月桃(ゲットウ) 夏の花 2011年05月24日 月桃(ゲットウ)はショウガ科ハナミョウガ属の常緑多年草である。九州の南部から沖縄にかけて分布する。海外では、台湾、中国、インドなどにも分布する。「月桃」の名は台湾での現地名である。沖縄では「サンニン」という。英名はシェルジンジャー(shell ginger)である。草丈は1~3メートルくらいである。葉は楕円状の披針形(笹の葉のような形)で、長さは40~70センチ、幅は5~10センチくらいである。葉の先は鋭く尖り、縁には密に毛が生える。葉の表面には艶がある。葉は爽やかな香りを放ち、防虫・抗菌作用がある。そのため、沖縄ではご飯を包む料理に葉を使う。また、様々な加工品に利用されている。開花時期は4~7月である。花茎を伸ばして総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、花径2センチくらいの白ないし淡いピンクを帯びた花をつける。花冠は3つに裂け、黄色い唇弁の真ん中には赤い筋が入る。花の後にできる実はさく果(熟すと果皮が裂開する果実)で、熟すと赤くなり、褐色の毛を密生する。属名の Alpinia はイタリアの植物学者「アルピーニ(P. Alpini)さん」の名からきている。種小名の zerumbet の意味はまだ解明できていない。写真は5月につくば植物園で撮った。学名:Alpinia zerumbet★美ら島の暮らしに深く根づきたる 月桃の花季節迎えて今日の花ドットコム花図鑑PR
大衝羽根空木(オオツクバネウツギ) 春の花 2011年05月23日 大衝羽根空木(オオツクバネウツギ)はスイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木である。日本固有種である。本州の東北地方南部から九州にかけて分布し、山地に生える。和名の由来は、衝羽根空木(ツクバネウツギ)よりも大きな花を咲かせることからきている。別名を雌衝羽根空木(メツクバネウツギ)という。樹高は1~2メートルである。樹皮は灰褐色をしている。葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には不揃いなぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は5~6月である。花は長さ2~3センチの漏斗状で、先は唇形に裂ける。花の色は白く、下の唇の内側に橙色の網状紋がある。萼片は5枚で、そのうちの1枚が極端に小さい。これが衝羽根空木(ツクバネウツギ)との区別点でもある。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Abelia はイギリス人の医師「アベル(C. Abel)さん」の名にちなむ。種小名の tetrasepala は「萼片が4つある」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Abelia tetrasepala★アベリアの仲間で大きな花咲かす 萼を比べて違い確かめ今日の花ドットコム花図鑑
アルカネット 夏の花 2011年05月22日 アルカネット(alkanet)はムラサキ科ウシノシタグサ属の多年草である。原産地はヨーロッパである。日本へは明治時代の中期に渡来した。属名のアンチューサの名でも流通している。草丈は30~100センチくらいである。葉は披針形(笹の葉のような形)で、互い違いに生える(互生)。茎や葉には軟毛が生える。葉には白い毛が生える。開花時期は5~7月である。茎先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、青紫色の花を密につける。花冠の先は5つに深く裂けて横に開く。萼片は5枚、雄しべは5本である。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。根は染料の原料となる。また、根を煎じたものには去痰、浄血などの薬効がある。花や葉はサラダやポプリにする。属名の Anchusa はギリシャ語の「anchusa(化粧原料)」からきている。この属の1種の根が化粧原料とされた。種小名の officinalis は「薬用の」という意味である。写真は5月につくば植物園で撮った。学名:Anchusa officinalis★柔らかな産毛たくさん生えている アルカネットは紫の花今日の花ドットコム花図鑑
栃の木(トチノキ) 夏の花 2011年05月21日 栃の木(トチノキ)はトチノキ科トチノキ属の落葉高木である。漢字では「橡」とも書く。北海道から九州にかけて分布し、低山の渓流に近い肥沃な地に生える。海外では、中国にも分布する。公園などにも植えられている。樹高は15~20メートルくらいである。葉は手のひら状の複葉で、向かい合って生える(対生)。小葉は5~7枚くらいあり、形は楕円形である。開花時期は5~6月である。1~2センチの白い4弁花が鈴なりにつく。花穂は上を向いていて大きいので、花の季節には遠くからでもわかる。花の後にできる実は堅果(皮が堅く、種と接触せずに種を包んでいる果実)である。花は蜜源となり、種子は渋をぬいてトチ餅やトチ団子にして食べる。材は家具や器具に用いる。俳句では「橡の花」が夏の季語、「橡の実」が秋の季語である。属名の Aesculus はラテン語の「aescare(食う)」からきている。実を食用にしたり家畜の飼料にしたりすることから名づけられた。種小名の turbinata は「倒円錐形の」という意味である。写真は5月に神代植物公園で撮った。実の写真は9月に富山県中央植物園で撮った。学名:Aesculus turbinata★すっと立つ橡の花びら天高く 青空に映え風は涼しく今日の花ドットコム花図鑑
えごの木(エゴノキ)ピンクチャイム 夏の花 2011年05月20日 えごの木(エゴノキ)はエゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木である。北海道から沖縄にかけて分布し、比較的水分のある谷沿いなどで良く成長する。海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。ピンクチャイム(Pink Chimes)はその園芸品種である。特徴は桃色の花をつけることである。流通名を紅花えごの木(ベニバナエゴノキ)という。樹高は2~7メートルくらいになる。葉は長さは4~8センチくらいの卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は尖り、縁には浅いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は5~6月である。花には長い柄があり、枝からぶら下がって咲く。花冠は5つに深く裂け、花の色は桃色で、中心には10本の黄色い雄しべがある。10月ころに灰白色をした卵球形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)がなる。属名の Styrax はギリシャ語の「storax(安息香)」からきている。この属の植物の樹脂から安息香(ベンゾイン)が採れることから名づけられた。種小名の japonica は「日本の」という意味である。写真は5月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。学名:Styrax japonica 'Pink Chimes'★見上げれば頭上遥かに鈴なりに ピンクの花が俯き咲いて今日の花ドットコム花図鑑