山芥子(ヤマガラシ) 夏の花 2011年08月16日 山芥子(ヤマガラシ)はアブラナ科ヤマガラシ属の多年草である。北海道から本州の中部地方にかけて分布し、山地や高山の湿った礫地や草地に生える。海外では、中国東北部、シベリア、北アメリカなどにも分布する。別名を深山芥子(ミヤマガラシ)という。草丈は20~60センチくらいである。高い山に生えるものは背丈も低い。茎は群がって生える。根際から生える葉は羽状に裂ける。側裂片は小さいが、頂裂片は楕円形で大きい。茎につく葉は長い楕円形で、つけ根の部分は茎を抱く。開花時期は5~8月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、黄色い小さな花を10~20個くらいまとまってつける。4弁花で、花径は5~7ミリくらいと小さい。花の後にできる実は角果(雌しべの中にある仕切りを残して左右の殻がはがれるもの)である。なお、若菜は山菜とされる。属名の Barbarea はキリスト教の女聖者とされる「聖バルバラ(St. Barbara)」の名からきている。種小名の orthoceras は「直立した角の」という意味である。写真は7月に中央アルプスの千畳敷カールで撮った。学名:Barbarea orthoceras★花びらは小さいけれど山芥子 ぴりっと咲いて怖じ気を見せず花図鑑植物図鑑PR
稚児車(チングルマ) 夏の花 2011年08月15日 稚児車(チングルマ)はバラ科チングルマ属の落葉小低木である。北方領土を含む北海道から中部地方以北の本州にかけて分布し、高山の草地や湿地に生える。海外では、千島列島、カムチャツカ半島、アリューシャン列島などにも分布する。和名の由来は、花の後にできる長い毛を持った集合果を稚児車(チゴグルマ=子どもの玩具の風車)に見立てたものが訛ったというのが定説である。樹高は10センチくらいである。枝は地面を這って群落を形成する。葉は羽状をした奇数の複葉で、小葉7枚で1組になる。互い違いに生える。小葉は光沢のある楕円形で長い柄があり、周りには鋭いぎざぎざの鋸歯がある。開花時期は6~8月である。花は枝先に花径25ミリくらいの白い花を1個上向きにつける。色の色は白く、花びらは5枚である。中央部は黄色で、たくさんの雌しべと雄しべがある。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。雄しべのうちの花柱と呼ばれる部分が羽毛のように伸びて放射状に広がる。秋には葉が赤く紅葉する。属名の Sieversia はドイツの植物学者「シーバーズ(J. Sievers)さん」の名からきている。種小名の pentapetala は「5弁花の」という意味である。写真は7月に中央アルプスの千畳敷カールで撮った。実の写真は7月に八幡平で撮った。学名:Sieversia pentapetala★心地よい響き優しい稚児車 深山の草地彩り咲くや花図鑑植物図鑑
信濃金梅(シナノキンバイ) 夏の花 2011年08月14日 信濃金梅(シナノキンバイ)はキンポウゲ科キンバイソウ属の多年草である。北海道から本州の中部地方にかけて分布し、高山の湿った草地や尾瀬沼などの湿原に生える。海外では、朝鮮半島にも分布する。信濃金梅草(シナノキンバイソウ)や蝦夷金梅草(エゾキンバイソウ)の別名がある。草丈は20~70センチくらいである。茎は直立し、上部で枝分かれをする。根際から生える葉には長い柄があり、手のひら状に5つに裂け、それぞれの裂片はさらに細かく切れ込む。葉には光沢がある。開花時期は7~9月である。花径3~4センチくらいの大きな金色の花をつける。ただし、5~7枚の大きな花弁のように見えるのは萼片である。花弁は長さが7ミリくらいで、雄しべより短い。よく似た千島の金梅草(チシマノキンバイソウ)のほうは、花弁が雄しべより長い。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)の集合果である。属名の Trollius はドイツ語の「Trollblume(セイヨウキンバイソウ)」からきている。種小名の riederianus は採集者「リーデルの」という意味である。変種名の japonicum は「日本の」という意味である。写真は7月に中央アルプスの千畳敷カールで撮った。学名:Trollius riederianus var. japonicus★金色に照り輝いて奥山に 夏を知らせる信濃金梅花図鑑植物図鑑
金梅草(キンバイソウ) 夏の花 2011年08月13日 金梅草(キンバイソウ)はキンポウゲ科キンバイソウ属の多年草である。日本固有種である。本州の中部地方と伊吹山に分布し、山地から亜高山の林の縁や草地に生える。草丈は40センチから100センチくらいである。葉は円形で深く裂ける。葉には艶がある。開花時期は7月から8月である。枝分かれをした茎先に、花径4センチくらいの黄色ないし黄橙色の花を1輪ずつつける。花弁のように見えるのは萼片で、普通は5枚ある。萼片と雄しべの間に長さ2センチくらいの線形の花弁が8枚から18枚くらいある。花弁は雄しべより長く、近縁種の信濃金梅(シナノキンバイ)は花弁が短い。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)の集合果である。和名の由来は、黄金色をした梅に似た花をつけることからきている。属名の Trollius はドイツ語の「Trollblume(セイヨウキンバイソウ)」からきている。種小名の hondoensis は「本州の」という意味である。写真は8月に伊吹山で撮った。学名:Trollius hondoensis★美しい花の姿にはっとする よく似た花を思い浮かべつ
雌宝香(メタカラコウ) 夏の花 2011年08月12日 雌宝香(メタカラコウ)はキク科メタカラコウ属の多年草である。本州から九州にかけて分布し、亜高山帯の湿気の多い草原などに生える。海外では、台湾、中国にも分布する。草丈は60~100センチくらいである。根際から生える葉は長い柄のある三角状の心形で、先は尾状に突き出す。また、つけ根側の両端も尖る。雄宝香(オタカラコウ)の葉は、ほぼ心形である。開花時期は6~9月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、たくさんの黄色い頭花をつける。真ん中にある筒状花6~11枚である。周りにつく舌状花は1~3枚と極端に少ない。雄宝香(オタカラコウ)の舌状花は5~9枚ある。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。「宝香」というのは防虫剤として使われる竜脳香のことである。根茎の香りが似ているということでつけられた名である。「雌」は雄宝香(オタカラコウ)に比べて優しい感じがするところからきている。属名の Ligularia はラテン語の「ligula(舌)」からきている。小さい舌状の花弁から名づけられた。種小名の stenocephala は「細い頭の」という意味である。写真は8月に伊吹山で撮った。学名:Ligularia stenocephala★花びらが落ちてしまった訳じゃない もともとこうさと雌宝香は花図鑑植物図鑑