鋸草(ノコギリソウ) 夏の花 2011年07月23日 鋸草(ノコギリソウ)はキク科ノコギリソウ属の多年草である。北海道から本州にかけて分布し、山地の草原に生える。海外では、朝鮮半島、中国、ロシア極東部、北アメリカなどにも分布する。草丈は50~100センチくらいである。葉は互い違いに生え(互生)、長さ8~10センチの細長い楕円形である。葉の縁には細かい切れ込みが入って、鋸の歯のように見えるというのが和名の由来である。「重鋸歯」と言って、切れ込んだ裂片の縁にも浅いぎざぎざがある。開花時期は7~9月である。茎の上部で細かく枝分かれをして散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、4~8ミリくらいの小さい花(頭花)を密生させる。花の周辺には舌状花が5~7枚つき、真ん中には筒状花が半球状に寄せ集まる。花の色は白ないし淡いピンクである。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。俳句の季語は夏である。属名の Achillea は古代ギリシャの医師「アキレス(Achilles)」にちなむ。彼の手で有効成分が発見されたことから名づけられた。種小名の alpina は「高山に生える」という意味である。写真は7月に北大植物園で撮った。学名:Achillea alpina★葉を揺らし花を揺らして霧の中 鋸草は群がり咲いて花図鑑植物図鑑PR
小阿仁千鳥(コアニチドリ) 夏の花 2011年07月22日 小阿仁千鳥(コアニチドリ)はラン科ヒナラン属の多年草である。日本固有種である。北方領土を含む北海道から本州の関東地方にかけて分布し、湿原や岸壁に生える着生種である。和名の由来は、発見地の北秋田市阿仁地区(旧上小阿仁村)に因む。環境省のレッドデータリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は10センチから20センチくらいである。葉は幅の広い線形で、茎の中部に1、2枚つく。開花時期は6月から7月である。花径7ミリから8ミリの白い小さな花を2輪から5輪くらいつける。唇弁は深く3つに裂け、真ん中の裂片は少しへこむ。つけ根の部分に紅紫色の斑紋が2列に並ぶ。短い距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)がある。属名の Amitostigma はギリシャ語の「a(否定)+Mitostigma(属名)」からきている。古くMitostigmaといったが、以前に同一名があり観察が誤っていたので、否定の言葉を付け足した。種小名の kinoshitae は発見者「木下友三郎さんの」という意味である。写真は7月に北大植物園で撮った。学名:Amitostigma kinoshitae★外国の花かと思えばさにあらず 理解しにくい片仮名ことば花図鑑植物図鑑
寺岡薊(テラオカアザミ) 夏の花 2011年07月21日 寺岡薊(テラオカアザミ)はキク科アザミ属の多年草である。野薊(ノアザミ)から改良された園芸品種である。江戸時代には既に改良が行われていた。花の色は赤、白、ピンクなどのものがある。草丈は40センチから60センチくらいである。葉は長い楕円形で深く切れ込み棘がある。開花時期は6月から8月である。花は長い間咲き続ける花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Cirsium はギリシャ語の「cirsos(静脈腫)」からきている。静脈腫に薬効のある植物につけられた名が転用された。種小名の japonicum は「日本の」という意味である。写真は6月に北大植物園で撮った。学名:Cirsium japonicum 'Teraoka'★見た記憶甦ってくるこのタイプ そうか名前は寺岡薊花図鑑植物図鑑
メコノプシス・カンブリカ 夏の花 2011年07月20日 メコノプシス・カンブリカはケシ科メコノプシス属の多年草である。メコノプシス属は「ヒマラヤの青いケシ」などが知られるが、本種は唯一のヨーロッパ原産種であり、花の色も異なる。原産地はアイルランド、イギリス南部、フランス西部、イベリア半島北部である。草丈は30センチから50センチくらいである。葉は羽状に深く裂ける。開花時期は6月から7月くらいである。花の色は黄色ないしオレンジ色で、花径は3センチから7センチくらいである。花弁数は4枚である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Meconopsis はギリシャ語の「mekon(ケシ)+ opsis(似る)」からきている。種小名の cambrica は「ウェールズの」という意味である。写真は6月に北大植物園で撮った。学名:Meconopsis cambrica★おやこれが黄色いケシか出会ったぞ 北の大地は百花繚乱花図鑑植物図鑑
礼文柴胡(レブンサイコ) 夏の花 2011年07月19日 礼文柴胡(レブンサイコ)はセリ科ミシマサイコ属の多年草である。北方領土を含む北海道に分布し、高山(礼文島、利尻島、増毛山地、大雪山系、夕張山地など)の岩礫地や草地に生える。海外では、サハリン、カムチャッカ、シベリアにも分布する。環境省のレッドリスト(2007)では、「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。草丈は5センチから20センチくらいである。根際から生える葉はへら形で、先は尖り、つけ根の部分は細くなる。茎につく葉は少なく、つけ根の部分は茎を抱く。開花時期は7月から8月である。茎先に複数の散形花序(たくさん枝が出て、先に1個つずつ花がつく)を組み合わせて出し、黄色から暗い紫色の小さな花をまとまってつける。花は大きな総苞(花序全体を包む葉の変形したもの)片に包まれるように咲く。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。属名の Bupleurum はギリシャ語の「bous(牡牛)+pleuron(肋骨)」からきている。葉のつき方の様子から名づけられた。種小名の ajanense は「(シベリアの)アジャン湾(Ajan)の」という意味である。写真は7月に旭山動物園で撮った。学名:Bupleurum ajanense★その姿見れば見るほど変わってる マイウェイかな礼文柴胡は花図鑑植物図鑑