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吾亦紅(ワレモコウ)

吾亦紅(ワレモコウ)

吾亦紅(ワレモコウ)はバラ科ワレモコウ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、野山の草原に生える。
昔から広く親しまれる山野草の1つである。
海外では、朝鮮半島、中国、シベリア、ヨーロッパなどに分布する。
漢字では「吾木香」「割木瓜」「我毛香」などの文字も充てられる。
草丈は30センチから100センチくらいである。
葉は茎の下部につくか、根際から伸びる。
奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、5枚から13枚で1組となる。
小葉の形は長めの楕円形である。
茎につく葉は互い違いに生える。
開花時期は7月から11月である。
枝分かれした茎の先に、楕円形をした赤紫色の花穂をつける。
1つの花は4枚の萼からなり、花弁はない。
花穂の上から順に咲く。
根茎は黒褐色で太く、生薬の地楡(じゆ)となる。
下痢止めや、傷の止血、やけどに効くとされる。
また、若葉は食用となり、和え物、油いため、佃煮などにする。
俳句の季語は秋である。
写真は10月に箱根湿生花園で撮った。
学名:Sanguisorba officinalis


★吾亦紅燃やす炎はさり気なく
 されど尽きない種火のように


吾亦紅(ワレモコウ)

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葉隠釣舟(ハガクレツリフネ)

葉隠釣舟(ハガクレツリフネ)

葉隠釣舟(ハガクレツリフネ)はツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草である。
本州の紀伊半島と四国、それに九州の中南部に分布し、山地の林の縁や湿地に生える。
中央構造線の南側に分布する「ソハヤキ要素」の植物の1つである。
草丈は30センチから80センチくらいである。
葉は楕円形で縁にぎざぎざ(鋸歯)があり、互い違いに生える(互生)。
葉の表面にも裏面にも、葉脈上に白い縮れ毛が生える。
開花時期は7月から10月である。
花は葉の脇からぶら下がってつく。
花の色は淡い紅紫色で、濃い斑点がある。
距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)は内側に曲がるが巻き込まない。
葉の下に隠れるように咲く「釣舟草」というのが名の由来である。
写真は10月に箱根湿生花園で撮った。
学名:Impatiens hypophylla


★ひっそりと隠れるように花つけて
 人待ち顔の葉隠釣舟


葉隠釣舟(ハガクレツリフネ)

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秋丁字(アキチョウジ)

秋丁字(アキチョウジ)

秋丁字(アキチョウジ)はシソ科ヤマハッカ属の多年草である。
本州の岐阜県から九州にかけて分布し、山地の林の中や林の縁に生える。
草丈は40センチから90センチくらいである。
葉は細めの卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は鋭く尖り、葉には疎らに毛が生える。
開花時期は8月から10月である。
茎先や葉の脇から円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、細かな毛の生えた柄の先に小さな青紫色をした唇形の花を横向きにつける。
花は細長く、花の中には4本の雄しべと1本の花柱(雌しべ)がある。
萼は5つに裂け、裂片は鈍角である。
近縁種の関屋の秋丁字(セキヤノアキチョウジ)は花柄が長く、萼の裂片が尖っている。
名の由来は、秋に丁字形の花をつけることからきている。
写真は10月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Plectranthus longitubs


★どことなくか細く見える花だけど
 秋丁字は木陰で負けず
☆秋の山佇み見れば足元に
 小さき花の秋丁字あり


秋丁字(アキチョウジ)

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薩摩野菊(サツマノギク)

薩摩野菊(サツマノギク)

薩摩野菊(サツマノギク)はキク科キク属の多年草である。
熊本県から鹿児島県にかけての海岸と屋久島に分布し、日当たりのいい場所に生える。
分布域は狭いが個体数は多いという。
栽培菊の原種の1つとなっている。
別名を薩摩野路菊(サツマノジギク)ともいう。
草丈は25センチから60センチくらいである。
茎は根際から束になって生え(束生)、上部で枝分かれをする。
茎には銀白色の毛が生える。
葉は広めの卵形で、羽状に浅く裂け、互い違いに生える(互生)。
葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉の表面は緑色で縁が白く、裏面には銀白色の毛が生える。
開花時期は11月から12月である。
舌状花は白く、真ん中の筒状花は黄色い。
写真は10月に市川市万葉植物園で撮った。
学名:Chrysanthemum ornatum


★びっしりと白い花びら敷き詰めて
 薩摩野菊は宴迎えて


薩摩野菊(サツマノギク)

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松虫草(マツムシソウ)

松虫草(マツムシソウ)

松虫草(マツムシソウ)はマツムシソウ科マツムシソウ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、山地の草原に生える。
和名の由来は松虫の鳴くころに咲くというところからきている。
草丈は50センチから90センチくらいである。
根際から生える葉は羽状に裂け、ロゼット状(茎から葉が重なり合って出て地に接し、円座形になったもの)となる。
茎につく葉は深く裂けて細長く、向かい合って生える(対生)。
葉の表面や縁には長い毛が疎らに生える。
葉の裏面には短い毛が密生し、葉脈の上には長い毛が疎らに生える。
開花時期は8月から10月である。
真っ直ぐ伸びた茎の先に青紫色の花(頭花)をつける。
花序の直径は3センチから5センチくらいである。
花序の中央にある花は筒状で小さく、周囲の花は唇形で大きい。
総苞片(花序全体を包む葉の変形したもの)は線状である。
雄しべは4本で、葯は青い色が濃い。
写真は8月に軽井沢町植物園で撮った。
俳句の季語は秋である。
学名:Scabiosa japonica


★複雑な花の姿が珍しく
 松虫草をしげしげ眺め


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