常磐山査子(トキワサンザシ) 果実・野菜 2011年11月22日 常磐山査子(トキワサンザシ)はバラ科トキワサンザシ属(ピラカンサ属)の常緑低木である。原産地は東ヨーロッパや西アジアである。日本へは明治時代の中期に渡来した。名の由来は、山査子(サンザシ)に似て常緑であることからきている。樹高は1~5メートルくらいである。枝が蔓状に横に伸びる。葉は披針形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は丸く、縁には細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は5~6月である。枝先に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、直径1センチに満たない小さな白い花をたくさんつける。花弁は5枚、萼片も5枚である。花の後にできる実は球形の偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)である。10~12月ころに鮮やかな紅色に熟する。園芸的には、属名からピラカンサとも呼ばれる。日本で流通しているピラカンサ属には、常磐山査子(トキワサンザシ)のほかに、中国の南西部原産で黄橙色の実をつける橘擬(タチバナモドキ)、ヒマラヤ原産で紅橙色の実をつけるヒマラヤ常磐山査子(ヒマラヤトキワサンザシ)があり、これらを交配させた園芸品種も多く出回っている。属名の Pyracantha はギリシャ語で「pyro(炎)+acantha(刺)」からきている。果実の色や枝にある棘を表している。種小名の coccinea は「赤い」という意味である。写真は12月に北の丸公園で撮った。学名:Pyracantha coccinea★赤々と燃え立つような紅の色 北風受けて頬染めながら花図鑑植物図鑑PR
黄実の蕃石榴(キミノバンジロウ) 果実・野菜 2011年11月18日 黄実の蕃石榴(キミノバンジロウ)はフトモモ科バンジロウ属の常緑低木である。蕃石榴(バンジロウ)というのは、トロピカルフルーツのグアバ(guava)のことである。ジュースやグアバ茶として知られる。分類上は、その近縁種の照葉蕃石榴(テリハバンジロウ)の変種ということになる。原産地は熱帯アメリカである。樹高は1~5メートルである。葉は長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、表面には艶がある。開花時期は4~5月である。花は葉の脇から出る。花の色は白く、淡い紅色を帯びるものもある。たくさんの雄しべが外に飛び出す。結実期は9~10月である。実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、熟すと果皮は黄色くなり食べられる。生食にしたり、ジャムなどに利用される。英名はイエローストロベリーグアバ(Yellow strawberry guava)である。属名の Psidium はギリシャ語の「psidion(ざくろ)」からきている。種小名の littorale は「海浜に生える」という意味である。変種名の lucidum は「強い光沢のある」という意味である。写真は9月に北大植物園で撮った。花の写真は4月に箱根強羅公園で撮った。学名:Psidium littorale var. lucidum★面白い名前のついた蕃石榴 「黄実」がついたらなおユーモラス花図鑑植物図鑑
黒鉄黐(クロガネモチ) 果実・野菜 2011年11月16日 黒鉄黐(クロガネモチ)はモチノキ科モチノキ属の常緑高木である。本州の関東地方から沖縄にかけて分布し、山中に生える。また、庭木とされる。海外では、台湾、中国、朝鮮半島にも分布する。樹高は10~20メートルくらいである。樹皮は灰白色である。葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉は革質で柄があり、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない(全縁)。葉の表面は濃い緑色、裏面は淡い緑色である。開花時期は5~6月である。雌雄異株である。葉の脇から散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、淡い紫色をした小さな花をつける。花の後にできる実は球形の核果(水分を多く含み中に種が1つある)である。10~1月にかけて赤く熟する。和名の由来は、葉の柄と若い枝が黒紫色をしており、モチノキ科であるところからきている。属名の Ilex はholly(セイヨウヒイラギ)の古代ラテン名からきている。種小名の rotunda は「円形の」という意味である。写真は11月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。学名:Ilex rotunda★ぴかぴかと赤く輝く実をつけて 黒鉄黐は夢膨らませ花図鑑植物図鑑
藪山査子(ヤブサンザシ) 果実・野菜 2011年10月29日 藪山査子(ヤブサンザシ)はユキノシタ科スグリ属の落葉低木である。分類体系によってはスグリ科とされる。本州から九州にかけて分布し、林の縁や明るい林の中などに生える。海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。和名の由来は、実が山査子(サンザシ)に似ていて藪に生えることからきている。樹高は1メートルくらいである。樹皮は紫褐色で、縦に裂けて薄く剥がれる。葉は単葉で互い違いに生え(互生)、広めの卵形で3つから5つに裂ける。開花時期は4~5月である。雌雄異株である。葉脈に数個ずつ目立たない黄色の花をつける。5つの花弁に見えるものは萼で、萼は反り返る。結実期は10~11月である。雌株に球形の小さな球形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)がなり、赤く熟す。食用にはならない。別名を黄鵯上戸(キヒヨドリジョウゴ)ともいう。属名の Ribes はデンマーク語の「ribs(赤い色のスグリ)」からきている。種小名の fasciculatum は「束になった」という意味である。写真は10月に小石川植物園で撮った。学名:Ribes fasciculatum★赤い実をつける日のんびり待ちながら 鳥はいつ来る藪山査子に花図鑑植物図鑑
権萃(ゴンズイ) 果実・野菜 2011年10月16日 権萃(ゴンズイ)はミツバウツギ科ゴンズイ属の落葉小高木である。本州の関東地方から沖縄にかけて分布し、山地に生える。海外では、朝鮮半島、台湾、中国などにも分布する。樹高は3~6メートルくらいである。材は柔らかく、折れやすい。樹皮は黒緑色で、不規則に縦に割れる。葉は長さ10~30センチくらいの奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、向かい合って生える(対生)。小葉は長さ4~9センチの狭い卵形で、縁に細かいぎざぎざ(鋸歯)があり、先は鋭く尖る。質はやや厚くて堅く、艶がある。開花時期は5~6月である。枝先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、淡い黄緑色の小さな花をたくさんつける。花弁は5枚、萼片も5枚である。雄しべは5本、雌しべは1本である。花の後にできる実は半月状のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。秋に赤く熟して裂けると、光沢のある黒い種子が現れる。和名の由来については、海水魚の権瑞(ゴンズイ)同様「役に立たない」という意味だという説や、「権現杖」の訛ったものだという説などがあるという。属名の Euscaphis はギリシャ語の「eu(良)+scaphis(小舟)」からきている。さく果が赤く色づき美しいことから名づけられた。種小名の japonica は「日本の」という意味である。花の写真は5月に小石川植物園で撮った。実の写真は11月につくば植物園で撮った。学名:Euscaphis japonica★脆くてもいいとこあるさ権萃は 面白い実は自然の不思議花図鑑植物図鑑