百日紅(サルスベリ) 夏の花 2011年08月04日 百日紅(サルスベリ)はミソハギ科サルスベリ属の落葉高木である。原産地は中国南部である。日本へは江戸時代に渡来した。漢字では「猿滑り」とも書く。和名の由来は、樹皮が剥げやすく幹がツルツルしているので「猿も滑る」というところからきている。樹高は3~10メートルくらいである。葉は楕円形で、向かい合って生える(対生)。開花時期は7~10月である。別名を百日紅(ヒャクジツコウ)というが、これは花期の長さからつけられた名である。枝先に円錐花序(花序の枝が枝分かれし、全体が円錐状に見える)をつける。花序のつけ根のほうから咲き始め、次第に先まで花を開く。1つ1つの花は、花びらは6枚で縮れており、萼は筒状で6つに裂ける。花の色はピンクや白、紅紫色などで、花径は3~4センチくらいである。実は丸いさく果(熟すと果皮が裂開する果実)で、種子には翼がある。俳句の季語は夏である。属名の Lagerstroemia はスウェーデンの生物学者「ラジェストロエム(M. von Lagerstroum)さん」の名からきている。種小名の indica は「インドの」という意味である。写真は8月に三郷市で撮った。学名:Lagerstroemia indica★切っ先は天を睨むか百日紅 紅を燃やして褪せることなく花図鑑植物図鑑PR
蓬菊(ヨモギギク) 夏の花 2011年08月03日 蓬菊(ヨモギギク)はキク科ヨモギギク属の多年草である。原産地はヨーロッパからシベリアにかけてである。日本へは明治時代に渡来した。英名をタンジー(tansy)と言い、ハーブとして知られている。駆虫剤として用いられるほか、調味料、芳香剤としても用いられる。草丈は100~200センチくらいある。茎は固く、葉は細かい切れ込みがあり、互い違いに生える(互生)。開花時期は7~10月である。茎先に丸くて平べったい黄色の花をたくさん咲かせる。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。舌状花のないところが蓬(ヨモギ)に似ているということで蓬菊(ヨモギギク)の名がつけられた。北海道には変種の蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク)が自生する。属名の Tanacetum はラテン語の「tanazita(不死)」からきている。種小名の vulgare は「普通の」という意味である。写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Tanacetum vulgare★全草に強い香りを漂わせ 蓬菊咲く姿妖しく花図鑑植物図鑑
鳳仙花(ホウセンカ) 夏の花 2011年07月30日 鳳仙花(ホウセンカ)はツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草である。原産地は中国からインドにかけてである。和名の由来は、花を鳳凰(ほうおう)に見立てたものである。日本へは江戸時代に中国から渡来した。草丈は30~60センチくらいである。茎は軟らかく、直立をする。葉は細長い楕円形で、互い違いに生える(互生)葉の先は尾状に尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~9月である。葉の脇に2~3輪ずつ花をつける。花弁は5枚、萼片も5枚である。萼片の後ろには距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)がある。花の色は赤である。園芸品種には、白、ピンク、紫色などのものがあり、八重咲きのものもある。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。古くは花で爪を染めたことから爪紅(ツマベニ)の名がある。俳句の季語は秋である。属名の Impatiens はラテン語の「impa(否定)+tient(忍耐)」からきている。「我慢できない」という意味で、さく果にさわると急に弾けることから名づけられた。種小名の balsamina はラテン語でホウセンカを意味する。写真は7月に小石川植物園で撮った。八重咲きのものは9月に京都府立植物園で撮った。学名:Impatiens balsamina★鳳仙花弾ける思いひた隠し そっと待ち伏せ君がハートを花図鑑植物図鑑
姫檜扇水仙(ヒメヒオウギズイセン) 夏の花 2011年07月29日 姫檜扇水仙(ヒメヒオウギズイセン)はアヤメ科クロコスミア属の多年草である。フランスで交配によって作出された。交配親は檜扇水仙(ヒオウギズイセン:Crocosmia aurea)と姫唐菖蒲(ヒメトウショウブ:Crocosmia pottsii)で、どちらも南アフリカが原産地である。日本へは明治時代の中期に渡来した。園芸品種として入ってきたが、今では各地で野生化している。英名をモントブレチア(montbretia)という。草丈は50~80センチくらいになる。葉は先のとがった線形で2列に並んで立ち、互い違いに生える(互生)。葉の中央に縦の筋がある。開花時期は7~8月である。花茎から3~5個の穂状花序を出し、それぞれにたくさんの花をつける。花の色は朱赤色で、下のほうから順に咲き上がる。花びら(花被片)は6枚で、内側と外側に3枚ずつあり、根元のほうでくっついている。雄しべは3本、花柱(雌しべ)が1本ある。花柱の先は3つに裂けている。結実はせず、球根で増える。属名の Crocosmia はギリシャ語の「crokos(サフラン)+osme(匂い)」からきている。サフランの香りがするということで名づけられた。種小名の crocosmiiflora は「サフランの香りのする花の」という意味である。写真は7月に向島百花園で撮った。学名:Crocosmia x crocosmiiflora★濡れそぼりだらりの帯を垂らしたる 風情しおらしモントブレチア花図鑑植物図鑑
夏椿(ナツツバキ) 夏の花 2011年07月28日 夏椿(ナツツバキ)はツバキ科ナツツバキ属の落葉高木である。本州の宮城県から九州にかけて分布し、山地に生える。また、寺の敷地内に沙羅双樹(サラソウジュ)として植えられることが多い。仏教では釈迦が沙羅双樹の下で涅槃に入ったとされている。日本では夏椿(ナツツバキ)がこの沙羅双樹(サラソウジュ)と誤認されたという。海外では、朝鮮半島の南部にも分布する。樹高は5メートルから15メートルくらいである。樹皮は紅色を帯びており、平滑である。葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。開花時期は6月から7月である。葉の脇に花径5センチから6センチの白い花をつける。花弁は5枚である。花弁には皺があり、外側の1枚は緑色を帯びる。雄しべはたくさんあり、花糸は黄色い。花は一日花で、咲いた後は花の形そのままで木の下に落ちる。花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。別名を沙羅樹(シャラノキ)という。俳句では「沙羅の花」が夏の季語である。属名の Stewartia はイギリスのビュート侯「ジョン・スチュワート(John Stuart)」の名からきている。種小名の pseudo-camellia は「ツバキ属に似た」という意味である。写真は6月に川口市立グリーンセンターで撮った。紅葉の写真は11月に川口市立グリーンセンターで撮った。学名:Stewartia pseudo-camellia★一日の命なればと白き肌 風にそよがせ夏椿咲く花図鑑植物図鑑