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岩大戟(イワタイゲキ)



岩大戟(イワタイゲキ)はトウダイグサ科トウダイグサ属の多年草である。
本州の関東地方から沖縄にかけて分布し、海岸の崖地に生える。
海外では、台湾や朝鮮半島南部にも分布する。
「大戟」というのはトウダイグサの中国名である。
草丈は30~50センチくらいである。
茎は太くて直立し、株立ち状となる。
茎には毛は生えていない。
根や根茎は肥厚する。
葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉は肉質で先は尖らず、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
茎や葉を傷つけると、有毒な白い乳液を出す。
開花時期は4~6月である。
茎先にたくさんの短い花茎を傘形に出し、トウダイグサ科特有の杯状花序(花が杯状の総苞に包まれるて茎先につく)をつける。
花序の下につく苞葉は卵形で黄色く、子房の表面には乳頭状の突起がたくさんある。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Euphorbia はローマ時代のモーリタニア王Jubaの侍医「エウフォルブス(Euphorbus)さん」にちなんで名づけられた。この属の植物の1種の乳液を初めて薬に使ったことからきている。
種小名の jolkinii は日本植物の採集家「ジョルキン(P.Jolkin)さんの」という意味である。
写真は4月につくば植物園で撮った。
学名:Euphorbia jolkinii


★荒波をものともせずに根を張って
 ここが住みかと岩大戟は





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猿面海老根(サルメンエビネ)



猿面海老根(サルメンエビネ)はラン科エビネ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、低地や山地の林の中などに生える。
海外では、朝鮮半島、台湾、中国やヒマラヤなどにも分布する。
しかし、味わいのある花なので山草愛好家のターゲットとなり、採取によって減少している。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
草丈は30~50センチくらいである。
根際から生える葉は長い楕円形で、3~4枚がつく。
開花時期は4~5月である。
葉の間から花茎を伸ばし、7~15輪くらいの花をつける。
海老根(エビネ)に比べると花のつき方は疎らで、1つ1つの花が大きい。
萼と側花弁は淡い黄緑色をしている。
唇弁が大きくて紫褐色ないし紅褐色をしている。
唇弁は3つに裂けるが、真ん中の裂片が大きくて鶏のトサカのような突起がある。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
「海老根」の名の由来は、茎と根の様子を海老に見立てたものである。
「猿面」のほうは、この花の唇弁が赤味を帯びて皺があるところを猿の顔に見立てたものである。
属名の Calanthe はギリシャ語の「calos(美)+anthos(花)」からきている。
種小名の tricarinata は「三背稜のある」という意味である。
写真は5月に北大植物園で撮った。
学名:Calanthe tricarinata


★ひょっこりと顔出す様が面白い
 頬が緩むよ猿面海老根




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兎の尾(ウサギノオ)



兎の尾(ウサギノオ)はイネ科ウサギノオ属の一年草である。
ラグラスや兎の尻尾(ウサギノシッポ)の名でも流通している。
原産地は地中海沿岸地方である。
日本でも千葉県から岡山県にかけて帰化が確認されている。
また、ドライフラワーとして生け花などに使われる。
草丈は15センチから50センチくらいである。
全体に毛がたくさん生えている。
開花時期は4月から7月くらいである。
長さ4センチくらいの白い穂をつける。
花の後にできる実はえい果(イネ科の果実で薄い木質の果皮が種子に密着している)である。
属名の Lagurus はギリシャ語の「lagos(ウサギ)+oura(尾)」からきている。
種小名の ovatus は「卵円形の」という意味である。
写真は5月に都立木場公園の外来植物園で撮った。
学名:Lagurus ovatus


★どことなく愛嬌あるね白い穂が
 ほほ笑み誘う兎の尻尾





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菊葉地縛(キクバジシバリ)



菊葉地縛(キクバジシバリ)はキク科ニガナ属の多年草である。
大地縛(オオジシバリ)の品種の1つである。
基本種は北海道から沖縄にかけて分布し、水田の畔や道端などに広く生える。
本種の分布域ははっきりしないが広域に分布するようである。
草丈は10センチから30センチくらいである。
地表近くに茎を這わせ、節から根を出して広がる。
根際から生える葉は楕円形で羽状に切れ込み、密に地表面を覆う。
開花時期は4~5月くらいである。
枝分れした先に黄色い舌状花からなる3センチほどの頭花をつける。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
種子は風によって運ばれる。
和名の由来は「葉が菊のように切れ込み」「地面を縛る」ということからきている。
属名の Ixeris はこの属のある植物のインド名からきている。
種小名の debilis は「弱くて小さい」という意味である。
品種名の sinuata は「強い波状の」という意味である。
写真は5月につくば植物園で撮った。
学名:Ixeris debilis f. sinuata


★逞しい花にちょっぴりアクセント
 ギャザの可愛い菊葉地縛




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白花鯛釣草(シロバナタイツリソウ)



鯛釣草(タイツリソウ)はケシ科コマクサ属の多年草である。
分類体系によってはケマンソウ科とされる。
原産地は中国、朝鮮半島である。
園芸品種に白花のものがあり、白花鯛釣草(シロバナタイツリソウ)と呼んでいる。
草丈は50~80センチくらいである。
葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で羽状に3つに深く裂け、互い違いに生える(互生)。
花期は4~6月である。
茎先に長い総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、ハート形をした白い花を垂れ下げてつける。
花径は3センチくらいである。
花弁は4枚で、外側の2枚は心臓形、内側の2枚は先が突き出る。
萼片は2枚で、早くに落ちる。
花の後にできる実は細長いさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
別名を白花華鬘草(シロバナケマンソウ)という。
これは仏具の華鬘に見立ててつけられた名である。
華鬘は寺院のお堂の中にかける透かし彫りの飾りのことで、金・銅・革などを材料に花鳥・天女などを透かし彫りにするものである。
属名の Dicentra はギリシャ語の「dis(二)+centron(距)」からきている。2枚の花弁に距が突き出していることから名づけられた。
種小名の spectabilis は「素晴らしい」という意味である。
品種名の Alba は「白い」という意味である。
写真は4月に太田市大光院の関東山野草展で撮った。
学名:Dicentra spectabilis 'Alba'


★釣り上げてみればきらめく鯛釣草
 ロマンチックを君に捧げん




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