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実栗(ミクリ)



実栗(ミクリ)はミクリ科ミクリ属の多年草である。
抽水植物で根は水底の土の中にあり、茎や葉が水面から上に伸びている。
北海道から九州にかけて分布し、池沼や水路に生える抽水植物(根が水底の土中にあって、茎や葉が水面から上に伸びている水生植物のこと)である。
かつては水田の周辺などで普通に見られたが、除草剤の使用などで減っている。
海外では、北半球の各地やオーストラリアに広く分布する。
環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。
草丈は50~100センチくらいである。
根際から生える葉は長い線形で、茎よりも高くなる。
葉のつけ根に近い部分は断面が三角形である。
つけ根は茎を抱き、先は丸い。
開花時期は6~8月である。
雌雄同株である。
茎先が枝分かれをして、上部にもやもやとした雄花、下部に毛玉のような雌花をつける。
花の後に、緑色の球形で栗のイガに似た集合果をつける。
和名は、実を栗のいがに見立てたものである。
属名の Sparganium はギリシャ語の「sparganon(帯)」からきている。
種小名の erectum は「直立した」という意味である。
写真は7月に神代植物公園で撮った。
学名:Sparganium erectum

★この草は滅びの道を歩むのか
 実栗の姿じっと見つめて



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瑠璃溝隠し(ルリミゾカクシ)



瑠璃溝隠し(ルリミゾカクシ)はキキョウ科ミゾカクシ属(ロベリア属)の多年草である。
原産地は南アフリカである。
園芸上は一年草として扱う。
瑠璃蝶草(ルリチョウソウ)やロベリアの別名がある。
ロベリアの名は、学名であるロベリア・エリヌス(Lobelia erinus)の属名からきている。
ヨーロッパで多くの園芸品種が作出されている。
草丈は10~40センチくらいである。
茎の下部につく葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
上部につく葉は線形である。
開花時期は5~7月くらいである。
茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、花径1~2センチの小さな花をたくさんつける。
花冠の先は唇形に5つに裂ける。
上唇は2枚の裂片からなり、耳のように立ち上がる。
下唇は先の尖った3枚の裂片からなる。
花の色は青や紫色、紅紫色白など多彩である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Lobelia はフランドル出身でイギリスの植物学者だった「ロベル(Mathias de Lobel, 1538-1616)さん」の名からきている。
種小名の erinus はギリシャ語の「erinos(植物の名前の1つ)」からきている。
写真は3月に京都府立植物園で撮った。
品種名はレガッタ・ブルースプラッシュとアクア・ブルーアイである。
学名:Lobelia erinus

★ロベリアは青い花びら埋め尽くし
 蝶のごとくに風に舞い舞う



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深山独活(ミヤマウド)



深山独活(ミヤマウド)はウコギ科タラノキ属の多年草である。
日本固有種である。
本州の関東地方から中部地方にかけて分布し、山地や亜高山の林の中や岩場に生える。
草丈は50~100センチくらいである。
茎は独活(ウド)よりも細い。
葉は2~3回羽状複葉である。
小葉の形は卵形で先は尾状に尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は6~8月くらいである。
茎先や上部の葉の脇から散形花序(たくさん枝が出て、先に1個つずつ花がつく)を出し、花径3ミリくらいの紫色を帯びた緑色の5弁花をつける。
花の後にできる実は球形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、熟すと黒紫色になる。
属名の Aralia は最初の標本についていたケベック州の現地語「aralie」からきている。
種小名の glabra は「無毛の」という意味である。
写真は8月に志賀高原の東館山高山植物園で撮った。
学名:Aralia glabra

★山に咲く独活の花とのご対面
 姿は少し違っているね



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峰楓(ミネカエデ)



峰楓(ミネカエデ)はカエデ科カエデ属の落葉低木である。
日本固有種である。
北方領土を含む北海道から本州の中部地方にかけて分布し、亜高山や高山の林の縁などに生える。
樹高は1~3メートルくらいである。
葉は手のひら状に5つから9つに裂け、向かい合って生える(対生)。
葉のつけ根の部分は心形で、縁には重鋸歯(大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざがある)があり、裂片の先は尖っている。
葉の柄は赤味を帯びる。
開花時期は6~7月である。
雌雄同株である。
枝先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、淡い黄緑色の花をつける。
花径は8~10ミリくらいである。
花弁と萼片は5枚ずつある。
雄花と両性花がある。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。
属名の Acer は「裂ける」という意味のラテン語からきている。
種小名の tschonoskii は植物収集家「須川長之助(1842-1925)さんの」という意味である。
写真は7月に岩手県の八幡平で撮った。
学名:Acer tschonoskii

★高山に背丈も低く咲く楓
 花の形も変わっているよ



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姫葉薊(ヒメハアザミ)



姫葉薊(ヒメハアザミ)はキツネノマゴ科ハアザミ属(アカンツス属)の常緑低木である。
属名の読み方は「アカンサス」とするものもある。
原産地は西アフリカである。
日本へは昭和時代の初期に渡来した。
樹高は1~2メートルである。
根際に生える葉は楕円形で羽状に深く切れ込み、縁には刺がある。
開花時期は5~8月くらいである。
茎先に長い穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を出し、淡い紫色を帯びた唇形の花をつける。
苞(花のつけ根につく葉の変形したもの)にも長い棘がある。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
同属のアカンツス・モリス(Acanthus mollis)が一般にアカンサスと呼ばれ、和名を葉薊(ハアザミ)という。
それよりも小形なので姫葉薊(ヒメハアザミ)の名がついた。
学名のアカンツス・モンタヌスで表示をする場合もある。
属名の Acanthus はギリシャ語の「akanthos(棘の多い)」からきている。
種小名の montanus は「山地に生える」という意味である。
写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Acanthus montanus

★姫の名はつけど鋭き棘をもつ
 姫葉薊は身を堅くして




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