突抜忍冬(ツキヌキニンドウ) 夏の花 2011年05月18日 突抜忍冬(ツキヌキニンドウ)はスイカズラ科スイカズラ属の常緑蔓性低木である。原産地は北アメリカで、合衆国の東部や南部に分布する。蔓の長さはは3~5メートルくらいになる。葉は卵状の長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。特に花のすぐ下につく葉は、2枚のつけ根がくっついて1枚の長い楕円形になる。開花時期は4~8月である。枝先に赤いラッパのような紅色の花を円心状に咲かせる。開花直後は花びらの内側は黄赤色をしているが、やがて外側と同じ紅色に変わる。花の後にできる実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)である。和名の由来は、葉を貫いて花柄が出ているように見える形からきている。なお、「忍冬」というのは吸葛(スイカズラ)のことである。英名をトランペット・ハニーサックル(trumpet honeysuckle)という。ハニーサックルは吸葛(スイカズラ)のことである。属名の Lonicera はドイツの採集家「ロニツァーさん(A. Lonitzer)」の名からきている。種小名の sempervirens は「常緑の」という意味である。写真は5月に小石川植物園で撮った。学名:Lonicera sempervirens★面白い形の花が好きならば 植えてごらんよ突抜忍冬今日の花ドットコム花図鑑PR
びらんじ(ビランジ) 夏の花 2011年05月17日 びらんじ(ビランジ)はナデシコ科マンテマ属の多年草である。日本固有種である。本州の関東地方から中部地方にかけて分布し、山地から高山にかけての岩場などに生える。草丈は10~30センチくらいである。茎の上部や萼筒には腺毛(粘着物質を出す毛)が生える。葉は披針形(笹の葉のような形)で、向かい合って生える(対生)。開花時期は6~9月くらいである。茎先に淡い紅色の花を数輪つける。花径は2~3センチくらいである。花弁は5枚で、花弁の先は浅く2つに裂けている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Silene はギリシャ神話の「シレネス(Silenes、バッカスの養父)」からきている。この属には粘液性の分泌液を出すものが多いので、これを酔って泡だらけになった様子にたとえた。種小名の keiskei は明治初期の植物学者「伊藤圭介さんの」という意味である。変種名の minor は「より小さい」という意味である。写真は5月に小石川植物園で撮った。学名:Silene keiskei var. minor★訪れる人もまばらな岩場には びらんじの花姿やさしく今日の花ドットコム花図鑑
難波茨(ナニワイバラ) 夏の花 2011年05月15日 難波茨(ナニワイバラ)はバラ科バラ属の半常緑蔓性低木である。原産地は中国の南部と台湾である。日本へは江戸時代に難波商人によって持ち込まれて販売された。それが名の由来でもある。近畿地方から九州にかけて、逸出したものが野生化して自生している。樹高は1~2メートルである。蔓は長く伸びれば10メートルにも達する。蔓には鋭い棘がある。葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)である。小葉は長さが2~4センチくらいの楕円形で、光沢がある。開花時期は5~6月である。香りのよい大きな白い花を咲かせる。花径7~8センチの5弁花で、真ん中には黄色い雄しべがたくさんある。花の後にできる実は偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)で、秋に赤橙色に熟する。実は生薬で金桜子(きんおうし)といい、止瀉、縮尿などの薬効がある。属名の Rosa はケルト語の「rhodd(赤色)」からきている。種小名の laevigata は「無毛で滑らかな」という意味である。写真は5月に小石川植物園で撮った。学名:Rosa laevigata★清楚なる野生の薔薇の美しさ 今に伝える難波茨は今日の花ドットコム花図鑑
庚申薔薇(コウシンバラ) 夏の花 2011年05月09日 庚申薔薇(コウシンバラ)はバラ科バラ属の常緑低木である。原産地は中国の四川省、雲南省である。日本でも江戸時代以前に渡来して栽培され、多くの園芸品種がある。基本種は一重咲きである。学名からロサ・キネンシスないしロサ・シネンシスとも呼ばれる。和名の由来は庚申月(つまり隔月)に咲くということからきており、四季咲き性がある。樹高は1~2メートルである。葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。小葉の形は卵形で、縁には鋭いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉にはやや艶があり、裏面は白っぽい。開花時期は5~11月くらいである。枝先に1輪ずつ花をつける。花径は5~7センチくらいで、花弁は5枚である。八重咲きのものもある。花の色は紅紫色から桃色で、色には濃淡がある。萼片は5枚である。雄しべはたくさんあり、葯(雄しべの花粉を入れる袋)の色は黄色い。花の後にできる実は球形の偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)で、熟すと赤くなる。属名の Rosa はケルト語の「rhodd(赤色)」からきている。種小名の chinensis は「中国の」という意味である。写真は4月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Rosa chinensis★花びらを重ねる薔薇もいいけれど 原種の渋さ一際目立ち今日の花ドットコム花図鑑
マダガスカルジャスミン 夏の花 2011年05月08日 マダガスカルジャスミン(Madagascar jasmine)はガガイモ科シタキソウ属の常緑蔓性多年草である。ジャスミンの名がつくがジャスミンの仲間とは異なる。こうした命名法は英名ではよく見られるので注意が必要である。原産地はマダガスカル島である。蔓性で草丈は5メートルくらいまで伸びる。葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は尖り、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。葉の質は分厚く、艶がある。開花時期は5~9月くらいである。葉の脇から散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、白い筒状の花をつける。花冠の先は5つに裂ける。花にはジャスミンのような香りがある。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。属名からきたステファノティスの名でも流通している。属名の Stephanotis はギリシャ語の「stepan(冠)+otis(耳)」からきている。雄しべが変形した副冠が耳状になることから名づけられた。種小名の floribunda は「花の多い」という意味である。写真は4月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Stephanotis floribunda★爽やかな香り漂う白花に 思わず知らず笑みの浮かんで今日の花ドットコム花図鑑