シラー・ペルビアナ 春の花 2011年05月14日 シラー・ペルビアナはユリ科ツルボ属の多年草である。和名は大蔓穂 (オオツルボ)という。 原産地は地中海沿岸地方である。日本へは明治時代の中期に観賞用として渡来した。草丈は20~50センチくらいである。根際から生える葉は幅の広い線形である。開花時期は4~6月である。茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、濃い青紫色をした星形の小さな花をたくさんつける。花は下から上へと咲いていく。花被片は6枚である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。ツルボ属は温帯地域などに100種くらい分布しているという。属名の Scilla はギリシャ語の「skyllo(有害)」からきている。 地下茎部分が有毒であることから名づけられた。種小名の peruviana は「ペルーの」という意味である。ペルー産ということではなく船の名前からきている。写真は5月に埼玉県三郷市で撮った。学名:Scilla peruviana★紫の花はいかがと手を広げ 君を手招く毒婦のように今日の花ドットコム花図鑑PR
紋付雛罌粟(モンツキヒナゲシ) 春の花 2011年05月13日 紋付雛罌粟(モンツキヒナゲシ)はケシ科ケシ属の一年草である。原産地は西アジアやコーカサス地方である。日本でも帰化が確認されている。草丈は30~60センチくらいである。葉は羽状に裂け、互い違いに生える(互生)。葉には黒い小さな斑が入っている。開花時期は4~5月である。茎先に花径5~7センチくらいの赤い4弁花をつける。花びらのつけ根の部分には黒く大きな斑が入る。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。和名はこれを「紋付」に見立てたものである。流通名をピエロともいう。これは花の姿をピエロにたとえたものである。属名の Papaver はラテン語の「papa(幼児に与える粥)」からきている。ケシの乳汁に催眠作用があるため、粥に混ぜて子どもを寝かせたという。種小名の commutatum は「変化した」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Papaver commutatum★戦火なき世界をつくる夢託し 花壇彩る紋付雛罌粟今日の花ドットコム花図鑑
細葉天南星(ホソバテンナンショウ) 春の花 2011年05月12日 細葉天南星(ホソバテンナンショウ)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草である。日本固有種である。本州の関東地方から近畿地方にかけて太平洋側に分布し、山地の林の中に生える。箱根や富士山でよく見られるという。草丈は40~80センチくらいである。葉は2枚が互い違いに生える(互生)。葉は10~20枚くらいに深く裂ける。裂片の形は線状披針形で細長い。それが和名の由来でもある。開花時期は4~6月くらいである。仏炎苞(サトイモ科の肉穂花序に見られる花序を被う大形の苞)は緑色で、白いストライブが入る。付属体がこん棒状ではなく、先が細いのが特徴である。花の後にできる実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)の集合果である。属名の Arisaema はギリシャ語の「aris(植物名の1つ)+haima(血)」からきている。血のような斑点が葉にある植物といった意味合いになる。種小名の angustatum は「狭くなった」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Arisaema angustatum★細い葉と緑の苞が違うんだ いろいろあるね天南星も今日の花ドットコム花図鑑
蛍蔓(ホタルカズラ) 春の花 2011年05月11日 蛍蔓(ホタルカズラ)はムラサキ科ムラサキ属の多年草である。北海道から沖縄にかけて分布し、林の中や草地に生える。海外では、台湾、朝鮮半島、中国にも分布する。草丈は10~20センチくらいである。茎は細く、地を這って広がる。葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。茎と葉には毛が生えている。開花時期は4~5月である。茎先の葉の脇から短い花柄を出し、花径2センチくらいの青い花をつける。花冠は5つに裂けて横に広がり、裂片の真ん中には白い筋が入る。雄しべは5本である。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。花の後に、根際から地面を這う茎を出し新しい株をつくる。和名の由来は、星形に見える白い筋を蛍の光に見立てたものである。なお、「蔓」というのは蔓状の茎をした植物のことである。別名を蛍草(ホタルソウ)という。属名の Lithospermum はギリシャ語の「lithos(石)+ sperma(種子)」からきている。小堅果を結ぶ性質から名づけられた。種小名の zollingeri はオランダの植物学者「ツォーリンゲル(H. Zollinger)さんの」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Lithospermum zollingeri★涼しげに花びら広げ煌けど 蛍蔓は溜め息混じり今日の花ドットコム花図鑑
大実山査子(オオミサンザシ) 春の花 2011年05月10日 大実山査子(オオミサンザシ)はバラ科サンザシ属の落葉高木である。中国北部、朝鮮半島、東シベリアに分布している。中国では果樹として栽培もされている。別名を大山査子(オオサンザシ)ともいう。樹高は5~7メートルくらいである。葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は4~5月である。小さな白い5弁花を球状にたくさんつける。花の後にできる実は偽果(子房以外の部分が食べられる部分になった果実)で径が2~3センチあり、秋に赤く熟する。生食ができ、ゼリーなどにも加工される。実を乾燥させたものを生薬の山査子 (さんざし)といい、健胃、整腸などの薬効がある。属名の Crataegus はギリシャ語の「kratos(力)+agein(持つ)」からきている。材が堅いことから名づけられた。種小名の pinnatifida は「羽状中裂の」という意味である。花の写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。実の写真は10月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Crataegus pinnatifida★よく熟れた大実山査子美味しそう 秋の陽射しに照り輝いて今日の花ドットコム花図鑑