四手辛夷(シデコブシ) 春の花 2011年04月06日 四手辛夷(シデコブシ)はモクレン科モクレン属の落葉低木である。日本の固有種である。本州の愛知県、岐阜県、三重県にのみ分布し、湿原の周辺や渓流沿いなどに生える。このような分布をする植物を「周伊勢湾要素植物」と呼んでいる。「生きている化石」とも言われる貴重な植物である。環境省のレッドリスト(2007)では、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては『絶滅危惧』に移行する可能性のある種」である準絶滅危惧(NT)に登録されている。樹皮は灰褐色で、やや皮目(ひもく=樹皮にあって空気を通す部分)がある。若い枝や葉の柄には軟毛が密生する。葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉の先は丸く、つけ根の部分はくさび形である。開花時期は3~4月である。葉の展開に先立って花を咲かせる。花の色は白ないし淡い紅色で、花径は7~12センチくらいある。細長いリボン状の花びら(花被片)を12~18枚外向きにつける。「四手」というのは「玉串や注連縄(しめなわ)などに下げる紙」のことである。花の様子を見立てたものである。別名を姫辛夷(ヒメコブシ)ともいう。花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)の集合果である。属名の Magnolia はフランスの植物学者「マニョル(P. Magnol)さん」の名にちなむ。種小名の tomentosa は「密に細かな綿毛のある」という意味である。花の写真は3月に埼玉県立花と緑の振興センターで撮った。実の写真は8月につくば植物園で撮った。学名:Magnolia tomentosa★不思議なる姿かたちの四手辛夷 太古のロマン今に伝えて今日の花ドットコム花図鑑PR