丸葉金鈴花(マルバキンレイカ) 夏の花 2011年08月09日 丸葉金鈴花(マルバキンレイカ)はオミナエシ科オミナエシ属の多年草である。北方領土を含む北海道から本州の新潟県にかけて分布し、山地の斜面や岩場に生える。草丈は30~70センチくらいである。葉は幅の広い卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の先は鋭く尖り、縁は羽状に浅く裂けてぎざぎざ(鋸歯)がある。葉の柄には翼がある。開花時期は7~8月である。茎先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、黄色い小さな花をたくさんつける。花径は4~5ミリで、花冠の先は5つに深く裂ける。花冠のつけ根の部分には半円形の小さな距(花冠のつけ根が後ろに飛び出たもの)がある。雄しべは4本で、花冠から突き出る。雌しべは1本である。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Patrinia はフランスの植物採集家「パトラン(E. L. M. Patrin)さん」の名からきている。種小名の gibbosa は「瘤のある」という意味である。写真は9月に北大植物園で撮った。学名:Patrinia gibbosa★星屑を散らすがごとく鮮やかに あたりを照らす丸葉金鈴花花図鑑植物図鑑PR
紅花時計草(ベニバナトケイソウ) 夏の花 2011年08月08日 紅花時計草(ベニバナトケイソウ)はトケイソウ科トケイソウ属の多年草である。原産地はベネズエラ、ボリビアである。日本では温室で栽培されるが、沖縄では露地植えされている。蔓性で他のものに絡まって伸びる。草丈は3~6メートルくらいになる。茎や葉には毛が生えている。葉は長い楕円形で、互い違いに生える(互生)。葉は肉厚な革質で、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~8月だが、温度さえ合えば通年開花をする。茎先に近い葉の脇から柄を出し、濃い紅色の花を1輪ずつつける。花は一日花だが、次々と開花する。花弁が10枚あるように見えるが、花弁5枚と萼片5枚からなる。真ん中にある鬚のようなものは副花冠である。副花冠も濃い紅色で、つけ根の部分は白くなっている。花の後にできる実は液果(果皮が肉質で液汁が多い実)である。「時計草」の由来は、花の形を時計の文字盤に見立てたものである。英名はレッドパッションフラワー(red passion flower)である。この場合のパッションは「受難」を意味する。花の形をキリストの十字架に見立てたものである。属名の Passiflora はラテン語の「flor della passione(情熱の花)」からきている。雌しべの柱頭をはりつけにされたキリストにたとえ、放射状の副花冠をキリストの後光にたとえた。種小名の coccinea は「赤い」という意味である。写真は7月に水戸市植物公園で撮った。学名:Passiflora coccinea★刻むなら深紅の時を刻みたい 惜しんでみても一夜の命花図鑑植物図鑑
西洋薄荷(セイヨウハッカ) 夏の花 2011年08月07日 西洋薄荷(セイヨウハッカ)はシソ科ハッカ属の多年草である。英名のペパーミント(peppermint)のほうが通りがよいかもしれない。ヨーロッパ原産の帰化植物である。草丈は30~100センチくらいである。葉は楕円形ないし卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。開花時期は7~9月である。淡い紫色の花を穂状につけるか輪生させる。花冠は唇形で、雄しべ4本と雌しべ1本がある。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。全草にメントール(menthol)を含む。属名の Mentha はギリシャ神話に登場するニンフ「メンテ(Menthe)」の名からきている。種小名の piperita は「コショウ属のような」という意味である。写真は9月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Mentha piperita★傍に来てペパーミントのこの香り 楽しんでねと花は囁き花図鑑植物図鑑
サルビア・プラテンシス 夏の花 2011年08月06日 サルビア・プラテンシスはシソ科アキギリ属の多年草である。原産地は地中海沿岸地方である。英名はメドーセージ(meadow sage)である。メドーは「草地」を意味する。日本ではグラニチカ種(Salvia guaranitica)をメドーセージとして流通させてしまったが、本来は異なる。草丈は60~100センチくらいである。葉は長い卵形で、向かい合って生える(対生)。葉の表面はざらつき、縁は波状となる。開花時期は5~8月くらいである。茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、濃い青紫色の唇形をした花をつける。花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)である。属名の Salvia はラテン語の「salvare(治療)」からきている。薬用になるものが多いことから名づけられた。種小名の pratensis は「草原に生える」という意味である。写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。学名:Salvia pratensis★これこそが紛うことなきメドーセージ 花の蒼さを味わいながら花図鑑植物図鑑
四葉鵯(ヨツバヒヨドリ) 夏の花 2011年08月05日 四葉鵯(ヨツバヒヨドリ)はキク科フジバカマ属の多年草である。北海道から本州の近畿地方にかけて分布し、湿った道ばたや林の中に生える。海外では、サハリンにも分布する。草丈は1メートルくらいである。同属の藤袴(フジバカマ)や鵯花(ヒヨドリバナ)と花の形はよく似ているが、葉の特徴で見分けられる。四葉鵯(ヨツバヒヨドリ)は名の通り4枚の葉が輪生する。ただし葉の数は3枚だったり5枚だったりする。葉の形は細長い楕円形である。これに対して藤袴(フジバカマ)の葉は3裂し、鵯花(ヒヨドリバナ)の葉は裂けずに向かい合って生える(対生)。開花時期は7~9月である。キク科の花らしく筒状花が集まって咲く。花の色は淡い紅紫色である。筒状花の先は5つに裂け、糸のような花柱(雌しべ)が突き出す。花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。属名の Eupatorium は小アジアのポントス王「Eupator」の名にちなむ。この属のある植物を薬用にしたことから名づけられた。種小名の chinense は「中国の」という意味である。変種名の sachalinense は「サハリンの」という意味である。写真は7月に北海道の弟子屈町で撮った。学名:Eupatorium chinense var. sachalinense★芳しき蜜の香りはいかばかり 蝶を集めて四葉鵯花図鑑植物図鑑