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鈴懸草(スズカケソウ)



鈴懸草(スズカケソウ)はゴマノハグサ科クガイソウ属の多年草である。
分類体系によってはオオバコ科とされる。
本州の岐阜県、鳥取県と四国の徳島県に分布し、林の中に生える。
海外では、中国にも分布している。
江戸時代から園芸植物として知られていたが、自生地がわからなかった謎の植物であった。
日本に自生するものはないとの考え方もある。
環境省のレッドリスト(2007)では、「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。
草丈は100~150センチくらいである。
茎は斜上し、先が垂れ下がる。
葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉の先は尖り、縁には三角状のぎざぎざ(鋸歯)がある。
茎や葉には長い軟毛が生える。
開花時期は7~8月である。
葉の脇ごとに球形の花序を出し、長さ7ミリくらいの濃い紫色をした花をたくさんつける。
花冠は筒状で、先は4つに裂ける。
雄しべは2本で、花の外へ飛び出す。
花の後にできる実は卵円形のさく果(熟すと果皮が裂開する果実)である。
和名の由来は、花のつき方が鈴懸(山伏の衣装)に似ていることからきている。
属名の Veronicastrum はラテン語の「Veronica(クワガタソウ属)+astrum(似ている)」からきている。
種小名の villosulum は「細長い軟毛のややある」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Veronicastrum villosulum


★鮮やかな紫色で花咲けば
 その美しさ何に譬えん




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木立朝鮮朝顔(キダチチョウセンアサガオ)



木立朝鮮朝顔(キダチチョウセンアサガオ)はナス科キダチチョウセンアサガオ属の常緑低木である。
原産地はブラジルである。
かつてはチョウセンアサガオ属(Datura)に分類されていたが、現在はキダチチョウセンアサガオ属(Brugmansia)に移行していた。
樹高は3~4メートルくらいになる。
葉は大きな楕円形で、互い違いに生える(互生)。
開花時期は6~9月である。
20~30センチもあるトランペットのような大型の花が垂れ下がる姿は豪華である。
花の色は白だが、園芸種の中には淡黄、淡桃、紫、赤などもあり多彩である。
英名のエンゼルストランペット(angel's trumpet)でも流通している。
花の後にできる実は長い楕円形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Brugmansia はドイツの博物学者「ブルグマン(S. J. Brugmans)さん」の名からきている。
種小名の suaveolens は「甘い香りがする」という意味である。
写真は7月に水戸市立植物公園で撮った。
学名:Brugmansia suaveolens


★陽射し浴び肌がきらめき透き通る
 夜の帳をひた待ちながら




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草牡丹(クサボタン)



草牡丹(クサボタン)はキンポウゲ科センニンソウ属の多年草(落葉半低木)である。
日本固有種である。
北海道の南西部から本州にかけて分布し、山地の草地や林の縁などに生える。
草丈は50~100センチくらいである。
茎は直立し、下部は木質化する。
全体に毛が多い。
葉は牡丹(ボタン)に似ている。
3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で、葉の質は分厚い。
葉には長い柄があり、向かい合って生える(対生)。
小葉は卵形で2つか3つの浅い切れ込みがあり、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は7~9月である。
雌雄異株である。
雄株は雌株より花も株も大きい。
枝先や葉の脇から集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、釣鐘状をした淡い紫色の花を下向きにつける。
花びらのように見えるのは萼である。
4枚の萼は最初は筒状をしているが、後に先が反り返る。
花の後につく実は卵形のそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)で、緑色から褐色に熟する。
全草が有毒なので注意が必要である。
属名の Clematis はギリシャ語の「clema(若枝)」の縮小形である。長い柔らかい枝でよじ登ることから名づけられた。
種小名の stans は「直立した」という意味である。
写真は8月に岐阜県の平湯大滝園地で撮った。
学名:Clematis stans


★ひっそりと頭(こうべ)垂らして草牡丹
 薄紫の色も妖しく




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蝦蔓(エビヅル)



蝦蔓(エビヅル)はブドウ科ブドウ属の落葉蔓性木本である。
北海道南部から沖縄にかけて分布し、山地の林の縁などに生える。
海外では、朝鮮半島、中国にも分布する。
巻きひげで他の木にからみつく。
葉は単葉で、互い違いに生える(互生)。
長さは5~15センチ、幅は5~10センチで、手のひら状に浅く3つから5つに裂ける。
縁には疎らに浅いぎざぎざ(鋸歯)がある。
裏面には赤褐色の綿毛がある。
開花時期は6~8月である。
葉と向かい合って円錐花序を出し、黄緑色の小さな花をつける。
花びらは5枚で先がくっつき、開花すると落ちる。
雌雄異株である。
どちらも黄緑色で、雄花には雄しべが5本あり、雌花にも雄しべが5本と雌しべが1本ある。
花の後にできる実は球形の液果(水分を多く含み中に種が1つある)で、10月ころに黒く熟する。
甘酸っぱい味がして食べられる。
葉は秋には紅葉する。
属名の Vitis はラテン語の「vitis(つる植物)」からきている。
種小名の ficifolia は「イチジク属(Ficus)のような葉の」という意味である。
写真は7月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Vitis ficifolia


★蝦蔓はブドウの仲間するすると
 蔓を伸ばして木に絡みつき




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ウォールジャーマンダー



ウォールジャーマンダー(wall germandar)はシソ科ニガクサ属の多年草(半低木)である。
原産地は地中海沿岸地方から中央アジアである。
日当たりの良い砂礫地などに生える。
草丈は15~30センチくらいである。
茎は地面を這って広がる。
つけ根の部分は木質化をする。
葉は長さ2センチくらいの楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の色は濃い緑色で艶があり、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は7~8月である。
茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、淡い紅紫色の唇形の花を輪生させる。
花にはよい香りがある。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。
解熱、咳止めなどの効果があり、ハーブとして用いられている。
属名の Teucrium はギリシャ神話の英雄「テウクロス(Teukros)」の名からきている。
種小名の chamaedrys は「地に生えるナラの木」という意味である。
写真は6月につくば植物園で撮った。
学名:Teucrium chamaedrys


★見るだけで元気出そうな花からは
 香り溢れる夏の日の午後




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