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広葉の甘菜(ヒロハノアマナ)



広葉の甘菜(ヒロハノアマナ)はユリ科アマナ属の多年草である。
広葉甘菜(ヒロハアマナ)の別名がある。
日本固有種である。
本州の東北地方から九州にかけて分布し、山地の林の中や明るい草地に生える。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
草丈は15~20センチくらいである。
葉は線形で、幅が1~2センチと広く、長さは30センチくらいある。
葉の中央に白い線が1本入るのが特徴である。
開花時期は3~4月である。
茎先に1つの花をつける。
花びら(花被片)は6枚で白く、紫色の筋が入る。
日が差さないと花は開かない。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
「甘菜」の名の由来は、地中の鱗茎が食用になり、それが甘いことからきている。
属名の Amana は「アマナ」のことである。
種小名の latifolia は「広葉の」という意味である。
写真は3月に練馬区の牧野記念庭園で撮った。
学名:Amana latifolia


★さり気なく春の訪れ伝え咲く
 広葉甘菜の小さな命





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竜田草(タツタソウ)



竜田草(タツタソウ)はメギ科タツタソウ属の多年草である。
原産地は朝鮮半島北部、中国東北部、アムール地方などである。
日露戦争当時に軍艦龍田の乗組員がこの花を持ち帰ったことからつけられた名前である。
草丈は10~25センチくらいである。
根際から生える葉は先が窪んだ心臓形で、蓮(ハス)の葉に似ている。
開花時期は3~4月である。
花は葉の展開に先立って咲くものと同時に咲くものがある。
茎先に花径1~2センチくらいの淡い紫色の花を1輪ずつつける。
花びらは6~8枚である。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
別名を糸巻草(イトマキグサ)という。
葉の形からつけられた名前である。
根茎を干したものは生薬で鮮黄連(せんおうれん)といい、苦味健胃薬とされる。
属名の Jeffersonia はアメリカの第3代大統領「トーマス・ジェファーソン(Thomas Jefferson)」の名からきている。
種小名の dubia は「疑わしい」という意味である。
写真は3月に川口市立グリーンセンターの野草展で撮った。
学名:Jeffersonia dubia


★大陸の川辺彩る竜田草
 海を渡りて心慰め




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ナルキッスス・セルマラゲロフ

ナルキッスス・セルマラゲロフ

ナルキッスス・セルマラゲロフはヒガンバナ科スイセン属の多年草である。
品種名の読み方は「セルマラーゲルレーフ」とするものもある。
ヨーロッパで改良された園芸品種の1つである。
国際的な分類では大杯水仙(タイハイスイセン)の1つとされる。
大杯水仙(タイハイスイセン)というのは、イギリス王立園芸協会(Royal Horticultural Society)の定義では、1茎1花で、副冠の長さが花被片の3分の1以上あるが花被片の長さは超えないもののことである。
本種が作出されたのは昭和時代の前期である。
草丈は30~50センチくらいである。
根際から生える葉は線形である。
開花時期は3~4月である。
花被片は白ないし淡いクリーム色で、副冠は橙色をしている。
大輪である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Narcissus はギリシャ神話の青年の名からきている。泉に映った自分の姿に恋して死に、その後にこの花が咲き出した。
品種名の Selma Lagerlof はスウェーデンの作家で「ニルスの不思議な旅」の作者の名からきている。
写真は3月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Narcissus 'Selma Lagerlof'


★副冠がとても目立つよこの花は
 色濃く横にぐんと広がり


ナルキッスス・セルマラゲロフ

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ゴールデンクラッカー

ゴールデンクラッカー

エウリオプス・ビルギネウスはキク科エウリオプス属の常緑低木である。
原産地は南アフリカである。
ユリオプス・デージーと同じ仲間の植物である。
ゴールデンクラッカー(Golden Cracker)はその園芸品種である。
名前の通りはじけるように花を咲かせる。
樹高は1~4メートルくらいである。
葉は針形で密に互い違いに生える(互生)。
開花時期は1~5月くらいである。
枝先に小さな黄色い花をまとまってつける。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
属名の Euryops はギリシャ語の「eurys(大きな)+ops(目)」からきている。目立つ花を咲かせることを表したものである。
種小名の virgineus は「清らかな」という意味である。
品種名の Golden Cracker は「金色のクラッカー」という意味である。
写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Euryops virgineus 'Golden Cracker'


★面白い名前の通り弾け咲く
 目にも鮮やか黄金の小花


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小梅(コウメ)

小梅(コウメ)

小梅(コウメ)はバラ科サクラ属の落葉小高木である。
庭木用、果樹用として各地に植えられている。
分類上は、梅(ウメ)の変種とされている。
信州で多く見られることから信濃梅(シナノウメ)の別名がある。
同様な理由から甲州梅(コウシュウウメ)と呼ぶ地域もある。
栽培は江戸時代から行われてきた。
樹高は2~6メートルくらいである。
幹はよく枝分かれをする。
葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉には柄があって先は尾状に尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
梅(ウメ)の葉よりも小振りである。
開花時期は3月である。
葉の展開に先立って花を咲かせる。
花径は2センチ前後で、白い5弁花である。
一重咲きで花びらは平らに開き、よい香りがする。
萼片は5枚で、紫色を帯びた緑色である。
雄しべはたくさんあり、雌しべは1本である。
花の後にできる実は球形の核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、6~7月に黄色く熟する。
実の径は15ミリくらいで、梅(ウメ)よりも小さい。
実は梅干として食用にされる。
俳句では「梅の花」が春の季語、「梅の実」は夏の季語である。
属名の Prunus は「plum(スモモ)」を意味する。
種小名の mume は「梅」のことである。
変種名の microcarpa は「小さい果実の」という意味である。
写真は3月に板橋区立赤塚植物園で撮った。
学名:Prunus mume var. microcarpa


★果樹園で花を開いた信濃梅
 君がなるのかあの梅干に


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