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季節の花

いま咲いている花

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庭梅(ニワウメ)



庭梅(ニワウメ)はバラ科サクラ属(ニワウメ亜属)の落葉低木である。
原産地は中国の北部と朝鮮半島である。
日本へは古い時代に渡来し、庭木として植栽されてきた。
万葉集にも唐棣花(はねず)の名で詠まれている。
樹高は1メートルから2メートルである。
株立ち状になる。
葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉の先は尖り、縁には重鋸歯(大きなぎざぎざに更に細かなぎざぎざがある)がある。
葉の表面は緑色で毛がなく、裏面には毛がある。
開花時期は3月から4月である。
葉の展開に先立って淡い紅色の花をつける。
花弁数は5枚で、花の中央にたくさんの雄しべがあり、真ん中に緑色の子房(果実や種子ができるところ)が見え、そこから雌しべの花柱が伸びている。
花の後にできる実は直径1センチくらいの丸い核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、赤く熟する。
生で食べることができ、果実酒ともされる。
種子は生薬名を郁李仁(いくりにん)といい、便秘薬とされる。
根は郁李根(いくりこん)といい、歯ぐきが腫れたときに効く。
俳句では「庭梅の花」が春の季語である。
花言葉は「願望」である。
属名の Prunus はラテン語の「plum(スモモ)」からきている。
種小名の japonica は「日本の」という意味である。
写真は3月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。
学名:Prunus japonica(syn. Microcerasus japonica)

★庭梅を愛でて安らぎ覚えつつ
 そっと噛み締む春の歓び



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斑入り蕗(フイリブキ)



蕗(フキ)はキク科フキ属(ペタシテス属)の多年草である。
ペタシテス属は東アジアやヨーロッパ、北アメリカなどに数種の原種と交配種が分布する。
日本にも蕗(フキ)などが分布し、属名の和名をフキ属という。
斑入り蕗(フイリブキ)はその園芸品種である。
葉を楽しむ観葉植物として栽培される。
草丈は20センチから70センチくらいである。
開花時期は3月から5月である。
雌雄異株である。
花はいわゆる蕗の薹(フキノトウ)である。
雄花は黄色っぽく、雌花は白っぽい。
花の後に、長い柄のある腎心形の大きな葉が生える。
そこにクリーム色の斑が入る。
新葉の季節が特に美しい。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
属名の Petasites はギリシャ語の「petasos(つば広の帽子)」からきている。葉が広く大きいことから名づけられた。
種小名の japonicus は「日本の」という意味である。
園芸品種名の Variegatus は「斑入りの」という意味である。
写真は4月に小石川植物園で撮った。
学名:Petasites japonicus 'Variegatus'

★柔らかな葉の色見せて斑入り蕗
 灰汁の強さは身の内に秘め




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泰平(タイヘイ)



梅(ウメ)バラ科サクラ属の落葉小高木である。
中国原産で、日本へは古代に渡来した。
泰平(タイヘイ)は梅(ウメ)の栽培品種の1つである。
樹高は3メートルから6メートルくらいである。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
開花時期は2月から3月である。
葉の展開に先立って花を咲かせる。
豊後系・豊後性の白い一重咲きの中輪(20から25ミリ)である。
実梅の1つで、白加賀(シロカガ)の受粉樹として適している。
属名の Prunus は「plum(スモモ)」を意味する。
種小名の mume は「梅」のことである。
写真は3月に水戸市の偕楽園で撮った。
学名:Prunus mume 'Taihei'

★泰平の由来はいかに素朴なる
 花の姿に思い重ねて




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アラビス・スノーキャップ



アラビス・カウカシカはアブラナ科ヤマハタザオ属(アラビス属)の多年草である。
アラビス属は世界に180種くらいが分布する。
日本にも山旗竿(ヤマハタザオ)などが分布し、属名の和名はヤマハタザオ属という。
なお、属名の和名はハタザオ属とするものもある。
本種の原種は和名を庭旗竿(ニワハタザオ)とするものもある。
原産地は南ヨーロッパや地中海沿岸地方である。
スノーキャップ(Snowcap)はその園芸品種である。
草丈は20~30センチである。
茎は地面を這う。
根際から生える葉は幅の広い楕円形で、灰色を帯びる。
開花時期は3月から5月くらいである。
茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い4弁花を咲かせる。
雄しべは6本、雌しべは1本である。
花の後にできる実は長角果(アブラナなどの果実で細長いもの)である。
属名の Arabis は国名の「Arabia(アラビア)」からきている。
種小名の caucasica は「コーカサス地方の」という意味である。
園芸品種名の Snowcap は「冠雪」という意味である。
写真は3月にJAあゆみ野安行園芸センターで撮った。
学名:Arabis caucasica 'Snowcap'

★アブラナの仲間と聞いてなるほどな
 花の姿はどこか見慣れて




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高野水木(コウヤミズキ)



高野水木(コウヤミズキ)はマンサク科トサミズキ属(コリロプシス属)の落葉低木である。
コリロプシス属は東アジアを中心に30種くらいが分布する。
本種は本州の中部地方から九州にかけて分布し、蛇紋岩地の岩場に生える。
海外では朝鮮半島にも分布する。
和名の由来は高野山が発見地の1つであることからきている。
別名を深山土佐水木(ミヤマトサミズキ)という。
環境省のレッドリストには登録されていないが、多くの府県で絶滅危惧種に指定されている。
樹高は2~5メートルくらいである。
葉は卵円形ない円形で、互い違いに生える(互生)。
葉には柄があってつけ根は心形である。
葉の縁には先が芒(のぎ:イネなどの小穂に見られる針のような棘)状になった浅いぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉の表面には毛はなく、裏面には白くて長い毛が疎らに生える。
開花時期は3~4月である。
葉の展開に先立って花を咲かせる。
枝先に穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を出し、垂れ下がるように花をつける。
花序の軸や萼に毛は生えていない。
花序は長さが3センチから4センチあり、花の色は淡い黄色である。
花弁は5枚、萼片も5枚である。
雄しべは花弁と同じくらいかそれよりも長い。
裂開する前の葯(雄しべの花粉を入れる袋)は暗い紅紫色をしている。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Corylopsis はギリシャ語の「Corylus(ハシバミ属)+opsis(似た)」からきている。葉の形が似ていることから名づけた。
種小名の gotoana は「五島列島の」という意味である。
写真は3月につくば植物園で撮った。
学名:Corylopsis gotoana

★俯いてさり気なく咲く花の芯
 仄かに赤く個性を見せて



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