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車葉衝羽根草(クルマバツクバネソウ)



車葉衝羽根草(クルマバツクバネソウ)はユリ科ツクバネソウ属の多年草である。
分類体系によってはシュロソウ科とされる。
北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、山地や亜高山の林の中に生える。
海外では、朝鮮半島、中国、サハリン、シベリアなどにも分布する。
草丈は20~40センチくらいである。
葉は披針形(笹の葉のような形)で柄はなく、茎の上部に6~8枚が輪生する。
これが「車葉」の名の由来である。
開花時期は5~7月である。
葉の中心から1本の花茎を立て、淡い黄緑色の花を1個上向きにつける。
中心にあって花びらのように見える黄緑の部分は幅広い4枚の萼(外花被片)である。
花びら(内花被片)も4枚あるのだが、糸状になって垂れさがるので見つけにくい。
細長いのは雄しべで、8~10本ある。
雌しべの花柱は4本あり短い。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
「衝羽根」というのは羽根つきの羽根のことで、花の姿を「衝羽根」に見立てたものである。
属名の Paris はラテン語の「par(同)」からきている。花被が同形であることから名づけられた。
種小名の verticillata は「輪生の」という意味である。
写真は8月に志賀高原の東館山高山植物園で撮った。
学名:Paris verticillata


★暗がりにいつか見たいと願ってた
 花を見つけて喜び勇み




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メコノプシス・シェルドニー



メコノプシス・シェルドニーはケシ科メコノプシス属の多年草である。
「ヒマラヤの青いケシ」と呼ばれるベトニキフォリア種(Meconopsis betonicifolia)とグランディス種(Meconopsis grandis)の種間交雑種である。
どちらもヒマラヤ山脈などの高山に分布する。
ただし、交雑が確認されたのはイギリスにおいてである。
草丈は100~150センチくらいである。
茎や葉には毛が生えている。
葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は5~7月くらいである。
茎先に鮮やかな青い5弁花をつける。
花径は10センチくらいある大輪である。
属名の Meconopsis はギリシャ語の「mekon(ケシ)+ opsis(似る)」からきている。
種小名の sheldonii は発見者であるイギリス人の園芸家「シェルドン(William George Sheldon, 1900's)さんの」という意味である。
写真は10月に大阪市の咲くやこの花館で撮った。
学名:Meconopsis x sheldonii


★掛け合わせ花も大きな青いケシ
 神秘に満ちた色透き通り




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長葉唐松(ナガバカラマツ)



長葉唐松(ナガバカラマツ)はキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草である。
北海道固有種である。
日高地方から胆振地方、渡島地方にかけて分布し、山地の河畔などに生える。
漢字では「長葉落葉松」とも書く。
別名を様似唐松(サマニカラマツ)ともいう。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
草丈は20センチから40センチくらいである。
根から生える葉は3-4回3出複葉と呼ばれるもので、小葉3枚で1組となり、それが3、4回枝分かれをすることを指す。
小葉の形は線状の披針形(笹の葉のような形)で、長さは15ミリから30ミリくらいである。
これが「長葉」の名の由来であり、他のカラマツソウ属にはない顕著な特徴でもある。
開花時期は5、6月である。
茎先に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、白い花をたくさんつける。
花弁はなく、萼片も早くに落下する。
花のように見えるのは雄しべの花糸である。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
属名の Thalictrum はローマ時代の医師ディオコリデス(Dioscorides)が名づけたカラマツソウ属の名である。
種小名の integrilobum は「浅く裂けた裂片が全縁の」という意味である。
写真は6月に北大植物園で撮った。
学名:Thalictrum integrilobum


★ふわふわと白い花びら震わせて
 長葉唐松春の歓び




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豆柿(マメガキ)



豆柿(マメガキ)はカキノキ科カキノキ属の落葉高木である。
原産地は西アジアである。
日本へは中国経由で古い時代に渡来した。
樹高は10~20メートルである。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
雌雄異株である。
開花時期は5~6月である。
小さな鈴蘭(スズラン)のような黄白色の小さな花を咲かせる。
雄花は萼がほとんどなく、雌花は萼が大きい。
花の後にできる実は小さな液果(果皮が肉質で液汁が多い実)である。
秋に小さな実が鈴なりになる姿も美しく、切り花や鉢植え、盆栽など観賞用にも使われる。
属名の Diospyros はギリシャ語の「Dios(ジュピター)+pyros(穀物)」からきている。おいしい果実を「神の食べ物」として称え名づけた。
種小名の lotus はギリシャ神話に登場する「ロートス(実を食べると浮世の苦しみを忘れて楽しい夢を見られる想像上の植物)」からきている。
写真は5月に小石川植物園で撮った。
実の写真は10月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Diospyros lotus


★熟しても渋いけれどもそれも味
 実る日を待つ乙女のように













高嶺びらんじ(タカネビランジ)



高嶺びらんじ(タカネビランジ)はナデシコ科マンテマ属の多年草である。
日本固有種である。
本州の中部地方に分布し、高山(南アルプスと白山)の岩場や砂礫地に生える。
草丈は5~20センチくらいである。
茎には下向きに曲がった毛が生える。
葉は長さ2~4センチの披針形(笹の葉のような形)で、向かい合って生える(対生)。
自生地での開花時期は7~8月である。
平地では5~6月に開花する。
茎先に淡い紅紫色の花を1輪から数輪咲かせる。
花径が3センチくらいの5弁花である。
花びらの先は浅く2つに裂ける。
萼筒や花の柄には腺毛が生える。
萼筒には10本の脈がある。
雄しべは10本で、雌しべの花柱の先は3つに裂ける。
花の色は白いものもある。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
「びらんじ」の名の由来は不明である。
牧野富太郎博士も由来不明としている。
分類上は、大ビランジ(オオビランジ)の高山型の変種とする考え方もある。
属名の Silene はギリシャ神話の「シレネス(Silenes、バッカスの養父)」からきている。この属には粘液性の分泌液を出すものが多いので、これを酔って泡だらけになった様子にたとえた。
種小名の akaisialpina は「赤石山脈の」という意味である。
写真は7月に箱根湿生花園で撮った。
学名:Silene akaisialpina(=Silene keiskei var. akaisialpina)


★そそり立つ南アの峰に咲くという
 高嶺びらんじ花は大きく





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