千本菊(センボンギク) 秋の花 2011年11月09日 千本菊(センボンギク)はキク科シオン属の多年草である。本州の宮城県から九州にかけて分布し、山地の河岸の岩場などに生える。草丈は10~40センチくらいである。茎は細く、束生をする。葉は線形で、互い違いに生える(互生)。葉の表面には疎らに毛が生える。開花時期は9~11月である。茎の上部で枝分かれをし、花径2センチくらいの花(頭花)を5~6輪つける。花の色は淡い紫色である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。野紺菊(ノコンギク)の近縁種である。属名の Aster はギリシャ語の「aster(星)」からきている。頭花が放射状をなすことから名づけられた。種小名の ageratoides は「アゲラタムに似た」という意味である。変種名の microcepalus は「小さい頭の」という意味である。写真は9月に日光植物園で撮った。学名:Aster ageratoides subsp. microcephalus★柔らかな茎をなびかせ咲きいずる 千本菊の姿やさしく花図鑑植物図鑑PR
段菊(ダンギク) 秋の花 2011年11月08日 段菊(ダンギク)はクマツヅラ科カリガネソウ属の多年草である。分類体系によってはシソ科とされる。九州の北部と対馬に分布し、日当たりのいい岩場などに生える。海外では、台湾、朝鮮半島、中国大陸などに分布する。大陸と陸続きだった時代の遺存種である。草丈は70~80センチくらいである。茎は直立し、葉とともに短い軟毛を密生している。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は9~10月である。葉のつけ根の部分に小さな青紫の花が集まって花穂をつくり、それが段になって咲く。1つ1つの花は唇形である。5つに裂けた裂片のうち下側のものが長く、先が細かく裂ける。4本の雄しべと1本の花柱(雌しべ)が花筒から飛び出している。花の色は青紫が多いが、白やピンクのものもある。花の後にできる実は小堅果で、先は4つに裂ける。名の由来は、葉が菊(キク)に似ていて段になって咲くところからきている。属名の Caryopteris はギリシャ語の「karyon(堅果)+pteron(翼)」からきている。果実が小堅果で翼があるように見えることから名づけられた。種小名の incana は「灰白色の柔らかい毛で覆われた」という意味である。写真は9月に川口市立グリーンセンターで撮った。学名:Caryopteris incana★段々に茎を取り巻き咲く姿 どこか不思議な段菊の花花図鑑植物図鑑
銀角珊瑚(ギンツノサンゴ) 多肉植物 2011年11月07日 銀角珊瑚(ギンツノサンゴ)はトウダイグサ科トウダイグサ属の常緑低木である。原産地はマダガスカルである。学名のユーフォルビア・ステノクラーダで表示するものもある。樹高は2~5メートルくらいである。幹が太く、鋭い棘に被われた枝を伸ばす。葉は生えない。春に黄色い小さな花をつける。属名の Euphorbia はローマ時代の医師「エウフォルブスさん(Euphorbus)」の名にちなむ。この属の植物の乳液を初めて薬にしたことから名づけられた。種小名の stenoclada は「細い枝分かれした棘の」という意味である。写真は1月に川口市立グリーンセンターで撮った。学名:Euphorbia stenoclada★オブジェかと見紛うようなその姿 個性に満ちた銀角珊瑚花図鑑植物図鑑
木白虹(モクビャッコウ) 秋の花 2011年11月06日 木白虹(モクビャッコウ)はキク科モクビャッコウ属の常緑低木である。小笠原諸島と沖縄に分布し、海岸の石灰岩地に生える。海外では、台湾、中国、フィリピンなどにも分布する。環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。沖縄方言では「イシヂク」という。「石菊」の意味になる。樹高は30~80センチくらいである。枝分かれが多く、傘状の樹形となる。茎や葉には灰色の軟毛が密生しおり、全体が灰色に見える。開花時期は10~12月である。黄色い地味な花をつけるが、観賞価値はあまりない。まとまった樹形と葉が魅力の植物である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。中国では薬用とされる。属名の Crossostephium はギリシャ語の「crosso(縁飾り)+stephium(花冠)」からきている。種小名の chinense は「中国の」という意味である。写真は11月に沖縄県本部町の熱帯・亜熱帯都市緑化植物園で撮った。学名:Crossostephium chinense★潮風は元気の基と姿よく 木白虹の備えた気品花図鑑植物図鑑
犬山薄荷(イヌヤマハッカ) 秋の花 2011年11月05日 犬山薄荷(イヌヤマハッカ)はシソ科ヤマハッカ属の多年草である。本州の関東地方西部から中部地方にかけて分布し、山地の林の中に生える。草丈は20~80センチくらいである。葉は長めの楕円形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)があり、葉の表面には薄い毛が生える。開花時期は9~10月である。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、唇形をした青紫色の花をたくさんつける。花(花冠)は筒状で、先が2つに裂ける。上唇は浅く4つに裂けて反り返る。山薄荷(ヤマハッカ)の場合は上唇に濃い紫色の筋が入るが、本種には筋がない。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。和名の由来は、「山薄荷」に似るがそれとは異なる(「犬」は「否」の転訛)というところからきている。属名の Plectranthus はギリシャ語の「plectron(距)+anthos(花)」に由来する。距のある花の形を表したものである。種小名の umbrosus は「日蔭地を好む」という意味である。写真は11月につくば植物園で撮った。学名:Plectranthus umbrosus★透き通る青紫の花こぼし 犬山薄荷は林の中に花図鑑植物図鑑