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七島蝦蔓(シチトウエビヅル)



七島蝦蔓(シチトウエビヅル)はブドウ科ブドウ属の蔓性落葉木本である。
蝦蔓(エビヅル)の地域変種で伊豆諸島に分布し、山地の林の縁などに生える。
巻きひげで他の木にからみつく。
基本種との違いは、葉が大型なことである。
葉は心形で、互い違いに生える(互生)。
葉は浅く3つに裂け、裂片の先は尖る。
縁には疎らに浅いぎざぎざ(鋸歯)がある。
裏面には赤褐色の綿毛が生える。
和名の由来は、葉の裏面の色を「エビ」にたとえたものである。
開花時期は6~8月である。
葉と向かい合って円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、黄緑色の小さな花をつける。
花びらは5枚で先がくっつき、開花すると落ちる。
雌雄異株である。
どちらも黄緑色で、雄花には雄しべが5本あり、雌花にも雄しべが5本と雌しべが1本ある。
花の後にできる実は球形の液果(水分を多く含み中に種が1つある)で、10月ころに黒く熟する。
甘酸っぱい味がして食べられる。
属名の Vitis はラテン語の「vitis(つる植物)」からきている。
種小名の ficifolia は「イチジク属(Ficus)のような葉の」という意味である。
変種名の izuinsularis は「伊豆諸島の」という意味である。
写真は8月につくば植物園で撮った。
学名:Vitis ficifolia var. izuinsularis

★山葡萄思わすような大きな実
 見つけて頬の思わず緩み



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初雪葛(ハツユキカズラ)



初雪葛(ハツユキカズラ)はキョウチクトウ科テイカカズラ属の蔓性常緑低木である。
定家葛(テイカカズラ)の斑入り園芸品種である。
特徴は、新しく出た葉が白やピンクなど五色葉になることである。
匍匐性で、地面を這うように広がる。
古くから庭園用として使われてきたが、最近は鉢物やガーデニング用としても人気がある。
蔓の長さはは3~6メートルくらいになる。
葉は長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
冬の紅葉、春の新緑など一年を通して楽しめる。
開花時期は5~9月である。
花を咲かせるのは稀である。
花の色は最初は純白で、終わりに近づくと黄色くなる。
スクリューのような形をしている合弁花で、5つに裂けている。
花のつけ根の筒には雄しべ5本と雌しべが入っている。
茎や葉を切ると出る白い乳液はステロイドを含み、有毒なので注意が必要である。
属名の Trachelospermum はギリシャ語の「trachelos(首)+sperma(種子)」からきている。種子がくびれていることから名づけられた。
種小名の asiaticum は「アジアの」という意味である。
写真は7月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。
学名:Trachelospermum asiaticum 'Hatuyukikazura'

★派手やかに葉の色変えて変化する
 初雪葛地面を覆い




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蜀黍(モロコシ)



蜀黍(モロコシ)はイネ科モロコシ属(ソルガム属)の一年草である。
原産地は熱帯アフリカである。
紀元前3000年には既にエジプトで栽培されていたという。
アジアでも紀元前より栽培され、日本へは室町時代に中国から渡来した。
中国名は高粱(コーリャン)という。
英名はソルガム(sorghum)である。
熱帯では主食として用いられるほか、酒類、菓子、ブドウ糖などの原料とされる。
日本では、南九州などで飼料作物として栽培されている。
草丈は1~3メートルくらいである。
葉は披針形(笹の葉のような形)で長い。
開花時期は8~10月である。
茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、たくさんの花をつける。
花の後にできる実はえい果(イネ科の果実で薄い木質の果皮が種子に密着している)である。
9~10月ころに熟する。
属名の Sorghum はラテン語の「sorgo(サトウモロコシ)」からきている。
種小名の bicolor は「2色の」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Sorghum bicolor

★蜀黍はいかなるものと調べれば
 これは驚き高粱の花




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小笠原木麻黄(オガサワラモクマオ)



小笠原木麻黄(オガサワラモクマオ)はイラクサ科カラムシ属の常緑低木である。
小笠原諸島の固有種である。
海岸の崖地や山地の岩場、沢沿いなどに生える。
樹高は1~2メートルである。
樹形は株立ち状となる。
葉は卵形でざらつく。
葉の先は尖り、縁には細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は3~4月である。
葉の脇に長さ20~30センチの穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を垂れ下げ、ピンクを帯びた白い小さな花をたくさんつける。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
8月ころに黒く熟す。
樹皮が強靭ではないので繊維材料としては利用されない。
属名の Boehmeria はドイツの植物学者「ボーマー(Georg Rudolf Boehmer, 1723-1803)さん」の名からきている。
種小名の boninensis は「無人島の(小笠原の)」という意味である。
写真は7月に小石川植物園で撮った。
学名:Boehmeria boninensis

★木本のイラクサなんてあるんだね
 モクマオの名の伝播はいかに




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枝垂れ槐(シダレエンジュ)



枝垂れ槐(シダレエンジュ)はマメ科エンジュ属(クララ属)の落葉低木である。
原産地は中国である。
日本へは仏教と相前後して渡来したものと推定される。
中国では、古くから槐(エンジュ)は縁起のよい木とされている。
中でも変種の枝垂れ槐(シダレエンジュ)はその最高種とされ、庭木として珍重されてきた。
基本種は高木となるが、本種は低木である。
樹高は3~5メートルくらいである。
葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互生(互い違いに生える)する。
小葉の形は卵形である。
開花時期は7~8月である。
枝先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)をつけ、淡いクリーム色をした蝶形の花を咲かせる。
また、10~11月には数珠状にくびれた豆果(莢の中に種子が入るもの)をつける。
花を乾かしたものは生薬で槐花(かいか)といい、煎じて止血薬にする。
属名の Styphnolobium はギリシャ語の「styphn(縛った)+lobos(片)」からきている。莢がところどころでくびれることから名づけられた。
種小名の japonicumは「日本の」という意味である。
変種名の pendulum は「下垂の」という意味である。
写真は8月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Styphnolobium japonicum var. pendulum(syn. Sophora japonica var. pendula)

★照り返る夏日に負けず花つける
 枝垂れ槐の優雅な姿




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