酔って泡だらけになった様子にたとえた。種小名の hidaka-alpina は「日高山脈に生える」という意味である。写真は4月に大阪市の咲くやこの花館で撮った。学名:Silene hidaka-alpina★険しくて人寄せつけぬ峰に咲く 北国の花夏は短く花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|PR
犬菊芋(イヌキクイモ) 夏の花 2012年08月08日 犬菊芋(イヌキクイモ)はキク科ヒマワリ属の多年草である。原産地は北アメリカの中部である。日本でも逸出したものが野生化し、空き地や河原などに生えている。菊芋(キクイモ)と極めて近い仲間で、両者を区別しないとする説もある。草丈は1~3メートルくらいである。茎は直立し、毛はほとんど生えていない。葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。下部の葉は向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。葉のつけ根の部分はくさび形である。開花時期は7~9月である。花径は6~8センチくらいである。頭花は筒状花も舌状花も黄色い。舌状花は8~15枚くらいである。本種の場合、舌状花の先がやや尖るのが特徴である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。長い地下茎の先には塊茎を形成する。本種の塊茎は菊芋(キクイモ)に比べて小さい。塊茎は食用ないし飼料用とされるところから、役に立たないということで「犬」の字が冠せられた。なお、近縁種の菊芋擬き(キクイモモドキ)には塊茎ができない。属名の Helianthus はギリシャ語の「helios(太陽)+anthos(花)」が語源。日に向いて開く様子や花の姿をたとえたもの。種小名の strumosus は「腫れたような膨らみのある」という意味である。写真は9月に北大植物園で撮った。学名:Helianthus strumosus★野生ゆえ芋の形は小さいが いざそのときと犬菊芋は花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
愛鷹麝香草(アシタカジャコウソウ) 夏の花 2012年08月07日 愛鷹麝香草(アシタカジャコウソウ)はシソ科ジャコウソウ属の多年草である。静岡県、山梨県、愛媛県に分布し、山地の谷間に生える。草丈は15~40センチくらいである。近縁種の麝香草(ジャコウソウ)に比べて小さく、茎や葉にたくさん毛が生えている。葉は卵形で、互い違いに生える(対生)。葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~9月である。茎の上部の葉の脇から1センチくらいの柄を出し、濃い紅紫色で唇形をした花を下向きにつける。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。和名の由来は、静岡県の愛鷹山で発見され、茎や葉が麝香(ジャゴウ)のようなよい香りがするというところからきている。属名の Chelonopsis はギリシャ語の「chelone(亀)+opsis(似た)」からきている。花冠の形が亀の首に似ているということで名づけられた。種小名の yagiharana は発見者「八木原傅三郎さんの」という意味である。写真は8月に日光植物園で撮った。学名:Chelonopsis yagiharana★ひっそりと紅紫の花一つ 谷間に咲かせ風待つように花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
アベリア・ホープレイズ 夏の花 2012年08月06日 アベリア(Abelia)はスイカズラ科ツクバネウツギ属の半常緑低木である。アベリアは属名だが、和名を花園衝羽根空木(ハナゾノツクバネウツギ)というアベリア・グランディフローラを指すことが多い。野生種を元につくられた園芸品種である。台湾衝羽根空木(タイワンツクバネウツギ:Abelia chinensis)とアベリア・ウニフロラ(Abelia uniflora)の交雑種だと考えられている。中国で作出され、日本へは大正時代に渡来した。アベリア・ホープレイズはその改良された品種の1つである。特徴は、葉に白い斑が入ることである。樹高は1メートルくらいである。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の質はやや厚く、艶がある。開花時期は7~10月くらいである。枝先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、白ないし淡い紅色を帯びた花をつける。花冠は鐘形で、長さが2センチくらい、花径が1センチくらいである。筒部は淡い紅色を帯び、先は5つに裂けて開き、色は白い。萼片は5枚である。雄しべは4本、雌しべは1本である。花にはよい香りがある。属名の Abelia はイギリス人の医師「アベル(C. Abel)さん」の名からきている。種小名の grandiflora は「大きな花の」という意味である。写真は7月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。学名:Abelia x grandiflora 'Hopleys'★葉の色が目映いほどに美しく 花は清楚に息長く咲き花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
アメリカ凌霄花(アメリカノウゼンカズラ) 夏の花 2012年08月05日 アメリカ凌霄花(アメリカノウゼンカズラ)はノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉蔓性木本である。アメリカの東南部からメキシコ湾岸にかけて分布し、林の縁などに生える。日本へは大正時代の末期に渡来した。庭木や公園樹として栽培されている。蔓性で他の植物や人工物に寄りかかって成長し、長さは2~5メートルくらいになる。葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、向かい合って生える(対生)。小葉の形は卵形で、4~6対で構成される。開花時期は7~9月である。枝先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、赤橙色ないし黄橙色の筒状の花をつける。凌霄花(ノウゼンカズラ)よりも花径は小さく、筒は長い。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、長い楕円形をしている。凌霄花(ノウゼンカズラ)と交配された園芸品種も作出されている。属名の Campsis はギリシャ語の「campsis(湾曲)」からきている。雄しべが弓形をしていることから名づけられた。種小名の radicans は「根を出す」という意味である。写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Campsis radicans★細長い筒の先では反り返る 花の姿が個性を示し花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|