黒百合(クロユリ) 夏の花 2011年06月13日 黒百合(クロユリ)はユリ科バイモ属の多年草である。北方領土を含む北海道の低地と本州中部以北の高山に分布し、お花畑や岩場に生える。以前はこの両者は別種とされていたが、今は同一種と見られることが多い。区別する場合は、本州のものは深山黒百合(ミヤマクロユリ:Fritillaria camtchatcensis var. alpina)とされる。海外では、サハリン、カムチャツカ、ウスリー、北アメリカ北西部などにも分布する。草丈は10~30センチくらいである。葉は披針形で、茎の中ほどから上に3~5枚ずつ数段に輪生させ、上部では互い違いに生える(互生)。開花時期は6~8月である。茎の先に暗い紫褐色で斑がある鐘状の花を1~2輪つける。花径は3センチほどで、やや下向きに咲く。花被片は6枚である。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。この花には様々な伝説がある。アイヌ伝説では、「愛する人にこの花を贈って、それを相手の人が手に取れば二人は結ばれる」という言い伝えがある。また、越中富山の佐々成政は、寵愛した腰元早百合に嫉妬して一族を皆殺しにする。そのとき早百合は「私の亡霊が立山に黒百合を咲かせたとき、佐々家は滅びるだろう」と叫んで息絶えた。その後、成政が大茶会で北の政所(秀吉の正妻)に取り入ろうとして立山の黒百合を贈ったところ、不吉な花として怒りを買い、佐々家も衰運の一途をたどることになる。そして、成政は切腹し、佐々家も滅びたという。俳句の季語は夏である。属名の Fritillaria はラテン語の「fritillus(チェッカー盤)」からきている。この属の1種の花の模様から名づけられた。種小名の camtschatcensis は「カムチャツカの」という意味である。写真は7月に中央アルプスの千畳敷カールで撮った。3枚目は6月に札幌市の百合が原公園で撮った。学名:Fritillaria camtschatcensis★鐘の音とシスターの姿目に浮かぶ そんなシーンが記憶の隅に花図鑑植物図鑑PR