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犬菊芋(イヌキクイモ)



犬菊芋(イヌキクイモ)はキク科ヒマワリ属の多年草である。
原産地は北アメリカの中部である。
日本でも逸出したものが野生化し、空き地や河原などに生えている。
菊芋(キクイモ)と極めて近い仲間で、両者を区別しないとする説もある。
草丈は1~3メートルくらいである。
茎は直立し、毛はほとんど生えていない。
葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
下部の葉は向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉のつけ根の部分はくさび形である。
開花時期は7~9月である。
花径は6~8センチくらいである。
頭花は筒状花も舌状花も黄色い。
舌状花は8~15枚くらいである。
本種の場合、舌状花の先がやや尖るのが特徴である。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
長い地下茎の先には塊茎を形成する。
本種の塊茎は菊芋(キクイモ)に比べて小さい。
塊茎は食用ないし飼料用とされるところから、役に立たないということで「犬」の字が冠せられた。
なお、近縁種の菊芋擬き(キクイモモドキ)には塊茎ができない。
属名の Helianthus はギリシャ語の「helios(太陽)+anthos(花)」が語源。日に向いて開く様子や花の姿をたとえたもの。
種小名の strumosus は「腫れたような膨らみのある」という意味である。
写真は9月に北大植物園で撮った。
学名:Helianthus strumosus


★野生ゆえ芋の形は小さいが
 いざそのときと犬菊芋は




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愛鷹麝香草(アシタカジャコウソウ)



愛鷹麝香草(アシタカジャコウソウ)はシソ科ジャコウソウ属の多年草である。
静岡県、山梨県、愛媛県に分布し、山地の谷間に生える。
草丈は15~40センチくらいである。
近縁種の麝香草(ジャコウソウ)に比べて小さく、茎や葉にたくさん毛が生えている。
葉は卵形で、互い違いに生える(対生)。
葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は7~9月である。
茎の上部の葉の脇から1センチくらいの柄を出し、濃い紅紫色で唇形をした花を下向きにつける。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。
和名の由来は、静岡県の愛鷹山で発見され、茎や葉が麝香(ジャゴウ)のようなよい香りがするというところからきている。
属名の Chelonopsis はギリシャ語の「chelone(亀)+opsis(似た)」からきている。花冠の形が亀の首に似ているということで名づけられた。
種小名の yagiharana は発見者「八木原傅三郎さんの」という意味である。
写真は8月に日光植物園で撮った。
学名:Chelonopsis yagiharana


★ひっそりと紅紫の花一つ
 谷間に咲かせ風待つように




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アベリア・ホープレイズ



アベリア(Abelia)はスイカズラ科ツクバネウツギ属の半常緑低木である。
アベリアは属名だが、和名を花園衝羽根空木(ハナゾノツクバネウツギ)というアベリア・グランディフローラを指すことが多い。
野生種を元につくられた園芸品種である。
台湾衝羽根空木(タイワンツクバネウツギ:Abelia chinensis)とアベリア・ウニフロラ(Abelia uniflora)の交雑種だと考えられている。
中国で作出され、日本へは大正時代に渡来した。
アベリア・ホープレイズはその改良された品種の1つである。
特徴は、葉に白い斑が入ることである。
樹高は1メートルくらいである。
葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉の質はやや厚く、艶がある。
開花時期は7~10月くらいである。
枝先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、白ないし淡い紅色を帯びた花をつける。
花冠は鐘形で、長さが2センチくらい、花径が1センチくらいである。
筒部は淡い紅色を帯び、先は5つに裂けて開き、色は白い。
萼片は5枚である。
雄しべは4本、雌しべは1本である。
花にはよい香りがある。
属名の Abelia はイギリス人の医師「アベル(C. Abel)さん」の名からきている。
種小名の grandiflora は「大きな花の」という意味である。
写真は7月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。
学名:Abelia x grandiflora 'Hopleys'


★葉の色が目映いほどに美しく
 花は清楚に息長く咲き




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アメリカ凌霄花(アメリカノウゼンカズラ)



アメリカ凌霄花(アメリカノウゼンカズラ)はノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉蔓性木本である。
アメリカの東南部からメキシコ湾岸にかけて分布し、林の縁などに生える。
日本へは大正時代の末期に渡来した。
庭木や公園樹として栽培されている。
蔓性で他の植物や人工物に寄りかかって成長し、長さは2~5メートルくらいになる。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、向かい合って生える(対生)。
小葉の形は卵形で、4~6対で構成される。
開花時期は7~9月である。
枝先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、赤橙色ないし黄橙色の筒状の花をつける。
凌霄花(ノウゼンカズラ)よりも花径は小さく、筒は長い。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、長い楕円形をしている。
凌霄花(ノウゼンカズラ)と交配された園芸品種も作出されている。
属名の Campsis はギリシャ語の「campsis(湾曲)」からきている。雄しべが弓形をしていることから名づけられた。
種小名の radicans は「根を出す」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Campsis radicans


★細長い筒の先では反り返る
 花の姿が個性を示し




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ビロード葵(ビロードアオイ)



ビロード葵(ビロードアオイ)はアオイ科ビロードアオイ属の多年草である。
原産地は東ヨーロッパで、沼地や湿地に生える。
英名をマーシュマロー(marsh mallow)という。
「マーシュ」は湿地を意味する言葉、「マロー」はアオイの仲間のことである。
古代ギリシャ時代から薬用とされてきた。
乾燥させた根茎、葉、花は緩和剤や軟膏として用いられる。
草丈は100~120センチくらいである。
茎や葉にはビロードのような感触がある。
葉は卵形で切れ込みがあり、互い違いに生える(互生)。
開花時期は5~9月である。
葉の脇に淡い桃色の5弁花をつける。
花径は2センチくらいで小さい。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
別名を薄紅立葵(ウスベニタチアオイ)という。
お菓子のマシュマロの原料とされてきたのもこのハーブである。
昔は喉を守る食べ物であったという。
属名の Althaea はギリシャ語の「althaino(治療)」からきている。薬効があることから名づけられた。
種小名の officinalis は「薬用の」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Althaea officinalis


★うっすらとピンクに染まる花びらが
 優しく揺れるビロード葵




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