ロサ・ダマスケナ 夏の花 2015年05月25日 ロサ・ダマスケナはバラ科バラ属の常緑低木である。古い時代に西アジアで作出された交配品種で、主に香水の原料として栽培されてきた。英名はダマスクローズ(Damask rose)という。ヨーロッパには、十字軍の遠征などで持ち込まれたものが多い。1867年以前からあるバラをオールドローズというが、その中でダマスク系(Damask:D)と呼ばれるグループの基本種となっている。ロサ・ガリカ(Rosa gallica)、ロサ・モスカタ(Rosa moschata)、ロサ・フェドチェンコアナ(Rosa fedtschenkoana)の3原種が関係していることがわかっている。樹高は150センチから200センチくらいである。樹形は木立性である。葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。楕円形の小葉5枚で1組の葉となるが、稀に7枚のこともある。小葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。枝には鉤型の刺と剛毛が多い。開花時期は5月である。花の色は明るいピンクで、半八重から八重の平咲きの中輪である。花径は8センチくらいである。花には濃厚なダマスクの香りがある。花言葉は「美しい姿」である。属名の Rosa はケルト語の「rhodd(赤色)」からきている。種小名の damascena は「(トルコの)ダマスカスの」という意味である。写真は5月につくば植物園で撮った。学名:Rosa x damascena★突然に出てきた名前が十字軍 彼方の歴史身近に触れて薔薇図鑑花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|PR
白満天星 (シロドウダン) 春の花 2015年05月24日 白満天星 (シロドウダン)はツツジ科ドウダンツツジ属(エンキアンツス属)の落葉低木である。エンキアンツス属はアジアに10数種が分布する。日本にも満天星躑躅 (ドウダンツツジ)などが分布し、属名の和名をドウダンツツジ属という。本種は日本固有種である。本州の関東地方から四国、九州にかけて分布し、山地の岩の上などに生える。樹高は1メートルから3メートルくらいである。樹皮は淡い褐色で滑らかである。葉は楕円形で、枝先に輪生状に集まって互い違いに生える(互生)。葉の先は鈍く尖り、縁には細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は4月から5月である。枝先に壷形の花を数輪下垂して咲かせる。花の色は白いが、緑白色のものや紅色が交じるものもある。花の長さは7、8ミリで、花冠の先は浅く5つに裂け、更に不揃いに細かく裂ける。雄しべは10本である。雌しべは花冠から少し突き出る。花の後にできる実は楕円形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。秋には紅葉をする。近縁種に紅満天星 (ベニドウダン)がある。属名の Enkianthus はギリシャ語の「enkyos(妊娠する)+anthos(花)」からきている。膨らんだ花の形からつけられた名である。種小名と品種名の cernuus は「前屈みの」という意味である。写真は5月に長崎県の雲仙地獄で撮った。撮影地のものは国の天然記念物に指定されている。学名:Enkianthus cernuus f. cernuus★不規則に裂けた花びら繊細で 一味違う味わい見せて花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
唐樒(トウシキミ) 春の花 2015年05月17日 唐樒(トウシキミ)はシキミ科シキミ属(イリキウム属)の常緑高木である。分類体系によっては(APGIII)マツブサ科とされる。イリキウム属は東アジアや北アメリカに40種くらいが分布する。日本にも樒(シキミ)などが分布し、属名の和名をシキミ属という。本種の原産地は、中国の広西チワン族自治区やベトナムの北部である。また、中国の南部やベトナム、インドなどで商品栽培されている。別名を、大茴香(ダイウイキョウ)や八角(ハッカク)という。英名はスターアニス(star anise)である。古くから中華料理の香辛料として用いられてきた。また、生薬名を大茴香(だいういきょう)といい、健胃薬、鎮痛薬としても利用される。最近では、インフルエンザの治療薬タミフルの原料として脚光を浴びている。樹高は10メートルから15メートルくらいである。葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。開花時期は3月から5月で、秋にも花を咲かせる。花は球形の両性花である。花の色は黄白色、赤、濃い紅色などがある。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)で、6個から8個が放射状につく集合果である。実の形が有毒な樒(シキミ)と紛らわしいため誤食事故が起きている。属名の Illicium はラテン語の「illicio(誘惑する)」からきている。植物体に芳香があることから名づけられた。種小名の verum は「純正の」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Illicium verum★なるほどねこれがいわゆる唐樒 欠かせぬ味を中華に添えて花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
八重咲き草の王(ヤエザキクサノオウ) 夏の花 2015年05月16日 草の王(クサノオウ)はケシ科クサノオウ属(ケリドニウム属)の越年草である。ケリドニウム属については狭義の見解と広義の見解がある。違いはアジアに分布するものとヨーロッパに分布するものを区別するかどうかである。広義の場合は1属1種としてとらえる。狭義の場合は、日本と朝鮮半島、中国に分布するものだけを草の王(クサノオウ)と呼ぶ。日本では北海道から九州にかけて分布し、林の縁や土手などに生える。これに対してヨーロッパから西アジアにかけて分布するを洋種草の王(ヨウシュクサノオウ:Chelidonium majus subsp. majus)と呼んでいる。八重咲き草の王(ヤエザキクサノオウ)はこの洋種草の王(ヨウシュクサノオウ)から作出された園芸品種である。草丈は30センチから90センチくらいである。茎は中空である。葉は羽状に1回から2回深く切れ込み、互い違いに生える(互生)。開花時期は5月から9月である。葉の脇から散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、数輪の花をつける。花の色は鮮やかな黄色で、雄しべが花弁化している。花径は3センチくらいである。茎や葉の黄色の汁液にはアルカロイドを含み、有毒である。なお、「草の王」の名の由来については、「薬草の王様」説などいくつかの説がある。属名の Chelidonium はギリシャ語の「chelidon(ツバメ)」からきている。母ツバメがこの草の汁で雛鳥の眼を洗って視力を強めるとされた。種小名と亜種名の majus は「巨大な」という意味である。園芸品種名の Flore Pleno は「八重咲きの花の」という意味である。写真は4月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Chelidonium majus subsp. majus 'Flore Pleno'★八重咲きの姿はどこか洋風か 草の王とは思えぬ姿花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
風鈴大根草(フウリンダイコンソウ) 夏の花 2015年05月15日 風鈴大根草(フウリンダイコンソウ)はバラ科ダイコンソウ属(ゲウム属)の多年草である。ゲウム属は北半球やニュージーランドに50種くらいが分布する。日本にも大根草(ダイコンソウ)などが分布し、属名の和名をダイコンソウ属という。なお、表記の名は流通名である。したがって、学名のゲウム・リバレで表示するものもある。英名はウォーターアビンズ(water avens)という。アビンズはダイコンソウの仲間のことである。本種の原産地はヨーロッパである。標高2100メートルまでの湿った草地や川沿いなどに生える。草丈は15センチから40センチくらいである。根際から生える葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)である。茎につく葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)となる。開花時期は5月から9月くらいである。花弁数は5枚で、花の色はサーモンピンクである。花は全開はせず鐘状に垂れ下がる。萼片も5枚で紫褐色をしており、毛がたくさん生える。雌しべの花柱は先が鉤状に曲がる。花の後にできる実は集合果である。属名の Geum はラテン語の「geuo(美味)」からきている。種小名の rivale は「川に生える」という意味である。写真は4月に京都府立植物園で撮った。学名:Geum rivale★色合いに個性が出てる花姿 俯き咲けばシックに見えて花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|