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白樺(シラカンバ)



白樺(シラカンバ)はカバノキ科カバノキ属の落葉高木である。
白樺(シラカバ)ともいう。
狭義の解釈では日本原産の変種とされ、北海道から本州の中部地方にかけて分布し、高原や山地の日当りのよい場所に生える。
広義の解釈では、アジア北東部に分布するものも含まれる。
樹高は20~30メートルくらいである。
幹はまっすぐに伸び、よく枝を分ける。
樹皮の色は淡い黄色みを帯びた白で、光沢がある。
外皮は薄く、紙状に剥がれる。
葉は三角状の卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
近縁種の岳樺(ダケカンバ)と似ているが、岳樺(ダケカンバ)は樹皮の色が赤褐色から灰褐色である。
また、葉脈の数が異なり、白樺(シラカンバ)は7対、岳樺(ダケカンバ)は11対である。
開花時期は4~6月である。
雌雄同株である。
雄花は黄褐色で長さは3~5センチくらいあり、枝から垂れ下がる。
雌花は緑色で長さは2センチくらいであり、枝上に直立する。
果穂は長さ3~5センチの円柱形で、枝から垂れ下がる。
種子には広い翼があり、風で遠くまで運ばれる。
雄花の飛ばす花粉は、花粉症の原因ともなっている。
秋には黄葉する。
各地で「自治体の木」となっている。
長野県では「県の木」に指定している。
小樽市、帯広市、千歳市、富士吉田市などでは「市の木」に指定している。
属名の Betula はケトル語の「betu(カバノキ)」からきている。
種小名の platyphylla は「広い葉の」という意味である。
変種名の japonica は「日本の」という意味である。
写真は6月に札幌の百合が原公園で撮った。
学名:Betula platyphylla var. japonica


★清廉を肌にたたえて天を衝く
 白樺の木は林となりて




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苔桃(コケモモ)



苔桃(コケモモ)はツツジ科スノキ属の常緑小低木である。
北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、高山ないし亜高山の日当たりの良い岩場や砂礫地に生える。
海外では、朝鮮半島、サハリンのほか周北極地域に広く分布する。
樹高は10センチくらいである。
地を這ってマット状に広がる。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
硬くて光沢があり、真ん中の葉脈が目立つ。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は5~7月である。
枝先に紅色を帯びた鐘状の花を数個下向きにつける。
花の先は4つに裂けている。
実は直径1センチくらいの球形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、秋になると赤く熟する。
酸味があって、生食するほか、果実酒やジャムなどにする。
利尿効果や尿路殺菌作用があるという。
和名は、地面を這う様子を「苔」にたとえたものである。
「モモ」は方言で「木の実」のことだという。
北海道では、アイヌ語のフレップ(赤い実)の名で知られている。
属名の Vaccinium はラテン語の「vaccinus(牝牛の)」からきているが、関係は不明だという。
種小名の vitis-idaea はギリシャ神話に出てくる「クレタ島のイダ山(Ida)のブドウ」という意味である。
写真は7月に長野県駒ヶ根市の千畳敷カールで撮った。
学名:Vaccinium vitis-idaea


★やがてくる実りの秋に思い馳せ
 薄紅の花地を見つめ咲く




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八幡草(ヤワタソウ)



八幡草(ヤワタソウ)はユキノシタ科ヤワタソウ属の多年草である。
本州の東北地方南部から中部地方にかけて分布し、山地の谷沿いなど湿り気の多い場所に生える。
海外では、中国にも分布する。
草丈は30~60センチくらいである。
地下茎は太い。
根際からは長い柄のある1~2枚の葉が生える。
葉の形は円形ないし卵円形で、縁は手のひら状に浅く裂ける。
茎につく葉は小さく、数枚が互い違いに生える(互生)。
開花時期は5~7月である。
茎先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、黄白色の小さな花をいくつかつける。
花弁は5枚で、平開はしない。
萼筒は浅い鐘形である。
雄しべは10本である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
和名の由来は不明とされている。
属名の Peltoboykinia はギリシャ語の「pelto(楯状の)+Boykinia(アラシグサ属)」からきている。
種小名の tellimoides はユキノシタ科の「テリマ属(Tellima)に似た」という意味である。
写真は7月に仙台市野草園で撮った。
学名:Peltoboykinia tellimoides


★薄闇に花も目立たぬ八幡草
 艶のある葉が存在示し





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エンキクリア・パンテラ



エンキクリア・パンテラはラン科エンキクリア属の多年草である。
属名の読み方は「エンシクリア」とするものもある。
エンキクリア属は中南アメリカに1000種以上分布する着生種である。
分類の仕方によっては、エピデンドルム属(Epidendrum)に統合されることもある。
本種の原産地はメキシコ、グアテマラである。
標高1300~2100メートルの高地の林の中に生える着生種である。
種小名の読み方は「パンセラ」とするものもある。
異名をプロステケア・パンテラ(Prosthechea panthera)という。
草丈は20センチくらいである。
葉は披針形(笹の葉のような形)で革質である。
開花時期は冬から春である。
茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、緑白色で紅紫色の豹のような斑点のあるの花を数輪つける。
唇弁の色は白い。
花径は25ミリくらいで、よい香りがする。
属名の Encyclia はギリシャ語の「enkykleomai(取り囲む)」からきている。
種小名の panthera は「ヒョウ属のような」という意味である。
写真は6月につくば植物園で撮った。
学名:Encyclia panthera


★豹柄で個性を見せるパンテラは
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雌蛭木(メヒルギ)



雌蛭木(メヒルギ)はヒルギ科メヒルギ属の常緑小高木である。
漢字では「雌漂木」とも書く。
鹿児島県の薩摩半島から沖縄にかけて分布し、海岸地帯の海際に生えるマングローブ植物の1つである。
海外では、台湾や中国南部にも分布する。
かつては南アジアやオセアニアに分布するものも含めてカンデリア・カンデル(Kandelia candel)として分類されていたが、2003年に南シナ海より北にあるものはカンデリア・オボバタ(Kandelia obovata)として分離された。
ただし、写真を撮ったつくば植物園ではカンデリア・カンデルを踏襲している。
別名を琉球笄(リュウキュウコウガイ)という。
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(Ver. 3.1, 2001)では軽度懸念(LC)に指定されている。
日本での樹高は5~8メートルくらいである。
幹は直立をする。
樹皮は濃い赤褐色である。
成木は幹の周囲に呼吸根を持ち、干潟の泥地に株立ちする。
葉は長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の質は革質で艶があり、葉の先は丸い。
開花時期は5~6月である。
葉の脇に集散花序(茎先に花がつき、少し下から横枝が出てその先にも花がつく)を出し、白い花を10個くらいつける。
花は糸状の5枚の花弁と細長い5枚の萼片をもつ。
花弁は2つに裂け、裂片の先はさらに細く裂ける。
萼片は後ろに反り返る。
花の後には卵形の実をつけ、「胎生種子」を育てる。
属名の Kandelia はインドの現地語(マラヤーラム語)での呼び名(kandel)からきている。
種小名の obovata は「倒卵形の」という意味である。
写真は5月につくば植物園で撮った。
3枚目は沖縄県東村の慶佐次地区で撮った。
学名:Kandelia obovata(=Kandelia candel)


★雌蛭木の花はこれかとレンズ寄せ
 マングローブの不思議を思う





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