三槲(ミツガシワ) 春の花 2011年04月28日 三槲(ミツガシワ)はミツガシワ科ミツガシワ属の多年草である。漢字では「三柏」とも書く。ミツガシワ属には三槲(ミツガシワ)1種のみしか存在しない。いわゆる氷河期の遺存植物の1つと言われている。北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、山地や低地の沼地や湿地に生える。海外では、北半球に広く分布し、「極地周辺植物」といわれるものの1つである。草丈は15~40センチくらいである。葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で、互い違いに生える(互生)。葉には長い柄がある。小葉の形は卵形で、縁は波打っている。開花時期は4~5月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、花径1センチくらいの小さな白い花を10~20輪くらいつける。花は下から順に咲いていく。花冠は深く5つに裂け、裂片の内側には白い縮れた毛をたくさんつけている。萼片は5枚である。雄しべは5本、雌しべは1本である。株によって、雄しべのほうが長い花を咲かせるものと、雌しべのほうが長い花を咲かせるものがある。長花柱花(雌しべのほうが長い花)が結実する。花の後にできる実は丸いさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、黄赤色に熟する。和名の由来は、3枚ある葉の形が「柏の葉」に似ている、あるいは家紋の「三柏」に似ているというところからきている。「丸に三柏」の家紋は山内一豊が用いたものである。葉には苦味成分が含まれ、生薬で睡菜(すいさい)といって江戸時代には健胃薬として用いられたという。別名を水半夏(ミズハンゲ)という。属名の Menyanthes はギリシャ語の「menyein(表現する)+anthos(花)」からきている。花が徐々にひらいていくことから名づけられた。種小名の trifoliata は「三葉の」という意味である。写真は4月につくば植物園で撮った。学名:Menyanthes trifoliata ★古の名残を秘めて三槲 湿原に咲く人里離れ今日の花ドットコム花図鑑PR