顎無(アギナシ) 秋の花 2011年10月26日 顎無(アギナシ)はオモダカ科オモダカ属の多年草である。北海道から九州にかけて分布し、沼地や湿原などに生える。海外では、朝鮮半島にも分布する。環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。草丈は40~80センチくらいである。若葉は細い楕円形であるが、成長すると葉の下側が2つに分かれ、やじり形となる。この若葉の形状を「顎無し」と見立てたのが名の由来である。葉は根際から生え、長い柄がある。葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。開花時期は7~10月である。雌雄同株である。茎先に円錐花序(枝分かれして全体が円錐状に見える)を出し、雄花をつける。雌花は茎の下部につく。いずれも白い3弁花で、萼片も3枚である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)の集合果である。近縁種の沢瀉(オモダカ)と似るが、顎無(アギナシ)は花を葉よりも高い位置につけることや球芽(むかご)のあることなどで見分ける。属名の Sagittaria はラテン語の「sagitta(矢)」からきている。矢形をした葉の様子から名づけられた。種小名の aginashi は日本語の「アギナシ」のことである。写真は7月に箱根湿生花園で撮った。学名:Sagittaria aginashi★名の由来聞けば何やら面白い 顎無の花風にゆらゆら花図鑑植物図鑑PR