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頭巾茨(トキンイバラ)



頭巾茨(トキンイバラ)はバラ科キイチゴ属の落葉低木である。
原産地は中国の南西部である。
日本へは江戸時代の宝永年間(1700年代初め)に渡来した。
貝原益軒の「花譜」(1694)にもコヤオキの名で掲載されている。
樹高は1メートルくらいである。
枝には棘がある。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。
小葉の形は長い楕円形である。
小葉の先は尖り、縁には重鋸歯(大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざがある)がある。
開花時期は5月である。
花径5~6センチの八重咲きの白い花を1輪上向きにつける。
雄しべも雌しべなく実はできないが、地下茎によって繁殖する。
属名の Rubus はラテン語の「ruber(赤)」からきている。赤い実がなることから名づけられた。
種小名の rosifolius は「バラのような葉の」という意味である。
写真は5月に北大植物園で撮った。
学名:Rubus rosifolius


★薔薇の花思わすような豪華さに
 驚きながら歴史を感じ




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ガザニア



ガザニアはキク科ガザニア属の多年草である。
原産地は南アフリカである。
ヨーロッパで品種改良が行われた。
日本へは明治時代に渡来した。
草丈は15~30センチくらいになる。
根際から生える葉は披針形で分厚い。
開花時期は4~6月である。
オレンジ色、黄色、ピンク、白などの花が咲く。
花の真ん中に蛇の目模様が入るのが特徴である。
花弁に縦線の入る品種も多い。
また、八重咲きのものもある。
秋咲きのものもあり、花期は長い。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
別名を勲章菊(クンショウギク)という。
属名の Gazania はギリシャ人の古典学者「ガザ(T. Gaza)さん」の名からきている。
種小名の rigens は「堅い」という意味である。
写真は4月に伊東市の伊豆海洋公園で撮った。
学名:Gazania rigens


★勲章と呼ばれるほどに精緻なる
 花の模様が陽射しに溶けて



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石斛(セッコク)



石斛(セッコク)はラン科セッコク属(デンドロビウム属)の多年草である。
本州の東北地方から九州にかけて分布し、樹上や岩上に生える着生種である。
観賞用に栽培もされている。
海外では、中国にも分布する。
草丈は5~25センチくらいである。
葉は幅の広い披針形で、茎の上部につく。
葉のつけ根の部分には葉鞘(茎を鞘状に包むような形になった葉のつけ根)があり、茎を抱く。
開花時期は5~6月である。
茎先に1~2輪の花をつける。
花径は2~3センチで、花の色は白ないし淡い紅色である。
萼片3枚と側花弁2枚はほぼ同じ長さである。
唇弁はやや短く、先が尖る。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
俳句では「石斛の花」が夏の季語である。
蕾のときに全草を乾燥させたものを生薬で石斛(せっこく)といい、健胃、解熱、消炎、強壮などの薬効がある。
属名の Dendrobium は「dendron(樹)+ bios(着生)」に由来する。
種小名の moniliforme は「ネックレス状の」という意味である。
写真は4月に太田市大光院の関東山野草展で撮った。
学名:Dendrobium moniliforme


★山に咲き淡き紅さす石斛は
 磨かれ育ち色香彩なす



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垣通し(カキドオシ)



垣通し(カキドオシ)はシソ科カキドオシ属の蔓性多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、道端や草地に生える。
海外では、朝鮮半島、中国、シベリア東部にも分布する。
草丈は10~25センチくらいである。
夏になると蔓を1メートル以上も伸ばす。
蔓が垣根の下を通り抜けるというのが和名の由来である。
茎につく葉は腎臓形で丸く、周りには細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。
茎に連なった葉の形から連銭草(レンセンソウ)の名もある。
開花時期は4~5月である。
葉の脇に淡い青紫色の花をつける。
長さ15~25ミリくらいで唇形をしており、紫鷺苔(ムラサキサギゴケ)などに似ている。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。
疳取草(カントリソウ)の別名もあるが、これは子どもの疳の虫を取るのに使われたということに由来する。
属名の Glechoma はギリシャ語の「glechon(ハッカの1種)」からきている。
種小名の hederacea は「キズタ属(Hedera)に似た」という意味である。
変種名の grandis は「大きな」という意味である。
写真は4月につくば植物園で撮った。
学名:Glechoma hederacea var. grandis


★可憐なる姿を見せて垣通
 やがて来る夏ひた待つように




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鶴頂蘭(カクチョウラン)



鶴頂蘭(カクチョウラン)はラン科ガンゼキラン属の多年草である。
鹿児島県の種子島から沖縄県にかけて分布し、山地の草原や林の中に生える。
海外では、台湾や中国南部、インドネシア、マレーシア、南太平洋、オーストラリアなどに分布する。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
和名の由来は、花の形を鶴の頭に見立てたものである。
草丈は60~120センチくらいである。
偽球茎(バルブ)は円錐形で、数個が接して並ぶ。
葉は披針形で、茎先に4~6枚がつく。
開花時期は4~5月である。
偽球茎のつけ根の部分から総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、4~10輪くらいの花をつける。
花は外側が白く、内側が赤褐色である。
唇弁は長さが4~5センチで、先は紅紫色、つけ根のほうは白い。
つけ根の部分には2列の板状隆起があり、2つに浅く裂ける距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)とつながる。
蕚片と花弁は長さが4~6センチの披針形である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Phaius はギリシャ語の「phaios( 暗い)」からきている。カクチョウランの花の色が暗い褐色をしていることから名づけられた。
種小名の tankervilleae はイギリス人の蘭愛好家「タンカルビル(E. Tankerville)さんの」という意味である。
写真は1月につくば植物園で撮った。
学名:Phaius tankervilleae


★大輪の内に秘めたる紅の色
 妖しく揺れる鶴頂蘭は




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