蛭筵(ヒルムシロ) 秋の花 2013年09月06日 蛭筵(ヒルムシロ)はヒルムシロ科ヒルムシロ属の多年草である。北海道から沖縄にかけて分布する浮葉性の水草である。湖沼、池、川、水田などの比較的浅いところに生育する。海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。和名の由来は、ヒルのいる池や田んぼに繁殖するということからきている。草丈は10~60センチくらいである。浮葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉の長さは5~10センチくらいである。葉の色は濃い緑色や茶色つぽい緑色で、艶がある。水中葉は茶色っぽくて細長く、波打っている。開花時期は5月から10月である。長さ4センチから8センチくらいの黄緑色をした棒状の穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を水面に出す。花の後にできる実は核果(水分を多く含み中に種が1つある)である。属名の Potamogeton はギリシャ語の「potamos(川)+geiton(近所の)」からきている。種小名の distinctus は「著しい」という意味である。写真は10月につくば植物園で撮った。学名:Potamogeton distinctus★田んぼでは嫌われものの蛭筵 こうして見ると渋い花だね花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|PR
東京葛(トンキンカズラ) 秋の花 2013年09月05日 東京葛(トンキンカズラ)はガガイモ科ヤライコウ属(テロスマ属)の常緑蔓性低木である。分類の仕方によってはキョウチクトウ科とされる。原産地は中国南部からインドシナ半島、インドにかけてである。「東京」は日本の地名ではなく、ベトナムの北部の地名である。ベトナム戦争のきっかけとなったトンキン湾事件などで知られる。英名はトンキンジャスミン(Tonkin jasmin)である。標準和名は夜来香(ヤライコウ)という。読み方は「イエライシャン」とするものもある。中国南部での呼び名である。蔓の長さは5メートルくらいまで伸びる。葉は心形で、向かい合って生える(対生)。葉の質は薄く、長い柄がある。開花時期は8~10月くらいである。葉の脇に散形花序(枝先に1個つずつ花がつく)を出し、淡い黄緑色をした星形の花をつける。花にはよい香りがあり、特に夜になると強く香る。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。香水の原料とするほか料理にも用いられる。属名の Telosma はギリシャ語の「tele(遠い)+osme(香り)」からきている。花の香りが遠くまで届くことから名づけられた。種小名の cordata は「心臓形の」という意味である。写真は9月に京都府立植物園で撮った。学名:Telosma cordata★名を聞いても一度葉の脇じっと見る イエライシャンは目立たない花花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
喜樹(キジュ) 秋の花 2013年09月04日 喜樹(キジュ)はミズキ科カンレンボク属の落葉高木である。分類の仕方によってはヌマミズキ科とされる。ハンカチの木(ハンカチノキ)などが近い仲間である。原産地は中国の南西部である。雲南省などの標高1000メートル以上の地域に分布する。また、街路樹とされる。標準和名は旱蓮木(カンレンボク)という。いずれの名も中国名を音読みしたものである。英名はハッピーツリー(happy tree)という。日本へは大正時代に渡来した。樹高は15~25メートルくらいである。葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は尖り、縁は波打つ。雌雄同株である。開花時期は7~8月である。雌花は枝先につき、雄花は葉の脇につく。淡い黄緑色をした小さな花である。花の後にできる実は集合果で、淡い黄褐色に熟する。実や根には抗癌作用のある物質が含まれていて注目されている。属名の Camptotheca はギリシャ語の「kamptos(湾曲)+theke(細胞)」からきている。種小名の acuminata は「先が次第に尖った」という意味である。写真は9月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Camptotheca acuminata★遠目にもとても目立つよ喜樹の実は 大木の枝うずめ尽くして花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
ガシャモク 秋の花 2013年09月03日 ガシャモクはヒルムシロ科ヒルムシロ属の多年草である。本州の利根川水系、琵琶湖の内湖、九州北部に稀に生育する沈水植物で、水中葉しか出さない。海外では、中国にも分布する。透明度の高い水を好むため、水質汚濁の進行で数を減らしている。環境省のレッドリスト(2007)では、「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。根茎が泥の中を這い、節から細い根を出す。葉は細長い楕円形である。長さは5~10センチ、幅は15~20ミリくらいである。葉の縁は波打ち、先のほうに細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~9月くらいである。黄緑色の小さな花が水面に出て咲く。属名の Potamogeton はギリシャ語の「potamos(川)+geiton(近所の)」からきている。種小名の dentatus は「鋭い鋸歯の」という意味である。写真は10月につくば植物園で撮った。学名:Potamogeton dentatus(Potamogeton lucens subsp. sinicus var. teganumensis)★水草が数を減らしている中で きれいな水が好きならなおに花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|
ヨーロッパ葡萄(ヨーロッパブドウ) 果実・野菜 2013年09月02日 ヨーロッパ葡萄(ヨーロッパブドウ)はブドウ科ブドウ属の蔓性落葉低木である。「葡萄」は古くから北半球で栽培され、世界で最も生産量の多い果樹である。日本へは中国から渡来したヨーロッパ葡萄(ヨーロッパブドウ)が自生し、鎌倉時代に甲斐国の勝沼で栽培が始められたという。しかし、本格的な栽培が開始されたのは明治時代以降である。現在ではアメリカ葡萄(アメリカブドウ:Vitis labrusca)との雑種が多く栽培されている。巨峰のほかにデラウェア、マスカットなどがある。蔓の長さは10~30メートルになる。葉は手のひら状の切れ込みがあり、互い違いに生える(互生)。開花時期は5~6月である。円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、黄緑色の目立たない花をつける。花弁は上部が開かず、開花時には取れてしまう。花の後にできる実は球形の液果(水分を多く含み中に種が1つある)で、緑色や黒紫色の果実を房のようにつける。生食されるほか、乾しブドウ、ワインやブランデーなどのアルコール飲料など用途は広い。写真は「メンデルの葡萄」である。8月に小石川植物園で撮った。メンデルは豌豆(エンドウ)を使って「メンデルの法則」を発表した。チェコのブルノーにある修道院の修道士であったメンデルは、自らが発見した法則に基づいて品種改良を行おうと考え、修道院に葡萄(ブドウ)の木を植えたのだそうである。しかし、本業が忙しくなったため研究が進まず成果は得られなかったようである。「メンデルの法則」が知られるようになった大正時代に、東大の三好学教授がこの修道院を訪問し、記念に枝を贈られた。小石川植物園ではこれを挿し木にして育てた。第2次世界大戦後にこの修道院は解散をし、現在は「メンデル記念館」となっている。現地のものは既に枯れていて、平成4年に逆に小石川植物園から枝を贈ったという。属名の Vitis はラテン語の「vitis(つる植物)」からきている。種小名の vinifera は「ブドウ酒を生ずる」という意味である。学名:Vitis vinifera★生もいいだけとどワインはもっといい 役に立ちます葡萄の房は花図鑑植物図鑑|味の麺匠戸田久|おこめの鬼平|フロム蔵王|花の本屋さん|楽天トラベル|