ロサ・カニナ 夏の花 2011年05月29日 ロサ・カニナはバラ科バラ属の落葉低木である。ヨーロッパから西アジアにかけて分布し、普通に生える。また、ローズヒップを生産するために栽培される。イギリスで野薔薇といえばこの花を指すという。英名はドッグローズ(dog rose)である。樹高は1~3メートルくらいである。葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)で、互い違いに生える(互生)。弓なりに広がる枝には棘がある。開花時期は5~6月である。花径は4センチくらいで、一重咲きである。花の色は白ないしピンクである。結実期は9~10月である。赤く熟した偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)にはビタミンCが多く含まれる。属名の Rosa はケルト語の「rhodd(赤色)」からきている。種小名の canina は「犬の、ごく普通の」という意味である。写真は5月につくば植物園で撮った。学名:Rosa canina★さり気なきドッグローズの花姿 野にあるがよし薔薇と言えども今日の花ドットコム花図鑑PR
白蝶草(ハクチョウソウ) 夏の花 2011年05月28日 白蝶草(ハクチョウソウ)はアカバナ科ヤマモモソウ属の多年草である。原産地は北アメリカである。日本へは明治時代の中期に渡来した。逸出したものが一部で野生化している。草丈は80~100センチくらいである。茎は細くて直立し、花の時期には弓なりになる。根際から生える葉は披針形(笹の葉のような形)で、ロゼット状である。茎につく葉は互い違いに生える(互生)。葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は5~11月くらいである。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い4弁花をつける。花の色は桃色のものもある。花径は2~3センチである。一日花で、下から順に咲き上がる。雄しべは8本である。雌しべは1本で、柱頭は4つに裂ける。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。別名を山桃草(ヤマモモソウ)という。属名のガウラでも流通している。属名の Gaura はギリシャ語の「gauros(立派な)」からきている。種小名の lindheimeri はドイツ人の植物学者「リンドハイマー(F. Lindheimer)さんの」という意味である。写真は5月につくば植物園で撮った。学名:Gaura lindheimeri★くるくると回る思いは風車 夢に羽ばたく彼方めざして今日の花ドットコム花図鑑
二色空木(ニシキウツギ) 夏の花 2011年05月27日 二色空木(ニシキウツギ)はスイカズラ科タニウツギ属の落葉低木である。日本固有種である。北海道の南西部から九州にかけての太平洋岸に分布し、山地に生える。樹高は1~3メートルである。若い枝には毛が生えている。葉は細長い卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には細かいぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の裏面には葉脈に沿って毛が生える。開花時期は5~6月である。葉の脇や枝先に2~3輪ずつ、白い漏斗形の花をつける。花は淡い黄色を帯びており、花冠の先は5つに裂ける。花は咲き進むと紅色に変わる。初めから花の色が紅色のものもあり、紅花二色空木(ベニバナニシキウツギ)と呼ばれる。花の後につく実は硬い円筒形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、11月ころに熟して裂ける。同じように花の色が変化するものに箱根空木(ハコネウツギ)がある。こちらは太平洋側の海岸に近い傾斜地に生える。若い枝には毛が生えないなどの違いがあるが、中間型のものもあって区別しにくいという。属名の Weigela はドイツの科学者「ウェイゲル(Weigel)さん」の名からきている。種小名の decora は「美しい」という意味である。写真は5月につくば植物園で撮った。学名:Weigela decora★名前だけ聞いていたけどこの花か 二色空木をどう見分けるの今日の花ドットコム花図鑑
海桐(トベラ) 夏の花 2011年05月26日 海桐(トベラ)はトベラ科トベラ属の常緑低木である。太平洋側では岩手県以南、日本海側では新潟県以南の本州と四国、九州、沖縄に分布し、海岸の崖地などに生える。また、公園、道路の緑化帯などに植えられる。海外では、台湾や中国の広東省、福建省などにも分布する。「海桐(かいどう)」は漢名である。樹高は2~3メートルである。葉は幅の狭い卵形で、枝先付近に集まって互い違いに生える(互生)。葉の先は尖らず、縁にぎざぎざはない(全縁)。つけ根の部分は次第に幅が狭くなり、縁はわずかに肥厚している。質は厚く、表面は艶があり、裏面は灰色を帯びる。開花時期は5~6月である。雌雄異株である。枝先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、白い5弁花をつける。花の後につく実は球形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、熟すと黒褐色になって3つに裂ける。中の種子は赤く、粘り気のある物質に包まれている。別名を扉の木(トビラノキ)ともいう。節分の日に扉にはさんで魔よけをする風習があったことに由来する。そのトビラがトベラに転訛したようである。俳句では、「海桐の花」が夏の季語である。属名の Pittosporum はギリシャ語の「pitta(黒いねばねばした)+spora(種子)」からきている。種子が真っ黒で艶があり粘着性のあることから名づけられた。種小名の tobira は「トベラ」のことである。花の写真は5月につくば植物園で撮った。実の写真は6月につくば植物園で撮った。学名:Pittosporum tobira★束になり生える葉っぱの真ん中に 海桐の花は埋もれるように今日の花ドットコム花図鑑
谷空木(タニウツギ) 夏の花 2011年05月25日 谷空木(タニウツギ)はスイカズラ科タニウツギ属の落葉低木である。北海道の西部から本州にかけて分布し、山地の谷間や渓流沿いに生える。海外では、中国や朝鮮半島にも分布する。樹高は2~3メートルくらいである。地際から良く枝分かれをし、株立ち状となる。葉は卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は尖り、縁には低いぎざぎざ(鋸歯)がある。葉には艶があり、裏面には白い毛が生える。幹や枝が中空になっていることから「空木」の名があるが、白い花を咲かせる空木(ウツギ)はユキノシタ科で、仲間が異なる。開花時期は5~6月である。葉の脇に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、漏斗状の淡いピンクの花を咲かせる。花の色は変わらない。萼片は5枚、雄しべは5本である。雌しべの花柱は糸状で長く突き出ている。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。属名の Weigela はドイツの科学者「ウェイゲル(Weigel)さん」の名からきている。種小名の hortensis は「庭園栽培の」という意味である。写真は7月に尾瀬で撮った。学名:Weigela hortensis★清らかな水の流れがよく似合う 谷空木の花鐘を鳴らして今日の花ドットコム花図鑑