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甘茴香(アマウイキョウ)



甘茴香(アマウイキョウ)はセリ科ウイキョウ属の多年草である。
原産地は地中海沿岸地方で、南ヨーロッパから西アジアにかけて分布する。
分類上は、茴香(ウイキョウ)の栽培変種とされている。
基本種の茴香(ウイキョウ)は古代エジプトの時代から栽培されていたという。
草丈は1~2メートルくらいである。
全草に甘い香りがある。
葉は3~4回羽状に裂け、互い違いに生える(互生)。
裂片は糸状となって細かく、鮮やかな緑色をしている。
開花時期は6~8月である。
茎先に複数の散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、傘のような形になって黄色の小さな花をつける。
英名はスイートフェンネル(sweet fennel)である。
フェンネルは「茴香」のことである。
別名をローマ茴香(ローマウイキョウ)ともいう。
葉はハーブ、種子はスパイス、茎は野菜として利用される。
俳句では「茴香の花」が夏の季語である。
花の後にできる実は円柱形の分果(複数の子房からできた果実)で、2ブロックで構成される。
属名の Foeniculum はラテン語の「faenum(乾草)」からきていて綴りを誤ったもの。糸状に細く裂けた葉の形から名づけられた。
種小名の vulgare は「普通の」という意味である。
変種名の dulce は「甘味のある」という意味である。
写真は6月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Foeniculum vulgare var. dulce


★近づいてそっと香りを嗅いでみて
 甘く切なくあなたを包む


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薊芥子(アザミゲシ)



薊芥子(アザミゲシ)はケシ科アザミゲシ属の一年草である。
原産地はメキシコで、乾燥地帯に生える。
日本へは江戸時代の末期に渡来した。
現在では、一部で野生化している。
花が芥子(ケシ)に似ていて、棘のある葉が薊(アザミ)に似ているところからこの名がつけられた。
草丈は30~60センチくらいである。
葉は長い卵形で羽状に裂け、互い違いに生える(互生)。
葉には白い脈があり、縁には鋭い棘がある。
茎や葉を傷つけると有毒の黄色い汁を出す。
開花時期は6~8月である。
茎先に花径4~7センチくらいの黄色い花を数輪つける。
花弁数は4~6枚である。
雄しべはたくさんあり、雌しべは1本である。
花の後にできる実は楕円形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Argemone はギリシャ語の「argemon(白内障)」からきている。汁液がこの病気に効くことから名づけられた。
種小名の mexicana は「メキシコ産の」という意味である。
写真は7月に小石川植物園で撮った。
学名:Argemone mexicana


★妖艶の血をひきたるか薊芥子
 鋭い棘の訳知りたくて
☆透き通る花びら揺れて薊芥子
 毒も薬もその内に秘め




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蔓小桜(ツルコザクラ)



蔓小桜(ツルコザクラ)はナデシコ科サボンソウ属の多年草である。
原産地はヨーロッパである。
アルプス山脈の標高2300メートルまでの地帯に分布し、岩礫地に生える。
学名のサポナリア・オキモイデスで表示するところもある。
英名はロックソープワート(rock soapwort)である。
ワートというのは草のことで、他の単語と合成して用いられることが多い。
ソープワートはサボン草(サボンソウ)のことである。
全草にサポニンを含み、石鹸がわりに使われる。
草丈は10~20センチくらいである。
よく枝分かれをし、匍匐して広がる。
葉は細長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は5~7月である。
花径1センチくらいの桃色の5弁花を株いっぱいに咲かせる。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Saponaria はラテン語の「sapo(石鹸)」からきている。粘液質の汁が水に溶けると泡が出ることから名づけられた。
種小名の ocymoides は「メボウキ属(Ocimum)に似た」という意味である。
写真は5月に六甲高山植物園の野草展で撮った。
学名:Saponaria ocymoides


★岩肌を這って縄張り広げ咲く
 蔓小桜の花は桃色




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イソトマ



イソトマ(Isotoma)はキキョウ科ラウレンティア属(イソトマ属)の多年草である。
属名でも流通している。
属名の読み方は「ローレンティア」とする場合もある。
かつてはイソトマ属に分類されていたため、イソトマの名で流通している。
園芸的には一年草として扱われる。
原産地はオーストラリアである。
乾燥した暖かい気候を好む。
草丈は20センチから30センチくらいである。
葉は細かく切れ込み、互い違いに生える(互生)。
開花時期は5月から11月くらいである。
花径3センチくらいの白、ピンク、青などの花をつける。
花冠は筒状で、星形に深く5つに裂ける。
夏の暑さにも強く、長く咲き続ける。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
茎や葉を傷つけると出る白い液は、皮膚につくと炎症を起こすことがあるので注意が必要である。
種小名の hybrida は「交配種の」という意味である。
写真はアバンギャルドブルー(Avant-garde Blue)とアバンギャルドピンク(Avant-garde Pink)という品種である。
写真は3月に京都府立植物園で撮った。
学名:Laurentia x hybrida


★ほんとはね雨はあんまり好きでない
 だけど咲きたいあなたのために
☆元気よく雨の中でも咲いている
 生まれ故郷を懐かしみつつ




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深山木天蓼(ミヤママタタビ)



深山木天蓼(ミヤママタタビ)はマタタビ科マタタビ属の落葉蔓性木本である。
北方領土を含む北海道から本州の中部地方にかけて分布し、山地でほかの木に絡みついて伸びる。
海外では、朝鮮半島、中国、サハリン、東シベリアにも分布している。
蔓の長さは2~5メートルくらいである。
木天蓼(マタタビ)と似ているが、卵形ないし楕円形の葉の根元が心形をしており、開花時期には葉の先が白からピンク色になるところが異なる。
枝も赤みを帯びている。
葉には長い柄があり、互い違いに生える。
開花時期は5~6月である。
花径15ミリくらいの白い小さな花をつける。
花びらは5枚である。まれに4枚のものもある。
花の後にできる実は長い楕円形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、長さは15~20ミリくらいである。
10月ころ黄緑色に熟する。
未熟な実は果実酒とされ、完熟した実は生食ができる。
また、若い芽や茎は山菜として利用される。
蔓は編み物の材料となる。
和名の由来は、「疲れた旅人がこの実を食べたところ、また旅が続けられた」というところからきている。
属名の Actinidia はギリシャ語の「aktis(放射線)」からきている。柱頭が放射状に並ぶことから名づけられた。
種小名の kolomikta はシベリアでの現地名が語源である。
写真は6月に北大植物園で撮った。
学名:Actinidia kolomikta


★くらくらと眩暈するほど濃い香り
 存在感ある深山木天蓼






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