黄花碇草(キバナイカリソウ) 春の花 2011年04月29日 黄花碇草(キバナイカリソウ)はメギ科イカリソウ属の多年草である。北海道と東北地方北部、それに近畿地方以北の本州の日本海沿岸に分布し、山地の林の中や林の縁に生える。海外では、朝鮮半島にも分布する。草丈は20~40センチくらいである。葉は2回3出複葉といって、3つに枝分かれした先にそれぞれ3出複葉(1つの葉が3枚の小さな葉に分かれた形)をつける。小葉は大きく、卵形で先が尖り、縁には刺状の毛がたくさんついている。開花時期は4~5月である。花の色は淡い黄色である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出してたくさんの花をつけ、下についた花から開いていく。花びらは4枚、萼片は8枚、雄しべは4本ある。距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)は四方に長く伸びる。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。属名の Epimedium は地名に由来する言葉。イカリソウに転用された。種小名の koreanum は「高麗(朝鮮)の」という意味である。写真は4月に箱根湿生花園で撮った。学名:Epimedium koreanum★ちょっと見は目立たないけど個性的 よくよく見てね不思議な姿今日の花ドットコム花図鑑PR
三槲(ミツガシワ) 春の花 2011年04月28日 三槲(ミツガシワ)はミツガシワ科ミツガシワ属の多年草である。漢字では「三柏」とも書く。ミツガシワ属には三槲(ミツガシワ)1種のみしか存在しない。いわゆる氷河期の遺存植物の1つと言われている。北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、山地や低地の沼地や湿地に生える。海外では、北半球に広く分布し、「極地周辺植物」といわれるものの1つである。草丈は15~40センチくらいである。葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で、互い違いに生える(互生)。葉には長い柄がある。小葉の形は卵形で、縁は波打っている。開花時期は4~5月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、花径1センチくらいの小さな白い花を10~20輪くらいつける。花は下から順に咲いていく。花冠は深く5つに裂け、裂片の内側には白い縮れた毛をたくさんつけている。萼片は5枚である。雄しべは5本、雌しべは1本である。株によって、雄しべのほうが長い花を咲かせるものと、雌しべのほうが長い花を咲かせるものがある。長花柱花(雌しべのほうが長い花)が結実する。花の後にできる実は丸いさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、黄赤色に熟する。和名の由来は、3枚ある葉の形が「柏の葉」に似ている、あるいは家紋の「三柏」に似ているというところからきている。「丸に三柏」の家紋は山内一豊が用いたものである。葉には苦味成分が含まれ、生薬で睡菜(すいさい)といって江戸時代には健胃薬として用いられたという。別名を水半夏(ミズハンゲ)という。属名の Menyanthes はギリシャ語の「menyein(表現する)+anthos(花)」からきている。花が徐々にひらいていくことから名づけられた。種小名の trifoliata は「三葉の」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Menyanthes trifoliata ★古の名残を秘めて三槲 湿原に咲く人里離れ今日の花ドットコム花図鑑
天塩小桜(テシオコザクラ) 春の花 2011年04月27日 天塩小桜(テシオコザクラ)はサクラソウ科サクラソウ属の多年草である。北海道の固有種である。天塩川と問寒別川流域に分布し、蛇紋岩や石灰岩地帯に生える。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。草丈は10~15センチくらいである。全体にやわらかな毛が生えている。葉は根元から生え、手のひら形に浅く裂けている。自生地での開花時期は5~6月である。白くて真ん中の部分が黄緑色をした花を2~3輪つける。和名の由来は、北海道の手塩で最初に見つかったことからきている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Primula はラテン語の「primos(最初)」縮小形である。プリムラ・ベリスが早春に他に花に先駆けて咲くことから名づけられた。種小名の takedana は高山植物の研究家「武田久吉さんの」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Primula takedana★北の地に春の歓びひそやかに 伝え花咲く天塩小桜今日の花ドットコム花図鑑
桷(ズミ) 春の花 2011年04月26日 桷(ズミ)はバラ科リンゴ属の落葉小高木である。北海道から九州にかけて分布し、山地や原野に生える。また、街路や公園、庭などに植えられる。海外では、朝鮮半島にも分布する。漢字では「棠梨」ないし「酢実」とも書く。和名の由来は、染み(ソミ)の転訛で、樹皮を煮出して黄色の染料に用いたことからきているという。樹高は3~8メートルくらいである。よく枝分かれし、小枝はしばしば棘状になる。若枝には毛がある。葉は円形または楕円形で、時に3つに裂け、互い違いに生える(互生)。開花時期は4~6月である。蕾の時は紅色をしているが、花が開くとほぼ白くなる。稀に淡いピンクのものもある。花弁数は5枚である。果実が成熟するのは9~10月である。果実は小球形で赤く熟する。材は櫛、器具材などに利用される。小林檎(コリンゴ)、小梨(コナシ)、姫海棠(ヒメカイドウ)、三葉海棠(ミツバカイドウ)などの別名がある。属名の Malus はギリシャ語の「malon(リンゴ)」からきている。種小名の sieboldii は日本植物の研究者「シーボルトの」という意味である。花の写真は4月につくば植物園で撮った。実の写真は9月に北大植物園で撮った。学名:Malus sieboldii★桷の実の熟す姿の愛らしく 思わず知らず頬を緩めて今日の花ドットコム花図鑑
小葉の三葉躑躅(コバノミツバツツジ) 春の花 2011年04月25日 小葉の三葉躑躅(コバノミツバツツジ)はツツジ科ツツジ属の落葉低木である。日本固有種である。本州の中部地方から九州にかけて分布し、山地に生える。「三葉」は葉が3枚ということであり、「小葉」は近縁種と比べて葉が小さいということである。樹高は1~3メートルである。普通は枝先に長さ3~5センチの菱形をした3枚の葉を輪になってつける(輪生)。葉の裏面に網目模様がある。開花時期は4~5月である。葉の展開に先立って花を咲かせる。花径は3センチくらいで、漏斗状をした紅紫色の花である。花の柄や萼には毛が多い。上側の花びらの内側には色の濃い斑点がある。雄しべは10本あり、5本は長く5本は短い。属名の Rhododendron はギリシャ語の「rhodon(バラ)+dendron(樹木)」からきている。紅色の花をつける木という意味で名づけられた。種小名の reticulata は「網状の」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Rhododendron reticulatum★花の前に咲かす花色美しく 賑わい誘う躑躅の季節今日の花ドットコム花図鑑