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大丸葉の保呂之(オオマルバノホロシ)



大丸葉の保呂之(オオマルバノホロシ)はナス科ナス属の多年草である。
北方領土を含む北海道から本州の広島県にかけて分布し、低山の湿原などに生える。
海外では、サハリンにも分布する。
「保呂之」というのは同じナス科の鵯上戸(ヒヨドリジョウゴ)の古名である。
大きい丸葉の鵯上戸(ヒヨドリジョウゴ)ということでこの名がついた。
草丈は30~70センチくらいである。
茎は柔らかく蔓状である。
葉は卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉の先は尖り、縁にぎざぎざはない(全縁)。
開花時期は7~9月である。
茎先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、淡い紫色の花を数個つける。
花径は10~15ミリくらいである。
花冠は5つに深く切れ込み、先は反り返る。
花の真ん中は淡い緑色をしている。
花の後にできる実は楕円形の液果(果皮が肉質で液汁が多い実)で、赤く熟してきれいだが有毒である。
属名の Solanum はラテン語の「solamen(安静)」からきているという説がある。
種小名の megacarpus は「大きな実の」という意味である。
写真は8月に日光植物園で撮った。
学名:Solanum megacarpus


★紫の茄子そっくりの花咲かせ
 蔓を伝って居場所広げて




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着せ綿(キセワタ)



着せ綿(キセワタ)はシソ科メハジキ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、山地の草原に生える。
海外では、朝鮮半島、中国、中国東北部、ウスリー地方などにも分布する。
和名の由来は、白い毛が花を覆っている様子を「花に着せた綿」に見立てたものである。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉の質は紙質で、粗い毛が生える。
近縁種の目弾き(メハジキ)の場合は葉が切れ込む。
開花時期は7~9月くらいである。
上部の葉の脇に段状に数個ずつ淡い紅紫色をした花をつける。
花冠は筒状で、先は唇形に裂ける。
上の唇の上部には白い毛が生える。
下の唇は3つに裂ける。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。
属名の Leonurus はギリシャ語の「leon(ライオン)+oura(尾)」からきている。長い花序の形から名づけられた。
種小名の macranthus は「大きな花の」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Leonurus macranthus


★着せ綿の姿はどこか愛らしく
 産毛なりやと花に見入って




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石弔蘭(シシンラン)



石弔蘭(シシンラン)はイワタバコ科シシンラン属の多年草である。
日本固有種である。
本州の伊豆半島及び京都府以西、四国、九州に分布し、木の幹や岩の上に着生する。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
草丈は20~50センチくらいである。
茎は木や岩に着生する苔(コケ)の中を這い、疎らに枝分かれをする。
葉は肉厚の楕円形で、向かい合って生える(対生)。
3~4枚が輪になって生える(輪生)場合もある。
葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は7~8月である。
枝の上部の葉の脇に白ないし淡い紫色の花をつける。
花は長さが4~5センチの筒状で、先が唇形になる。
上唇は2つに裂け、下唇が3つに裂ける。
雄しべは4本で、2本が長い。
花の後にできる実は細長いさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
属名の Lysionotus はギリシャ語の「lysis(分離)+notos(背)」からきている。実の長い鞘が裂ける様子からつけられた名である。
種小名の pauciflorus は「少数花の」という意味である。
写真は9月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Lysionotus pauciflorus


★這いながら花ぶら下げる石弔蘭
 自然のものを見つけてみたい




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黄蓮華升麻(キレンゲショウマ)



黄蓮華升麻(キレンゲショウマ)はユキノシタ科キレンゲショウマ属の多年草である。
キレンゲショウマ属は1属1種である。
分類体系によってはアジサイ科とされる。
紀伊半島、四国山地、九州山地などの限られた地域に生える。
自生地はブナ林帯の林床や湿った石灰岩地などである。
海外では、朝鮮半島、中国にも分布する。
環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
草丈は80~120センチくらいである。
葉は大型の円心形で手のひら状の切れ込みがあり、向かい合って生える(対生)。
茎の下部につくはには柄があり、上部につく葉には柄がない。
開花時期は7~8月である。
葉の脇に疎らな円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、筒状の黄色い花を斜め下向きに数輪つける。
花弁は5枚である。
肉厚で、平開はしない。
雄しべは15本、雌しべの花柱は3本である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
和名の由来はキンポウゲ科の蓮華升麻(レンゲショウマ)に似た花ということだが、実際にはあまり似ていない。
属名の Kirengeshoma は日本語の「キレンゲショウマ」からきている。
種小名の palmata は「手のひら状の」という意味である。
写真は9月に富山県中央植物園で撮った。
学名:Kirengeshoma palmata


★そっと咲く黄蓮華升麻どことなく
 ひ弱なるゆえなお愛らしく




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イビケラ・ルテア



イビケラ・ルテアはツノゴマ科イビケラ属の一年草である。
1属1種である。
属名の読み方は「イビセラ」とするものもある。
原産地はブラジル、アルゼンチンである。
植物体全体に細かい腺毛(粘着物質を出す毛)があり、粘液を出して小さな昆虫を捕らえる。
1989年に食虫植物として認められた。
アメリカのカルフォルニア州、オーストラリア、南アフリカなどに帰化している。
和名は黄花の角胡麻(キバナノツノゴマ)という。
草丈は50センチくらいである。
根際から生える葉は円心形で、フキの葉に似る。
開花時期は7~9月くらいである。
葉の脇から総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、黄色い釣鐘形をした花をたくさんつける。
花冠の先が5つに裂ける。
花冠の内側には黄褐色の斑点がたくさんある。
花径は5センチくらいである。
実は熟すと緑色の外果皮がむけて、先が2本のかぎ爪のような形をした姿が現れる。
実は長さが15センチくらいあり、大きい。
属名の Ibicella はラテン語の「ibex(アイベックス:ヤギ)+cella(群れ)」からきている。ヤギの角のような果実の形状をたとえたものである。
種小名の lutea は「黄色の」という意味である。
写真は9月に京都府立植物園で撮った。
学名:Ibicella lutea


★花見れば特に怖くはないけれど
 果実の形どこか不気味で




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