ヒベルティア・セルピリフォリア 夏の花 2011年06月24日 ヒベルティア・セルピリフォリアはビワモドキ科ヒベルティア属の常緑蔓性低木である。原産地はオーストラリアである。南東部のニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州に分布し、荒れ地や砂地に生える。樹高は1メートルくらいである。地面を這って広がる。葉は長さ1センチくらいのへら形で分厚い。開花時期は2月から6月くらいである。花径2~3センチの黄色い花を次々とつける。花弁は5枚である。萼には毛がたくさん生えている。属名の Hibbertia はイギリス人の商人で後援者の「ヒバート(G. Hibbert)さん」の名からきている。種小名の serpyllifolia は「イブキジャコウソウのような葉の」という意味である。写真は6月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Hibbertia serpyllifolia★この花もオーストラリアが故里だ 地を這うように花を咲かせて花図鑑植物図鑑PR
アリサエマ・ユンナネンセ 夏の花 2011年06月23日 アリサエマ・ユンナネンセはサトイモ科テンナンショウ属の多年草である。原産地は中国(雲南、四川、貴州)、タイ、ミャンマー、ベトナムである。草丈は60センチくらいである。葉は普通は3小葉に分かれる。開花時期は6月から7月である。仏炎苞(棒状の花を包み込む苞を仏像の背景にある炎形の飾りに見立てたもの)は緑色で、黄緑色のストライブが入る。肉穂花序(花軸が多肉化して花が表面に密生したもの)は仏炎苞から突き出る。花の後にできる実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)の集合果である。属名の Arisaema はギリシャ語の「aris(植物名の1つ)+haima(血)」からきている。血のような斑点が葉にある植物といった意味合いになる。種小名の yunnanense は「雲南省の」という意味である。写真は6月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Arisaema yunnanense★美しく飾るが如きストライブ 烏柄杓を思わすようで花図鑑植物図鑑
庭七竈(ニワナナカマド) 夏の花 2011年06月22日 庭七竈(ニワナナカマド)はバラ科ホザキナナカマド属の落葉低木である。原産地は中国の北部である。別名を珍至梅(チンシバイ)という。樹高は3~4メートルである。樹形は株立ちになる。葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。小葉の形は披針形である。近縁種の穂咲き七竈(ホザキナナカマド)と比べ、葉先が尾状に尖る点が異なる。葉の縁には重鋸歯(大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざがある)がある。開花時期は6~8月くらいである。枝先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、白い小さな花をたくさんつける。花径は5~7ミリくらいで、花弁は5枚である。萼片は5枚で反り返る。雄しべは20本である。柱頭(雌しべの先端で花粉の付着する部分)は5つに裂ける。花の後にできる実は円柱形の袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。属名の Sorbaria は属名の「Sorbus(ナナカマド属)」からきている。葉が似ていることから名づけられた。種小名の kirilowii は採集家「キリロフの」という意味である。写真は6月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Sorbaria kirilowii★びっしりとつけた白花可愛いよ 北の地に咲く庭七竈花図鑑植物図鑑
日高草(ヒダカソウ) 夏の花 2011年06月21日 日高草(ヒダカソウ)はキンポウゲ科キタダケソウ属の多年草である。北海道の固有種である。北海道日高地方のアポイ岳とその周辺だけに分布し、高山帯の蛇紋岩地や凝灰岩地に生える。「氷河期の生き残り」と言われている。環境省のレッドデータブック(2007)では、「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。アポイ岳は固有種などが多いことで知られる貴重な山だが、温暖化の影響などでハイマツが優勢になり、お花畑の縮小化が進んでいるため保護対策が求められているという。草丈は10~20センチくらいである。葉は2回3出複葉である。3出複葉というのは、1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形を指す。それが2回枝分かれを繰り返す。小葉はさらに細かく裂ける。自生地での開花時期は5~6月である。葉に先立って、花径2センチくらいの白い花を咲かせる。花びらは10枚くらいあり、花びらの根元近くには赤褐色の斑紋がある。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Callianthemum はギリシャ語の「 callos(美)+anthemon(花)」からきている。種小名の miyabeanum は北海道の植物研究者「宮部金吾さんの」という意味である。写真は3月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Callianthemum miyabeanum★生き残り太古のロマン語り継ぐ 日高草をば守り伝えん花図鑑植物図鑑
小紫(コムラサキ) 夏の花 2011年06月20日 小紫(コムラサキ)はクマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木である。別名を小式部(コシキブ)ともいう。いずれも「紫式部」にちなむ名である。本州の岩手県から沖縄にかけて分布し、山地や湿地に生える。また、庭木ともする。海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。園芸的には紫式部の名で流通することもあるが、植物上の紫式部(ムラサキシキブ)は別種である。和名の由来は、秋に小さな紫色の実をつけるところからきている。樹高は2~3メートルである。葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁には、先のほうの半分くらいに細かなぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は6~8月である。葉の脇に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、淡い紫色の小さな花をたくさんつける。花は筒状で先が4つに裂けて平らに開く。雄しべは4本、雌しべは1本で、花冠から飛び出る。紫式部(ムラサキシキブ)に比べると、花も実も葉の柄のつけ根から少し離れた位置から出る。花の後にできる実は核果(水分を多く含み中に種が1つある)である。結実期は9~11月である。直径3ミリくらいの紫色の実をつける。実は紫式部(ムラサキシキブ)よりも小振りだが、鞠のように固まってつく。実の色が白いものもあり、白玉小式部(シラタマコシキブ)ないし白実の小紫(シロミノコムラサキ)と呼ばれる。属名の Callicarpa はギリシャ語の「callos(美しい)+carpos(果実)」からきている。実が美しく熟すからことから名づけられたものである。種小名の dichotoma は「二股になった」という意味である。写真は6月に小石川植物園で撮った。実の写真は10月に小石川植物園で撮った。学名:Callicarpa dichotoma★紫の珠と実らんいつの日か 揺れる小花は陽射しを浴びて花図鑑植物図鑑