クリサンセマム・ムルチコーレ 春の花 2011年01月16日 クリサンセマム・ムルチコーレはキク科コレオステフス属の一年草である。原産地はアルジェリアである。日本へは昭和30年代に渡来した。草丈は15センチから20センチくらいである。よく枝分かれをしてマット状に広がる。葉はへら形で、互い違いに生える(互生)。葉の縁には鈍いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の質はやや肉質で艶がある。開花時期は3月から6月である。茎先に黄色いくっきりした花(頭花)を咲かせる。周りにつく舌状花弁も真ん中の筒状花も黄色い。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。なお、クリサンセマムというのはキク属の総称であるが、このムルチコーレやノースポールなどが特にクリサンセマムの名で呼ばれてきた。属名の読み方は「クリサンテムム」とするものもある。ただし、ムルチコーレは現在では他の属(コレオステフス属)に分類が変わっている。属名の Coleostephus はギリシャ語の「koleos(鞘)+stephanos(冠)」からきている。冠毛の形から名づけられたものである。写真は2月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。学名:Coleostephus myconis (=Chrysanthmum multicaule)★燦然と春を知らせて咲き競う ムルチコーレは乙女のごとく今日の花ドットコム花図鑑PR
ストック 春の花 2011年01月15日 ストック(stock)はアブラナ科アラセイトウ属の一年草である。ガーデンストック (garden stock)ともいう。原産地は南ヨーロッパである。ストックというのは茎のことで、これは茎が太く丈夫で真っ直ぐに伸びることからつけられた花の名前である。栽培の歴史は古く、古代ギリシャ人やローマ人は薬草として栽培していた。日本へは江戸時代に渡来したとされている。園芸用に生産され始めたのは大正以降のことである。庭植え、鉢植え、切り花などに利用されている。和名は紫羅欄花(アラセイトウ)という。妙な名前だが、葉が厚くて毛に覆われており、ラセイタという布(ポルトガル語で羅紗に似た地の厚い毛織物)に似ていることから転訛したという。種をまく時期によって開花期は異なるが、一般には春の花とされている。俳句の季語も春である。草丈は20センチから80センチくらいである。葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。開花時期は10月から3月くらいである。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、赤、白、ピンク、紫色などの花をつける。八重咲きと一重咲き(4弁花)とがあり、日本では八重咲きが好まれている。花には強い香りがある。花の後にできる実は角果(雌しべの中にある仕切りを残して左右の殻がはがれるもの)だが、八重咲きのものには生殖能力はない。ブロッコリーやカリフラワーと同じアブラナ科なので食べることもできる。属名の Matthiola はイタリアの植物学者「マッティオリさん(P. A. Mattioli)」の名にちなむ。種小名の incana は「灰白色の柔らかい毛で覆われた」という意味である。写真は3月に京都府立植物園で撮った。品種名は上がホワイトアイアン、下がキスミーチェリーである。学名:Mathiola incana★すくすくと天をめざして八重に咲く ストックの花香りにあふれ☆鈴なりの香りも高いストックに 誘われては春も訪れ今日の花ドットコム花図鑑
カランコエ・ラウヒー 冬の花 2011年01月14日 カランコエ・ラウヒーはベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属(カランコエ属)の常緑多年草である。原産地は、中央アフリカからマダガスカル島である。カランコエには園芸品種が多いが、本種は原種である。草丈は40センチから80センチくらいである。葉は披針形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁には鋸状の粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の質は革質で分厚く、艶がある。開花時期は12月から3月である。伸ばした花茎の先に散形花序(たくさん枝が出て、先に1個つずつ花がつく)を出し、朱赤色をした鐘形の花を下垂して咲かせる。花冠の先は4つに裂ける。流通名を幸来花(コウライカ)という。属名の Kalanchoe は、中国名の「加籃菜」の音に由来するという説がある。種小名の rauhii はマダガスカルの植物の研究者であるドイツ人の「ラウーさん(W. Rauh)の」という意味である。ハイデルベルク大学附属植物園の園長だった人である。写真は2月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。学名:Kalanchoe rauhii★うな垂れて明かり灯して密やかに 咲くを眺める南国の花今日の花ドットコム花図鑑
ノースポール 冬の花 2011年01月13日 ノースポール(North Pole)はキク科フランスギク属の一年草である。原産地は南ヨーロッパ、北アフリカである。日本へは1970年代に渡来した。ノースポールは商品名であるが、一般名としても定着している。学名はレウカンテムム・パルドスム(Leucanthemum paludosum)という。クリサンテムム・パルドスム(Chrysanthemum paludosum)という学名を使う場合もある。クリサンテムム(Chrysanthemum)はキク科キク属を示す学名で、キク属を広義にとらえる立場である。草丈は20センチから30センチくらいである。葉は羽状に切れ込み、互い違いに生える(互生)。開花時期は12月から6月ころまでと長い。花はマーガレットによく似ているが、草丈も花の大きさも小さめである。花径は2センチから3センチくらいである。舌状花は白く、筒状花は黄色い。ノースポールというのは「北極」のことである。花つきがよく、株全体をおおうほどに白く咲く姿から名づけられたものである。属名の Leucanthemum はギリシャ語の「leukos(白)+anthemon(花)」からきており、「白い花」を意味する。種小名の paludosum は「沼地に生える」という意味である。写真は1月に川口市立グリーンセンターで撮った。学名:Leucanthemum paludosum (=Chrysanthemum paludosum)★敷き詰めた淡き緑の絨毯に ノースポールの花びら揺れて☆寒ささえ輝くように白さ増し ノースポールは強さを秘めて今日の花ドットコム花図鑑
プリムラ・フィルクネラエ 冬の花 2011年01月12日 プリムラ・フィルクネラエはサクラソウ科サクラソウ属の多年草であるサクラソウの仲間は世界中に自生しているが、このプリムラ・フィルクネラエの原産地は中国である。峡西省の灌木で覆われた南斜面などに自生しているという。しかし、なぜか雲南桜草(ウンナンサクラソウ)の名で流通している。生長が早く、サクラソウの中では大型である。草丈は30~50センチくらいである。茎と葉は長い毛に覆われている。葉には羽状の切れ込みがある。開花時期は2月から3月である。茎先に淡い桃色の花をつける。花冠は5つに深く裂け、裂片の先が更に2つに裂ける。花径は20ミリから25ミリくらいである。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Primula はラテン語の「primos(最初)」の縮小形である。同属の1種が他に先駆けて早春に花咲くことで名づけられた。種小名のほうは調べてもはっきりしなかった。写真は1月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。学名:Primula filchnerae★薄っすらと肌を染め咲く花姿 清らかなりしフィルクネラエ今日の花ドットコム花図鑑